10話
「ハンスさん、乗せてくれてありがとうございます。それと…あの……」
ハンスさんに誘われて、馬車に乗せてもらっていた。のだが、隣の視線が気になってしかたがないのだ。
「アリス、拓也殿が困っておるぞ」
僕の隣はアリスさんが座っており、なぜか、僕を見てくる。逆に目を合わせると顔を赤くして、そっぽを向き、目を離すとちらちらと見てくる。これの繰り返し
「はっ、えっと、ごめんなさい。私ったら」
「そうだぞ、いつも、他の貴族の前でも堂々としているのに、お前らしくないな」
「そ、それは」
何か言いたそうに口をもごもごと動かしている。
「アリス」
「は、はい?」
ハンスさんは、アリスさんを手招きする。そして、アリスさんの耳もとでごにょごにょと何かをしゃべっていた。
きっと、貴族の人にとって大事なことだから聞かれては駄目な内容なのだろう。でも、なぜ、アリスさんはどんどん、顔が赤くなっているか不思議に思う。
「わかったか」
「は、はい!私、がんばります。」
どうやら、話が終わったらしい、
「またせて、悪かったのう、拓也殿ちょっとばかし、家の話をしていてのう」
「そうでしたか、」
「ところで、拓也殿は街についたら、冒険者になってどうするつもりじゃ」
街についたらか、冒険者になることだけを考えていたからな、
「とりあえず、お金はあるので、観光しようかと」
「そうか、もちろん宿に泊まるのじゃろう」
「はい、そのつもりです」
「実はのう、拓也殿には、わしの命を救ってくれた恩をきちんと返したいんじゃが、どうじゃ、街につけばわしの家があるそこに泊まらぬか、もちろん、ごちそうを用意させよう」
「それは、ありがたいのですが、いいんですか?どこの馬の骨の者を家に泊めても」
泊めてもらえるのはありがたいが、僕が悪いやつだったら、どうするんだ。
「拓也殿は悪いやつでは、ない」
どうやら、顔に出てたらしい。
「あの、嫌ですか?」
ここで、初めて、アリスさんが僕に声をかけた。上目づかい付きで、
「う、い、嫌ではないですか、本当にいいんですか、アリスさんも」
「はい、かまいません。それと、私のことはどうかアリスとだけ呼んでください」
「はー、わかりました。おじゃまします、ハンスさん、それに、アリス」
「はい」
アリスは嬉しそうに笑顔を見せる、その前では、ナイスだ、と、でも言いたそうに親指をつきたてているハンスさん。まったくなにがしたいんだか、
「さて、拓也殿が家に泊まるとして、さっきから気になっているのだが、拓也殿その膝の上に乗せている
本はなんなのだ?わしを治す時に使った本もそうじゃが、その本なにやら、不思議な力を感じる」
あー、やっぱ気になったか、道案内用に作った魔導書、本棚に直すの忘れていたんだよな、
「えっと、これは、魔導書です」
ここは、素直に正直に答えよう。だって、すごいんだもん、興味深々に見てくるハンスさんの視線じゃなく、アリスの視線が・・・・・・。
今回はボルトが会話の流れにでていない!




