7話
どすん、と鈍い音があたりに響く。
「んぅ…」
その衝撃で少年が目を覚ました。
「は…?なんで、リーナが…?」
「人には人の生きる道ってのがあるでしょ?!
あの子の人生を、お前が決めるな!!」
私は魔法使いの男を組み敷いたまま、すごい剣幕で続ける。
「お兄さんだって奴隷と関わるような仕事してないで、もっと幸せに生きれるでしょう?!そんなに凄い力を持っていて、どうしてここまで腐ったことができるの?!」
怒りのまま怒鳴り続けていると、
「っ…!そいつはマフィアだ!!きっと勝てない!!殺される前に早く逃げろ!!」
目覚めたらしい少年が私に向かって叫ぶ。
「殺しだって厭わない連中だぞ!?くそ、俺がこんなヘマしなければこんな氷…!」
マフィア?!マフィアって、あのサングラスと銃を持ってスーツで人を殺してるイメージのあのマフィア?!この世界にいたの?!
どうやら、私はマフィアに啖呵を切って焼き入れていたようです。
でも、後には引けない!
「…!私が時間を作るから、君はなんとか逃げて!」
そう言って男の顔を見ると、涼しそうな顔で私を見ているのがわかり、背中がひやっとした。
この人、いまノーダメージじゃん。
「…お前、名前は?」
「え?」
予想外の問いかけに、時が止まったような心地がした。
「答えちゃダメだ!」
「わかったわ答えなーーーひゃ!!」
くるん!!と私と男は簡単に形勢逆転し、ほぼ男に抱きすくめられたようになってしまった。
こ、殺される…??!
「お、お前!!!くそ!!!」
「…」
フードの下から、じぃと見つめられる。
黄金のような瞳が私を捉えている。
バキィ!!!と音が鳴り、少年が氷を砕いて拘束から解かれたのがわかった。
「今日はお前を持ち帰ることにする。そっちは一旦用済みでいい」
「は?」
「な、なんて?」
男は放り出されていたマフィンのバケットも手に取り、そのまま私を抱きしめて空中浮遊魔法で空高く飛ばれた。
「う、うわぁぁぁぁああああ?!」
「うるさい、静かにしろ」
「リーナ!!!!!!!」
視界の端に、絶望の顔を腕をこちらに伸ばす少年の姿が見えた。
「え?」
なんで、彼は私の名前を?
「リーナというのか」
勢いよく街の上を飛び、教会のさらに裏の暗い街へと空を進む。
「は、離して!!お願い!!」
足をバタバタさせて、私は抵抗する。
「離したら落ちて死ぬ」
「空中浮遊魔法私だって使えるし!!」
「…ほぅ」
少しだけ男の目が細められた気がした。




