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第十二話 食後に昼寝、その後に戦闘!

【次の日の昼、レーニング】


 はぁーっ、やっと終わった。

 手続きってのはメンドイな。


 ……たくっ、何で気絶から起きたらすぐに人間の男抱えてレーニング戻って、そっから引き渡し手続きしなきゃいけないんだ。

 オマケに手続きが長過ぎる!


 やっぱ男にトドメ刺せば良かったか?

 でもなぁ一度倒した敵にさらに追い打ちかけるのも気分良くないしなぁ。

 

 あの男が女と同じ様に戦闘中に死んでくれたら楽だったのに。

 そしたらそのまま放置したのにな。

 ……それをやったら貴重な情報源が無くなるか。

 

 まぁ尋問はレーニングの兵士さん達がやってくれるしまだマシか。

 尋問まで俺がやる事になったらマジにメンドイよ。


 ……気分を変えるために飯食いに行くか。


【定食屋】


「お待たせしました。特盛りカツ丼です」


「来た来たー!」


 インプのウエイトレスがカツ丼持ってきてくれた。

 ショートボブで可愛らしいだな。


 さて、前回は焼き肉定食だったから今回はカツ丼にしたぜ、しかも特盛り。


 カツの油の香ばしい香りと卵とダシの甘い香りが混ざって食欲を刺激する。

 では、


「いただきます! 」


 まずはカツを一切れ。


 ザクッ!


 ……うっまーい!

 揚げたての衣のサクサク感、その後に来る肉のシッカリした歯ごたえがたまらん。

 肉を噛むと肉汁が染み出てそれがフワフワの卵と甘めのダシに良く合う。


 次は米を……これも旨い!

 米自体の甘みに垂れたダシの甘み、それに卵の甘みの三つの甘みが口で一つの甘みになってる。

 でも一緒に乗ってるネギのおかげで甘過ぎない。

 やっべこれならいくらでも食えるぞ。


【一時間後】


 フーッ満腹満腹。

 さて、腹ごなしに運動するか。


 ……あれ?

 グータラな俺が運動する?

 んな馬鹿な。

 思わず自問自答したぞ。

 どうやら俺はクーゴさん達との特訓で運動が習慣になったみたいだな。

 ……俺らしく無いな、よし!


【二時間後、レーニング周辺の小高い丘】


 ……ふぁーっあーっよく寝た。

 ひっさしぶりに昼寝したな。

 やっぱコレが俺の個性だよな。


 上には青い太陽。

 下には程よく柔らかい草。

 風は穏やか。

 気温も高くない。

 最高の昼寝日和だね。


 ……昼寝するから外に出るってレーニングの門番さんに言ったら物凄い変な顔されたけどな。


 まあ普通はしないよな。

 そもそも魔界帝国では許可なく町や村の外に出るのは法律で禁止されてるし。

 町の外には魔獣がウジャウジャいて危険だしな。


 だが俺は魔界騎士だから自由に出入り出来る。

 魔界騎士の特権だね。


 しかもスケルトンだから動かなければ魔獣も襲ってこない。

 食べようにも肉ないし動かなければただの髑髏にしか見えないしな。


 さぁてゴロゴロしながら今後の事考えるかな。

 取り敢えずレーニングに居る理由はもう無いな。

 クーゴさん達との訓練も終わったしレーニング周辺には人間ももう居ないし。

 ……やっぱセントラル地方出るしか無いか。

 つっても闇雲にイースト地方行っても裏切者が見つかる訳じゃないしな。


 はぁーっ、やっぱ人間ひっ捕まえて情報聞き出すしか無いよな。

 メンドイなー。


 ……なんか揺れるな、地震か?

 

 目の前の地面が割れただと!?

 ……まさかな。

 まさかまさかな!

 まさか、この丘って……ベヒーモス!?


 あり得る……レーニングに着いた日にも丘に見えたのが実はベヒーモスでしたって事あったし。

 後でサージョさんに聞いたらベヒーモスは満腹になると地面に潜って数日動かない習性があるって言ってた。

 その時に被った地面に草が生えて丘に見えるそうだ。


 ……逃げるぞ! マジで逃げるぞ!

 ……相棒が腰で戦え! っていてる気がするが今回は無視!

 いくら訓練で成長したと言っても一人でベヒーモスは無理過ぎる!

 クーゴさん達でさえ三人がかりで倒したんだぞ!


 まだ気付いて無いよな?

 今なら逃げれるよな?


 よし、全力で逃げるぞ!!!


【レーニング、町の正門前】


 ……んな怒るなよ相棒。

 たく、逃げ切ったは良いが相棒が不貞腐れてしまった。

 相棒は俺の剣なのにどうして好戦的なんだろうな?

 ……それを言ったら剣なのに意思表示がある時点で色々おかしいんだよな。

 

 まっそんな細かい事は気にしないが。

 仕方ないから相棒の為に少し魔獣狩りでもするか。

 どっかにサーベルウルフ居るかな?


 ……あれ正門前が忙しないな? どうしたんだ?

 門番さんに聞けばいいか。


「どうしたんですか? 」


「あぁキットさん、実は……」


 門番さんの話を纏めると、

 ・ガルーダが町の近くに現れた。

 ・討伐しないといけないが兵士が別件で出払って人出が足りない。

 ・冒険者に頼みたいが冒険者も出払ってる。

 ・さぁどうする?


 うーん、メンドイ事になってるな。

 ガルーダは町の高い塀を超えて魔族を積極的に襲う魔獣だから見かけたらすぐ討伐する必要がある。

 

 だが、兵士が今足りない。

 理由は俺の倒した人間の女の死体の回収に行ってるから。

 冒険者はレーニング近くに出たベヒーモス狩りに総出で出かけ今はいない。


 ……あれ?

 人が足りないの俺のせいじゃね?

 

 いやいや、人間はそもそも魔界に来て悪さしてる人間自身のせいだし。

 ベヒーモスは偶々俺が見付けただけだし、そもそも俺が見つけたベヒーモスとは限らないし。


 ……はぁーっ、やるしかないか。

 このまま知らんぷりするのは気が引けるし。


 ……相棒もさっきからやる気まんまんだし。

 メンドイな、でもやるしかないか!


「俺が戦いますから塀の上に上がる許可貰えますか? 」


「本当ですか? では兵士か冒険者が帰ってき次第援軍に行きますからそれまでお願いします!」


【レーニングの塀の上】


 高っかー!

 この塀高くね?

 下見たくないなマジ。


 ……周りに他の人が居なくて良かったも。

 高さにブルってる姿見られずに済むからな。

 だがこの高さなら空を飛べるガルーダとも戦えるな。

 兵士さん達は今頃は町の人達に避難勧告と避難誘導してる頃か。

 当分は増援は期待出来ないか。


 ……俺一人でガルーダ倒せるか?

 ……ああ悪かったよ。

 相棒と二人で戦うんだったな。


 別に無理に倒す必要は無いんだよな。

 増援が来るまで持ちこたえるか、追っ払えば良いんだし。

 それくらいなら俺にも出来るはずだ。


 ……来た!

 やっぱりこの位置で待っていて正解だったな。


「ギャース! 」


 ……デカイな、ベヒーモス程じゃないが。

 それでも五メートルはあるか。

 力比べは分が悪そうだ。

 なら先手必勝だ!


「『炎呪文フレイム』! 」


「ギャーーッ! 」


 ガルーダが口から炎を吐き出した!

 チッ、ガルーダの奴め。

 スキル『火炎放射』で俺の 『炎呪文フレイム』を相殺したか。


「ギャーーッ! 」


 また『火炎放射』を吐き出した!

 ならこっちは、


「『速度強化呪文アクセル』!」


 んで、そのままジャンプ!

 サージョさんに教わって良かったよ、『速度強化呪文アクセル』はジャンプ力も強化出来るって。

 

 元々体重が軽い俺がジャンプ力が強化されると数メートル飛べる。

 これなら!


「うりゃ! 」


 ジャンプした勢いでそのままガルーダの翼を相棒で斬る。


「ギャッ! 」


 浅いか!


「ギャー! 」


 爪で攻撃してきたか!

 だが、


「 『炎呪文フレイム』! 」


 俺は 『炎呪文フレイム』を推進力にしてガルーダの攻撃を交わした。

 前世のロケットを参考にした俺のオリジナル戦法だ!


「もう一回、 『炎呪文フレイム』! 」


 今度はガルーダに突撃だ。


「ギャ!?」


 上手くガルーダの背中に体当たり出来た!

 このまましがみついて。

 おっと、振り落とそうとしてもそうはいかないぞ!


「おりゃあ! 」


 相棒をガルーダの背中に何度も刺す。


「ギャッ、ギャッ、ギャース!」


 俺が背中に居るとスキル『火炎放射』も爪も届かんよな?

 このまま倒す!


「ギャース! 」


 まさか!?

 俺ごと町の壁に体当たりする気か!?


「衝突事故は一人でやれ! 」


 俺はガルーダの背中を蹴って壁に飛び移った。


 デカイ音がしたから壁に激突したか。

 やったかな?


「ギャース! 」


 やってなかった!?

 ガルーダは頭から血を流しながら爪で攻撃して来た!


 何とか盾でガルーダの爪を受け流したが危なかったな。


「ギャースギャース! 」


 ……ガルーダは引く気はないようだ。

 兵士さん達も冒険者もまだ来ない。

 魔力の残りも心配だ。

 だが、やるしかないか!


「ギャーーッ! 」


 また『火炎放射』!


「ワンパターンなんだよ! 」


 また俺もジャンプして避ける!

 ……って目の前に爪!?


「うわーっ!」


 ……つぅ、痛!

 ……俺の下半身が無い!!?

 今のでやられたか。

 ガルーダめ、『火炎放射』しながら俺に突こっんでくるとは。


「 『炎呪文フレイム』! 」  


 また俺は『炎呪文フレイム』を推進力に空中を舞う。

 下半身無いから魔力尽きたら移動手段が無くななる。

 下半身の復活を待つ暇もない。

 ならこのままガルーダに突撃あるのみ!


「うおりぁーーー!!」


 これで終わらせるまでだ!


「ギャース!? 」


 俺を倒した気になってたかガルーダ?


「油断大敵だ! 『疾風斬り』!」


「……ギャー……ス……」


 俺はガルーダの首を切り裂いた。

 ガルーダはそのまま血を雨のように降らしながら地面に落ちてく。

 よし終わったぞ!

 

 ……俺ってどうやって着地するんだ?

 下半身無いのに?


「落ちるーーー!!」


 あぁ締まらないな俺って。

 まっガルーダ倒したから良いよな。

 だろ、相棒?

 オマケ


 『ガルーダ』


 体長5メートルほどの巨大な鳥の魔獣。スキル『火炎放射』と爪やクチバシによる攻撃を得意とする。

 

 主にサーベルウルフなどを獲物にするが、偶に町や村の魔族を襲うことがある。その為に発見されるとすぐに兵士や冒険者の討伐対象になる。ガルーダは飛べる為、町の塀を超えて飛んでくる。

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