第25話 到着
数日間の馬車旅を終え、6人はようやく目的地へとたどり着いた。
「見えてきましたよ。」
御者の声に、みくは馬車の窓から外を覗く。緩やかな坂を下った先に、小さな村が見えた。
「……あれが、セレス村?」
思わず声が漏れる。王都で見慣れた街並みとは、あまりにも違っていた。家々の屋根は傷み、壁は色褪せている。土の道には雑草が伸び、畑も十分に手入れがされているとは言えない。村人たちの着ている服には何度も繕った跡があり、子どもたちもどこか元気がない。活気というより、静けさだけが村を包んでいた。
「思っていたより……。」
みくは言葉を飲み込む。エレナはそんな村を見つめながら、小さく頷いた。
「魔獣の被害で、多くの家や畑が失われた。生き残った人たちも生活を立て直すだけで精一杯。若い人は仕事を求めて王都へ出て行き、その後結界が張られ今ではこの有様さ。」
みくは村を見つめ続けた。
これから自分が領主として暮らす村。決して豊かとは言えない。それどころか、このままでは少しずつ衰退していくだけだろう。それでも、不思議と目を背けたいとは思わなかった。
(この村を……みんなが笑って暮らせる村にしたい。)
その瞬間――。ステータス画面が勝手に開いた。
『保存魔力量が上限に達しました。』
『【魔力保存】がレベルアップしました』
【魔力保存Lv.3】
•保存した魔力を解放可能
•保存した魔力を他者に供給可能
•ステータスと会話が可能
〈レベルアップ条件〉
•50回に魔力供給を行い、契約すること
「えっ……?」
突然の表示に、みくは思わず目を見開く。今まで保存することしかできなかった魔力。それを外へ放出できるようになったらしい。胸の鼓動が少しだけ速くなる。
(魔力を……使えるようになった?)
みくは期待を胸に抱きながら、ゆっくりと馬車を降りた。耳元では、新しく身につけた虹色のピアスが、陽の光を受けて静かに輝いていた。




