1/8
プロローグ
…拝啓、前世の私へ。
社畜生活は大変でしたね。
始発から終電まで働く日もあれば、会社の床で死んだように寝ていて気を遣った先輩がブランケットをかけてくれて、朝起きたら先輩も床で寝てて死んでるかも思った日もありました。
翼をくれたり怪物になれるエネルギードリンクの缶の匂いは嫌いになりました。
でもあれがないとやっていけなかったよなぁ。
社畜になる前、大学生の頃までは甘いものが大好きで、お菓子作りが趣味で。
はやくに両親を亡くしてひとりぼっちだった私が、唯一夢中になれるものだった。
お菓子を作って学校に行けば、周りの子が喜んで食べてけれたから。
お金が足りなくて調理学校には行かず、奨学金で入った大学からすぐにお給料が高そうな会社に入っちゃったから、パティシエとかにはならなかったけど。
何よりマフィン作りは大得意だった。
焼けたあと、オーブンを開けたとき部屋いっぱいに広がる香り、ふわふわな食感、舌に乗せた時の優しい甘さ。
そう、マフィンを焼くのが好きだったんですよ。
なのにどうして今、
私はマフィアを焼き入れているんですか…??
助けてください。




