第80話 学院祭パニック21
そんなこんなで二回戦。
勿論、
「高等部武闘祭」
のソレだ。
チームカノンもミズキの活躍を観客席から見ているらしいし、そうでなくとも彼は悪目立ちしていた。
予選。
その二回戦は少し趣向が違った。
「なんとまぁ」
ミズキのぼやき。
現われたのはメタルゴーレム。
金属で出来た土塊人形。
予選に残った三人でメタルゴーレムと相対。
一人一回の魔術行使。
それで最もメタルゴーレムを負傷させた選手が勝ち抜け。
本戦に進める。
「嫌がらせか」
とはミズキの感想。
特別不満も無いのだが、
「いいのかソレで?」
は確かな本音だ。
二メートルを超える金属の人型がズンと立つ。
およそ偉丈夫を思わせる圧倒感は、それだけでプレッシャーであろう。
しかも全身金属ともなれば、仮に騎士ならどうしようもない徒労すら覚えてしまうかもしれないほどだ。
こういうところでも魔術師の有利さは存在する。
ルール上、三人がくじを引いて順番を決める。
ミズキは最後だった。
一人目。
「――太陽――」
火属性の中級魔術。
熱量は表面を溶かしたが、
「くそっ」
高得点とはいかなかった。
二人目。
「――水流刺突――」
水の槍がメタルゴーレムを襲う。
けれども弾かれた。
得点で一人目を超えられない。
三人目。
ミズキだ。
二つ名は、
「へっぽこ」
その通り。
ぶっちゃけるなら、
「無理だろ」
ということに相成る。
「なんだかねぇ」
嘆息。
謳歌。
神話言語の詩を謳う。
「――術式拡散――」
宣言。
風が鳴く。
魔性の風だ。
そのことごとくが否定を用いてふきすさび、この世の摂理と常識を根幹から打ち崩してしまう。
魔術の術式を解く。
世界そのものの魔術否定。
メタルゴーレム。
天然魔術だ。
神の設定した裏技。
その一端。
そもそも、
「金属が意思を持つ」
が魔術の領域。
であれば結果は理解できる。
ミズキの術式拡散は、
「ま、な」
メタルゴーレムを塵へと還した。
「…………」
会場に沈黙が落ちる。
言いたいことはミズキにも分かる。
「身も蓋もない」
言ってしまえばソレだけ。
「色々とな」
嘆息。
当人の冷静さとは真逆に、
「「「「「――――」」」」」
観客は沸いた。
然もあろう。
「へっぽこ」
再三になるがそんなミズキだ。
メタルゴーレムを一手で滅ぼしたとなれば、
「凄い」
程度の感想は出る。
「然程でもないんだが」
歓声とは不の正比例をして、
「テンションだだ下がり」
なミズキであった。
基本的に「へっぽこと呼ばれて安心する」タチだ。
別段、矜持を持ち合わせているわけでもない。
褒められて誇らしいこともない。
ただ、
「能力があるだけ」
とのこと。
ミズキにとって魔術は一手段だ。
ワンオフ魔術からしてそうなのだから、ゼネラライズ魔術ともなれば、
「使えて便利」
が本音だ。
学院祭二日目。
予選を突破してミズキは本戦に身を投じるのだった。




