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血染めの伯爵夫人(コンテス)に愛された、たった一人の失敗作

作者:kaka
最新エピソード掲載日:2026/08/16
――彼女は、わたしを「殺し損ねた」。

血に浸ることを愛した狂気の吸血鬼、バートリ・エルジェーベト伯爵夫人。 彼女の新しい遊戯は、獲物の首筋に牙を立て、吸血鬼化という儀式をわざと失敗させること。全身の毛穴から血を噴き上げ、絶命する犠牲者たちの咲き乱れる様を、彼女は「薔薇園」と呼んで愛でた。

ミラ・ヴェレシュ、当時十六歳。 その日、薔薇園に選ばれた少女は――咲かなかった。

儀式は成功してしまった。血を噴き出す代わりに、少女は不死者となり、以来百年、伯爵夫人のたった一人の従者として、彼女の狂気に寄り添い続けた。愛されていた、と思う。憎まれていた、とも思う。ただ確かなのは、伯爵夫人の首筋の匂いだけが、この世でただ一つ、彼女を「渇き」から救ってくれたということ。

――そして今、その伯爵夫人が銀の棺に封じられた。

血の従縛から解き放たれた不死者は、初めて自分の足で歩き出す。人間に戻るために。あるいは、自分がもう二度と人間には戻れないと知るために。

蒸気と煤の帝都を発ち、鐘の街、忘却の湖、雪の修道院へ。 一つの旅の終わりに、少女はいつも、誰かの人生の欠片を持ち帰る。

これは、殺されそこねた少女の、ゆっくりとした「弔い」の物語。
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