ターバンは卑怯だ
「そう……だな、いいんじゃないか?」
少しの間ぼんやりしているみたいに見えたアルバからようやく了承の言葉が出て、あたしのテンションも自然と上がる。
「じゃ、さっそく行こ。この街のバザールって、十時には閉まっちゃうんだって」
なんせここは砂漠の街。バザールはまだ温度が上がりきらない午前中と、日が沈み始める夕方七時からの限られた時間しか開催されていないらしい。
浄化の旅で寄った時も、この前転移で逃げてきた時も、深夜に到着して翌朝のバザールで必要なものを買い込んでそのまま街を出発したから、そんな事も知らなかったけれど、お風呂を借りるついでに宿屋の女将さんにバザールに行くつもりだと話したら、注意事項を色々と教えてくれたんだよね。
「十時……もうあと一時間ちょっとしかないな」
「そう、だから朝ご飯を食べるついでに下見しといてさ、夕方からしっかり見たらいいんじゃないかな」
「じゃあ、行くか」
すぐに支度を始めてくれたアルバとは真逆なのがハクエンちゃん。ベッドの上でとてつもなくダラ~ンとだらけ切っている。
まあ、支度が要らないってのもあるのかも知れないけど、完全に興味ない感じだったから、さては行かないつもりなのかな。
「む、なんだ」
さすがに獣王。私の視線に気づいたらしい。
「いや、ハクエンちゃん、支度する様子がないから」
「我は行かぬ」
あ、やっぱり。
「昨日の街で辟易した。我が一緒だとお前たちも行動がし辛かろう、我はこの宿で涼んでおく」
あらま、昨日お店でひと悶着あったの気にしてたんだ。
「あ、でも宿の人が部屋の掃除とかには来るかもよ?」
「あの忌々しい植物の効果も抜けたからな、もう魔力のコントロールもは万全だ。力は弱くともこの宿の者から姿を隠すことくらいはできる」
それなら、いいかな。
「わかった。じゃあハクエンちゃん、このお部屋からは出ないでね」
「いいだろう」
大丈夫だろうとは思いつつ、賢者サマから耳打ちされた「さりげなくハクエンちゃんの行動に制限をかける方法」を実践してみた。
たぶんこれで、お部屋からは出られなくなったはず……なんだけど、あんまりあっさりとハクエンちゃんが応じるから、かえって本当に効力があるのか心配になっちゃうな。
「行こうか」
そうこうしているうちにアルバの準備も整ったらしい。振り返ったら、鮮やかな青いターバンを無造作に纏ったアルバが立っていた。
う……わ、かっこいい。さすがに元砂漠の民、尋常じゃなく似合ってる。
ターバンって卑怯だよね。目元だけしか露出してないのに、余計にかっこよく見えるのってなんでなんだろう。鮮やかな青と、浅黒い肌、涼やかな目元が異様にマッチしてる。
「完全武装だね。どうしたの、そのターバン」
ちょっと気恥ずかしくて、素直にかっこいいとは言えなかった。
皆様の反応が怖い回(笑)




