14話 史上最速だってよ
まだヒロイン的な存在はいませんが、近々登場させる予定です。
個人的に過度なハーレムは嫌いなので、多くても男より一人二人多い程度で、全員が主人公大好きみたいなことにはなりません。
とはいえ主人公も男なので、ハーレムを望む描写はあるかもしれません。
「こ、これが...」
ギルドマスターに案内され、奥の部屋に入る。
早速魔石を見せたのだが、大量のゴブリンとオーガの魔石と一際大きなオーガジェネラル、オーガキングの魔石の迫力に戦いているようだ。
「これを...、本当にお前がとってきたのか?」
そりゃそういう反応になりますよね。ただでさえ強力な魔物を、(この世界では)成人したての若造が冒険者登録をした初日に狩ってきた。驚くなっていう方が無理ってもんだ。
「本当だよ。一応オーガキングは俺じゃなくてコイツが倒したんスけどね」
そういってリクを指差す。
するとギルドマスターが更に驚いた顔をして言う。
「えっ君が?」
「あ、はい、一応、そうですね。僕強そうに見えませんよね、驚きますよね...」
「あぁ、いや違うんだ。そういう意味では...」
おーいリクさーん、そういう性格なのは知ってるがギルドマスターの人が困ってるからやめてあげろ。
「この部屋に連れてきたってことは、報酬と換金だけじゃないんだよな?」
「そ、そうだ。その話をしなくてはな。オーガキングを倒せるような人材がF級にいるだなんてギルド側として見過ごせん。放っておいてもすぐにランクを上げてくるだろうが、この機会で大幅に上げてやろうと思ってな」
俺が話題を変えると、慌ててそれに乗ってくるギルマス。
まぁなんとなく予想はしていたが、ランクを上げてくれるのは何かと助かる。F級のままだと依頼も良いものがないしね。
「オーガキングはA級やB級が複数人いてやっと倒せる魔物だ。それに、魔石の数を見るに森の魔物は大方狩ってきたんだろう? お前たちの実力は確実にA級に届いているだろう。本当はA級に一気に上げてやりたいところなのだが、B級以上の昇格には試験が必要でなぁ」
話を聞くと、B級からは特に危険な依頼が増えてくるため、本当にそれに値する力があるかのテストがあるということらしい。そして一度テストを受けたら一週間はもう受けられないとのこと。
つまり、B級のテストに受かってもA級のテストを続けて受けることはできないということだ。
「まぁそんな急ぐことはないからな。B級でもA級用の依頼は受けられるんだろ? 当分は強力な魔物とやり合うつもりもない。装備を調えて拠点を確保できる程度に金を稼げるまではな」
「A級の依頼に出される魔物でも相当強力なんだが...。それにS級用の依頼なんて全くないと言っていいほど少ないぞ?」
「確かにそうか。まぁその方が好都合だしいいか」
A級も国に何人かいるくらいらしいし、そんな奴らへ向けた依頼が簡単なものな訳ないよな。
「まぁいい。取り敢えず試験は受けるんだろう? B級昇格試験の内容は実践だ。B級に相応しい力量か試すためのものだが、丁度いい。今日は俺が担当しよう」
実践。冒険者のテストとしてはこれ以上に似合うものはないだろう。「力量を試す」。単純だが一番大切なことだ。
ギルマスは三年前まで冒険者をしていたらしい。A級冒険者として中々な活躍をしていたそうだ。
引退はしているものの、ベテラン冒険者の力を知れるのは嬉しい。
「地下に訓練場がある。ついてこい」
訓練場は体育館くらいの広さがあり、弓の的のようなものや刃の潰してある武器などが並んでいた。
キオスの兵士から貰ったものに近い形の剣を手に取り、ギルマスも同じように武器を選ぶ。
俺とギルマスは五メートルほど離れて立った。
「俺と試合をして勝ったら合格。勝たなくても俺がB級に見合う実力だと判断すれば合格だ。お前は魔法を使えるのか知らんが、魔法含めあらゆる手段を自由に使ってかかってこい」
「オッケー」
「本当は力試しということで手加減してかかるんだが、オーガキング...いやあれはリクの方が倒したのか。あれほどの数のオーガを無傷で倒したお前だ。手加減は期待するなよ」
「勝ったら否応なしに合格だろ? こっちも本気でやらせてもらうよ」
対人戦は初めてだ。いや正確には2回目か? 盗賊とも戦ったがあれは...一方的な制裁って感じで対人戦にカウントできるかは微妙なラインだったな。
一応ギルマスのステータスを確認しておくか。
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アグマン 37歳 男
種族 人族
職業 ギルドマスター
レベル59
〈スキル〉
危機察知 威圧 身体強化5 体術4 剣術6 物理攻撃耐性3
─魔法─
火魔法1
─ユニーク─
硬直
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〈硬直〉...一時間に一度、視界に入った生物の動きを一瞬止めることができる。
流石は元A級冒険者だ。物攻や敏捷といった能力値も600以上ととても高い。
しかし、火魔法が使えるもののスキルレベルは1でMPも低い。魔攻、魔防も低いため魔法は苦手なようだ。
ユニークスキルも持ってるのか。〈硬直〉ねぇ。一瞬とはいえ動きを止められるのは厄介だな。常に命懸けの戦闘では一瞬の隙も命取りだ。
「どうした? 始めるぞ」
〈思考加速〉があるものの、ギルマスのステータスをじっくり見ていたら数秒黙っていることになる。怪訝に思ったのかギルマスが尋ねてくる。
「いやなんでもない。早速行くぞ!」
俺は叫ぶと共に駆け出した。能力値、スキル一つ一つの熟練度、戦闘の経験など、ほとんどが劣っているが、勝機は十分にある。異能に頼り過ぎるのはよくないが、剣や魔法と共に異能も並行して使っていこう。
剣で斬りかかるが、ギルマスは危なげなく自分の剣でそれを抑える。筋力や〈剣術〉では劣るため、このままだと弾かれてしまう。慌てて引き、再び斬りかかる。何度か剣を合わせるが当たる気配がない。
こっちは割と必死で剣を振るっているというのにギルマスは涼しい顔をして防ぐ。クソー
このまま続けても埒があかないので、一旦引いて様子を見る。
魔法を撃とうとしたその時、一瞬体の制御がきかなくなる。これが〈硬直〉かっ!
「ふっっ!」
この一瞬の隙をつき、ギルマスが距離を詰めて斬りつけてきた。
ギリギリで硬直した体が元に戻り、慌ててよける。
「っぶねぇー!」
「今のを避けるか...」
避けられたことが意外だったのか、驚いた表情をするギルマス。
剣で駄目なら魔法だ。魔法なら俺に分がある。
「水球!」
水魔法レベル1の水球を放つ。
「っ!? 火壁!」
ギルマスは慌てて火魔法で壁をつくるが、〈ヘルメス〉で威力に2倍補正がされている俺の水球は少し勢いが落ちただけだ。
火壁を突破され、すぐさま避ける。しかし、俺には〈ポセイドン〉がある。水を操ることができるのだ。
本来はそのまま威力を失い落ちるはずだった水球は、球からバットのようなものに形を変えてギルマスを殴りつける。
「浮いている水製のバットに殴られる大男」という絵面はなかなかシュールだな。
「こ、降参だ!」
降参ということで水に込めた力を抜くと、水は重力に従いパシャッと床に落ちる。
「途中、これは勝てるなと安心したのだが...。最後のはなんなんだ? あんなの見たことがないぞ?」
「ただの普通な水魔法だよ」
「いや明らかに普通じゃ...いや、冒険者たるもの手の内はそう明かすものではないか」
「これで晴れてB級か」
「ああ、文句なしの合格だ。一日でFからBに昇格なんて史上最速じゃないか? 前に引退したS級は登録から一週間でB級になったって大分騒がれてたが...」
俺も異能がなかったら何ヵ月もかかっていただろう。流石S級。規格外だな。
「ところでギルマス、一仕事終えた感出してるけどまだ一人残ってるぞ」
「そうだな。リクはコーキほど規格外じゃないといいが」
俺たちは観戦していたリクの方を向き言う。
そしてリクは覚悟を決めた表情で、
「お、お願いします...!」
HP 500/500
MP 450/450
物攻 400
物防 420
魔攻 350
魔防 340
敏捷 390
幸運 150
このような能力値は今後あまり書かない予定です。
コーキの幸運値の規格外さ、神々と人間の圧倒的な差をわかりやすくするために書いていたので、もう役割は終えた感じです。
とは言ったものの、たまに書くこともあるかも知れません。




