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悲しみ
僕は、また涙が流れ始めた。
たくさん泣いたはずなのに、今度は声をあげずに噛みしめるように泣いた。
そして、この苦しい気持ちが何なのか解った。
「あぁ、これが『悲しみ』っていうんだね彩。」
最後の最後まで彩にたくさんのものを貰ったことに気づいた。
手紙を綺麗にたたみ封筒に入れると崩れるようにうずくまると
涙を堪えようとした。
「わん!」
そんな時子犬が僕の顔を覗き込み涙を舐め取った。
そして首をかしげて何度も何度も涙を舐め取る。
「そうだね。泣いても何も始まらないよな。ねぇ。君の名前を彩にしたら怒るかい?」
僕は子犬にすがるように頭を撫でた。
「わんわん」
嬉しそうに子犬は泣いた。
まるで、いいよっと言ってる様だ。
身代わり・・・。
僕は更に涙が零れた。
「ごめん、今日だけ泣かせてくれないか。」
僕は子犬を抱きしめた。
「きゅーっ」
子犬は悲しげな声を出して静かに僕の涙を舐めた。




