入学式
レビューいただきました!ありがとうございます!
「待て。ノービターク伯爵家の方々とお見受けする。」
襲撃を受け閉ざされていた馬車の扉が開き、マリッサ達を取り囲んだ護衛達を制止する声がかかった。
「ドラコ・モンテーヌだ。襲撃への対処感謝する。シエルから話を聞いて会ってみたかったんだ。」
ピカピカの新入生とは思えない貫禄を醸し出しながら第一王子が二人に感謝の意を伝える。
マリッサは密かにナマ王子さまきたー!と鼻の穴を膨らませていた。
しかし表面上はきっちり淑女の仮面を被れていた。
母の血と汗と涙の集大成であった。
ところでシエルって誰?
「しかし殿下、事実関係をはっきりさせないわけには…」
「先に到着していたノービターク先生とマリッサ嬢が襲撃に気付き魔道具で防御してくれたと推察するがどうだろうか。」
初対面のはずなのに名前まで知っていることに内心驚きつつ、その通りだと返答する。
「襲撃者達には簡単な治癒をほどこし王宮に連行して尋問しろ。入学初日から騒ぎにしたくない。このまま入学式に出る。」
「この件に関しては他言無用とする。
また、手間をかけてしまうが、後日王宮より状況説明をお願いすることになる。使用した魔道具に関しては魔道具研究所所長のノービターク伯爵にも説明を求めたい。」
「わかりました。では父には伝えておきます。
あと自白に効く魔法薬もあるので、ご入り用ならお声かけ下さい。」
さりげなく治験にもちこもうとしてる兄さまに軽くひく。
マッドサイエンティストっぽい!
「ねえ兄さま、『シエル』ってどなた?兄さまのお知り合い?」
入場式会場に向かう途中でこっそり兄さまに聞くと、すごくあきれた顔をされた。
「誘拐され仲間の名前、まだ覚えてなかったのか?
オリジン公爵家のシエル君、クラスも一緒のはずだからいい加減覚えときなね。」
ああ、巻き毛様か!人の名前も顔も覚えるの苦手なんだよね。へへ。
学園長の長い話を睡眠学習で聞いたあとは魔力量検査をしてクラス分け!
やっぱり水晶かな?もしヒロインとかいたら虹色にピカーっとかしちゃうのかな!?
「魔力量は入学式会場の入口に測定器が設置してあったので、すでに測定済みです。
魔力量によって実行可能な魔法が変わってくるので、クラスは魔力量によって三つに別れます。入場時に渡した名札の裏の色がクラスカラーになります。
いいですか、新入生のみなさん。魔力量は個性です。優劣はありません。」
司会の先生の説明をきいて、なるほどーと納得する。
虹色ピッカリはなかったけど、魔法世界らしい効率化にほっこりだね。
そして魔力量は個性!それ知ってる!
なんでも一昔前は魔力量至上主義で、そのせいで魔力量の多い子供を生むための無理矢理な婚姻や相続争いや血みどろのアレやコレがあったらしいのよー。その名残で今も高位貴族には魔力量多い人が多いらしいんだよねー。
そんなことをツラツラ考えつつ名札をめくると青色だった。
他は赤と黄色だって。信号カラーだね~。
王国に加護を与えたと言われてる青龍、黄龍、紅龍になぞらえてるそうな。
そんな原色、カエルだったら毒だよね~。
「青龍クラスの新入生はこちらへ!」
担任の先生は悪役っぽい迫力のある顔の渋めのオジサマ。ガセル先生。
ありゃ、さっきぶりの王子もいる。ナマ王子はレアキャラでよかったんだけどな~。あれ?あの巻き毛は巻き毛様かも?あっちはスネチャマかも?
って、ちょっと待って、そんなことより教室がステキ!
高い天井、磨き込まれた床、煉瓦の壁、等間隔に並ぶ縦にながい窓には蔦が這い、階段状の教室にはアンティークのようなどっしりとした机が並んでいる。
これぞ魔法学園の学舎!テンションあがるー!
あ!副担任が兄さまだ!すごい偶然!びっくりー!
この後は自己紹介したり、校則の説明を受けたり、教材を配られたりで無事終わった。
家に帰るとすぐ、王子が襲撃された件を父さまに報告する。
「はは、初日からそれか。なかなかヘビーだね…。
マリッサは学園行きたくなくなったら、いつでも言っておくれ?
エリック、いつもの薬をくれるかい?」
父さまがお腹をさすりながら、兄さまから薬をもらってた。
お腹壊したのかな?まだ少し冷えるものね。
誕生日プレゼントは腹巻きにしようかな。
母さまもよくお腹押さえてるから、お揃いの腹巻きとかいいかも!
さあ、楽しい学園生活がはじまるよー!
エリック「副担任が偶然のわけない。当然仕込み。」
父「警備強化や生徒保護のための魔道具を山ほど無償提供したからな!」
エリック「過保護な父兄バカ見るような目がつらい…」
父「すぐ泣いて詫びてくるさ!我々も一緒に泣いてそうだがな!」




