表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/95

誰が悪い事にしようか?



空を仰いだ。


不思議だ。

謎だ。

なぜだろう。


なにゆえに、思い通りにならないのか?


「どうしました」

知人の声。


ニートは応えた。

「なかなか上手くいきませんね」


当たり障りなく。


「宗旨替えですか?」

「収支替えです」


粉飾決算?


「なら帳尻は合わせますか」


ニートに問うた知人は意味を違えない。さすがに苦笑気味だが。


「良いじゃないですか」


知人は知人で、いろいろ苦労が多いので、まんざら気休めでもない。


「手を尽くした挙げ句、帳尻しか合わないんですよ」


こぼすニート。

同席した知人は不思議そうな目でみる。


「帳尻が合い、メリットがあるのでしょう」


なら、良いではないか。

と。


ニートは慣れたもの。

世間の無理解は飽きるほど体験しているニート。


そこで異常に気付けという話だが。


だがしかし、ニートは寛大になれる。

邪魔にならない相手にはとても親切だから。


世間にケンカを売るスタイル。


ニートなりの親切で、困惑している知人に落胆の理由を伝える。


「努力して手に入れるモノになんの価値がありますか」


ニートは肩をすくめた。


相手はニートの視界で活動する相手。

どうでもいい相手なら適当に煙に巻く。

だが、知人にはスタンスを知らせて置かないと『手間が増える』と思っている。


「給料30万より拾った500円の方が価値があります」


聞く知人は吹き出した。


相変わらずだ。

ニートは、まったく変わらない。


努力すれば手に入るなんて当たり前。

レジで金を払い品を受け取る。

それに喜ぶ奴が居るか?


コスト無しに手に入れる。

そうでなくては価値がない。


ニートの基本的な発想。


ニートと付き合いがある相手なら、敵も味方も知っている。


賛同する者はいない。

いや、知人自身は見たことがないだけかもしれないが。


ニートの味方は『出た出た』と苦笑。

ニートの敵は『世の中を舐めるな!』と激昂。


「心から信じているんてすね」


知人は笑いながら考える。


自分はニートの味方ではない。敵でもない。

だから、楽しめる。


――――――――――知人は、不思議そうに見返すニートを見た。


珍しく、こちらの意図が読めないんだな、と考える知人。

嘲りでも共感でもない、笑いがあふれる。


ニートは自分の発想を信じていない。

信じるのではなく、自明のことと知っている、と。


『手順を踏めば何でも出来る』


出来るに決まってるから、喜びも驚きもない。

だから、イレギュラーに腹をたてる。

決まりきった結果に至るまで、手間が増えて時間もかかる。

せめて変えてほしい。

微かにでも結果が変わるなら、イレギュラーも楽しめる。


などと考えているニート。

それを楽しんで見る知人。


「我に支点を与えよ」

「されば地球も動かしてみせよう」


合いの手をいれて互いに笑う。

知人は続けた。

笑った理由の、ニートに伝わりやすい、一つ。


「いや、あいつとは合わないわけだ、とね」


ニートが笑った。

確かにクラウンとは合わないと自覚している。


扱い方はわかっているが、役にたたない。

だから、彼が息をしている事が嘆かわしい。


ニートはクラウンを思い出し声を出さずに嘲笑う。

それもまたニートには不愉快だった。

他人を嘲笑して楽しい訳がない。

クラウンが産まれてきているのが残念だ。


とてもとても残念だ。


とまあ、ニートがアレな思索を打ち切り、ホストに向き直った。


「議長」


ギルド『黄金の夜明け』ギルドマスター。



なぜ二人が一緒なのかと言えば、彼が評議会議長だからだ。

なぜ評議会議長が零細ギルド『ネコカフェ』の、たかだか中の中レベルの平凡プレイヤーと差し向かいなのか。


ニートが評議会と敵対したからである。




30分程前。

評議会がある円形劇場に連行されて来たニート。


旧知のエルコレと雑談し、ストレージから取り出したドリンクとツマミで楽しみ。

頭上のネコにドーナツを放り。


ドリンクは南方名物スライムジュース。

ツマミは西方はカマル産ドラゴンの爪揚げ。


「すっげー!ドラゴン出たんか!しかも猟った?」

「カマルから先に進むと群生地があったらしいですよ」

なぜ過去形。

「暇がありゃな~」


といろんな店を冷やかしながら、到着。


「なにをしていたか貴様等~~~~~~~~!!!!!!!!!!」

円形劇場にクラウンがいた。


「お早いお着きで」

「――――――――――」


ニートは呑気に挨拶。

声が出ないクラウン。

何とか声を絞り出す。


「キサマ!!!!あの女をどこに隠した!!!!!!」

「どの女で」

「運営だ!」

「シバタさんならお亡くなりで」

「そいつじゃない!!!」

「どいつで」

「キサマ!」



※繰り返し。



「あれは、五年前の冬、ゆ」

「ちがうちがうちがうちがうちがう!!!!!!!!!!」


ニートに詰め寄り、ネコに威嚇され、周りのギルドメンバーに羽交い締めなクラウン。

ニートのネタ切れとクラウンの脳溢血、どちらが先に訪れる?

だが、残念ながら先に訪れた。


「議長がお呼びです」


訪れたのは盗賊スタイルの女性。この賭けはノーゲームである。


「すぐに、ニートを連れてこい、と」


皆が押し黙る。

調整型で礼儀正しく、温厚な議長、つまりギルド『黄金の夜明け』マスター。

彼が、呼び捨て?呼びつけ?命令?


「ただ今すぐに」


ニートが走り出し、盗賊スタイルの女性が先導する。

クラウンも続いた。


円形劇場の一室。評議会議長執務室(命名、クラウン)。

まあ、観劇用VIP席だ。

オフィシャル設定で防音仕様、しかも外から中は見えない。


ヴァーチャルゲーム『スフィア』。

オフィシャルエントリーとして、芸能人も多数招待されていたからかもしれない。

デス・ゲームが無ければ、この劇場でコンサートも開かれただろう。


「出ていけ」


議長が執務席から立ち上がり、皆に告げた。

ニートはパイプ椅子に座らされている。


「「ハッ!」」

半裸のギリシャ彫刻エルコレと女盗賊。

棒を飲んだように敬礼、即座に外へ。

二人に巻き込まれたクラウンも、厳しい顔の議長に気圧されて、逆らえなかった。


パタンと扉が閉じた。


1,2,3,4,5・・・・・。


「しばらく居てくれるよね」


肩をもみながら、議長が椅子に体を沈めた。

ニートもさっさとソファーに。


「評議会はどうしました?」

「会議は終わってたし、早めに帰って貰ったよ」


先にニートを先導、するフリをしたギルド『アルゴ』のメンバー。

ニートがエルコレを待つ間にさっさと走り去ったが、伝令だったのだろう。


「意地悪だよね」

評議会の席上、クラウンに、ひいてはギルド『黄金の夜明け』に大恥をかかせるつもりだったニート。


「意地悪ですな」

エルコレが走らせた伝令、更に、ニートがクラウンで遊んでいる間に、エルコレから事情を確認して手を打った議長。


「まさか、あんな話させる訳にはいかないよ」

「ご本人の希望ですから、なんとも」


クラウン。


評議会の職務中に攻撃を受けた!これは評議会に対する攻撃であり!首謀者のネコカフェは討伐されるべきだ!!!


とやらかすつもりだった。

かってに。


「小学生に安全圏で状態異常回復薬を投げられました」


――――――――――この議案で召集されたら、評議員、有力ギルドのトップがどう思うか。

怒るか、キレるか。


笑ってくれたら幸運だ。


「興味深い議題になったでしょう」


議長は肩をすくめた。


「理屈が通っているから、却下もしたくない」

「だから、譴責を受けた事にする訳ですね」


同じく肩をすくめたニート。


「恩にきるよ」

「アナタとワタシの仲です」


ニートも、議長まで敵に回すつもりはない。

それに評議会そのものを評価していた。


使える、と。


「じゃあ、時間潰そうか。仕事してるからさ、好きにしてて」


アイテムストレージのメニューウィンドウをニートに差し出した。


冒頭に戻る。


だらだらとニートライフなニート。

メッセージをやりとりして、チャットを挟み、仕事を片づける議長。

時々、雑談しながら時間が過ぎる。



緊急コールが響いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ