第五十一話 みんなが笑ってる。
【二時間後】
案の定俺達はヒュドラにズタボロに負けした。
で、ボロボロされてヒュドラに放置された俺達はなんとか洞窟の入り口まで這いつくばってルフレ達と合流出来た。
で、今はルフレとカナに『回復呪文』をかけてもらって回復中。
いや頑張ったんだよ?
ただヒュドラが強すぎた。
でもなんとか頭を二つ潰したぞ……レンドが。
俺は早々に足をやられて動けなくなって後は魔法でレンドの援護してたがな…………我ながら情けない。
あの巨体で無数の頭がそれぞれ攻撃するとか本当にヤバイわ。
しかも猛毒持ちだし。
マジで毒は俺の天敵だわ。
俺の『不死身』は毒を無効化出来んし、かと言って死なないから毒が自然に消えるか解毒するまでずっと苦痛が続く。
……今度ルフレかマナに頼んで解毒呪文教えて貰おっかな?
「キットくん、回復と解毒が終わったよ〜」
「お、ありがとう。やっぱカナの回復呪文はよく効くな」
「フン、どうせアタシの『回復呪文』はカナの足元にも及ばないわよ」
「まぁまぁ、ルフレもオイラを回復してくれてありがとうだよー」
ルフレがなんかスネてるし。
てかお前の回復呪文だって決して下手では無いぞ?
ただカナはその遥か上を行くだけだし。
それにルフレは元々攻撃呪文の方が得意だろ?
「にしても俺達ヒュドラに食われなくて本当に良かったな」
「そうだねー、食べられるといくら『不死』や『不死身』でもヤバイからねー」
「なあに言ってるのよ、アンタ達アンデッドがヒュドラに食べられる訳無いでしょ」
「ルフレーどうゆうことー?」
本当なんでだ?
スケルトンの俺は肉が無いから分かるがレンドは肉付き良いから結構美味そうじゃね?
「あー二人は知らないのか。あのね、私達アンデッドの肉体って死体に限りなく近いのよ。だから固いし味もかなり悪いらしいのよ。だから魔獣はアンデッドをよっぽどのことが無いと食べないの」
「「へぇー!」」
なるほど初めて知ったわ。
てかミキの説明は分かりやすくて良いな。
「まぁ例外はあるけどね。死体を好んで食べる魔獣、『グール』ってのが居るのよ。そいつはアンデッドを好んで狙うから見つけたらアンタ達は絶対逃げなさい、いいわね!」
何それ怖い!
うわぁ絶対に会いたくねぇ。
ルフレに言われなくてもグールを見つけたら絶対に逃げよ。
もしグールに捕まったら俺は死なないから生きたままボリボリ食われるのか。
絶対に嫌だしそんなの。
……レンドも俺と同じことを考えたのか顔が引きつってるな。
「ん、どうしたのカナ?」
「あ、あのね…………みんな本当にごめんなさ〜い! カ、カナが、カナがクシャミなんかするから、だから、だから……」
いきなりカナは泣きながら俺達に頭を下げた。
カナは今回のことをかなり気にしてるのか。
でもな、
「あぁ、別に気にしてないよ」
カナは俺の言葉を聞いて涙でグチャグチャになった顔を上げた。
「そうよ、誰だってミスぐらいするわよ」
「ルフレの言うとおり。俺なんて旅に出てから何回ミスしたか数え切れんからな」
「オイラはむしろ感謝してるよー。おかげでヒュドラと戦えたんだしー」
レンドは相変わらずバトルジャンキーだな。
「でも、でも……」
「こら泣くな。これ以上泣くなら……ウリャー!」
「ミ、ミキちゃんやめて〜! カ、カナの胸をグリグリしないで〜!」
「まったくカナは。だけどこうゆう所がカナの良いところよね」
「ル、ルフレちゃ〜ん。ミキちゃんをとめて〜!」
「ダーメ、今日はカナが泣くのやめるまでは止めないわよ。だからミキ、思いっきりやりなさい!」
「了解! 行くぞカナ、セクハラ祭りだー!」
「ふぇ〜ん、だれかたすけて〜」
「「「「ハハハハ!」」」」
みんなで笑ってる。
みんなが笑ってる。
だから気にする必要無いんだぞカナ?
ミスをしたら周りがフォローすればいいんだよ。
それが仲間ってもんだからな。
結局ミキのセクハラはそれから十分ほど続いた。
……俺達の旅はまだまだ続くだろう。
だがこの素敵な仲間達とならいつかきっと魔界を救える。
アンタもそう思うだろ? 親父。
オマケ
『グール』
死体を好んで食べる魔獣。見かけはゾンビに似てるが知性が極めて低い為に魔獣に分類される。
グールは死体が腐ってても骨まで残さず食べる。
この為、スケルトンでも容赦なく捕食されるためキット達アンデッドの天敵とされている。
だがその生息域はかなり限定されてる為に一般には知られてない。
ルフレ達が知ってたのは授業で習った為。(学園には魔獣の勉強もする。)




