プロローグ
立ち上がる炎の渦。吹き上がる熱波。押し寄せる脅威と重圧。
グアアアアアアア!!
「わっ!!」
地面が揺れる程の咆哮。鼓膜がビリビリと破れそうになる。身体や足がぐらつき、倒れそうになる。
けれど肩を持たれ、転ばずに済んだ。
「大丈夫か。」
「う、うん。大丈夫。」
「そうか。…行くぞ!」
私を支えてくれた男が腰にあった剣を引き抜くと、そのまま私の前へ走っていく。
「ずるーい!フライングだよっ!!」
「援護します!」
今度は小柄な二人が私の前へと躍り出る。そして、ゆっくりと私の隣に現れたのは弓を持った男。
「さぁ、ちゃちゃっと終わらせて帰ろうぜ。ーー。」
「え、なんて……うわっ!!」
ガアアアアアア!!
二度目の鼓膜を揺るがす咆哮。地面が再び揺れるが、今度は倒れる事なく、耐える事が出来た。
「何してんのよ!ほら、私達も行くわよ!」
私の前に出た一人の少女。凄まじい戦場の中なのに華憐に、楽し気に笑う少女は私に手を差し伸べる。
私は、そんな少女の手を自身の手を重ねると力強く握る。
「行こう!」
止まっていた足が動き出す。目の前にある脅威に、逃げ出したくなる脅威に私は立ち向かわなくてはならない。
それが私の与えられた……あれ?
与えられた……なんだったっけ……?
…………。
あれ、思い出せない……。