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コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


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スフィア・タイムズ実況映像(ノーカット版)

「スフィア・タイムズ、レポーターのフィフィが教都よりお送りいたします。解説は現場に居合わせた『口先の魔術師』『労働倫理の敵』『永久に本気出さない』ニートさんです」


拍手。


「え?仕込み?」

「いえ、私たちへの拍手じゃないですよ」


緊迫感MAXの中に、ただ一つ響く異音。


「見事である!」


百鬼夜行

(マッド○ックスや北斗○拳に出てくるとげとげのモヒカン状態のPC集団)

の中心最前列。


仁王立ち、と言うほどの緊張は無いが堂々たる、立ち姿。

豪放な笑顔に惜しみない拍手。


狂犬(人型)の飼い主。


皆がそう思った。


「4!3!半眼が9か!」破顔一笑。



「なんか言ってますよニートさん!」

「これをご覧ください」


フリップ表示。『位置は表示いたしません』のテロップ。


「彼から見て左翼に4レイド、右翼に3レイド」

教都ゲート前図解の左右にマーク。


「各レイドは見つからないように身を伏せてますから、目標が見える/に見られる位置に各々斥候をだします。これが眼です」

「半眼とは?」

「斥候はツーマンセルですが、一人は身を隠し本隊との連絡線を維持しつつ観察役が潰されるのに備えています。二つの内一つが覗いているから半眼です」

「レイドが7つ、斥候が9セットですか?」

「数に余裕のあるギルドが追加したか、正面に陣取る『聖球寺』の管制役かもしれません」



「人形には不可能な技だ!!!」

2mを超える長身が吠える。愉しそうに。

周りの狂犬は微動だにしない。



「人形とはなんでしょう?ゴーレム?人型魔獣?アイテム?妖精?」

「おそらくはそっくり返っている彼の狂犬、世紀末百鬼夜行な方々では?」

「そう言えば飼い慣らさ・・・統制されているようで陣形もなにもないですね。よく訓練された教都のみなさんは・・・あ、見た」

フィフィがニートの陰に隠れた。

仁王立ちする大男の視線。



「練度にあらず」

一瞥。

日焼けした褐色の肌に短く借り上げた金髪。

怒っている様子はないのでレポーターのフィフィも戸惑う。

カメラマンが仁王立ちを撮ってからフィフィとニートに回り込む。


「教都では特に、自分のギルド以外と訓練しません。信仰上の理由で連合レイド、パーティーも考え難いですから・・・まったく初めての共同作戦ですね」

「待ってください!素人目にも全ギルドの連携が判ります!予想していたのか知らなかったのかはともかく、あっというまに協調、いえ、まるで一つの組織のように対処してるじゃないですか!」

「どのように?」


フリップ大写し。


「あっというまに囲みましたよね!」


ゲート前はまっすぐ西に向かう大路、細長い広場に近い。両側は寺や神社や神殿やモスクや教会などなど。

最大ギルド『聖球寺』が大路を塞ぎ阻止線を創り、それを傘下ギルド『社』が支援と警戒。

左右建物が破壊出来ない(公式イベント中以外の安全圏ルール)のを生かし市内に一番進撃しやすいルートを塞いだ。


背後で各宗教宗派ギルドが集結。


集結後のギルドはレイドを組み左右に分かれ建物の陰から側面に回り込み地形障害の建物を陣地化。

集結中のギルドは現有メンバーをいつでも参戦可能なパーティーに組み換えながら待機。

いつでも前線に入れる体制。


百鬼夜行は正面を教都最大ギルドに塞がれ、左右の建物に集まった複数ギルドに側面を塞がれつつ隙を伺われている。


「連携してるじゃないですか?」

「アドリブです」


??????????


「例えばですね」


目を白黒させるフィフィ。


「世紀末ヒャッハー伝説な狂犬の群れに出会ったらどうしますか?」

レポーターなのに質問される。


「逃げます」

即答。


「何処へ?」

「安全・・・な・・・」


見回すまでもない。街中以上の安全な場所はない。とりわけ現状では。

ゲート前は世紀末ヒャッハー百鬼夜行悪夢伝説。

街の外はリアルバトルフィールド。


「逃げられない。どうしますか」

「助けを求めます」

「誰に?」


運営は頼れない。ゲーム世界に警察はない。


「ギルドのみんなに」


レポーターのフィフィならギルド『球スポ(スフィア・タイムズ)』に助けを求めるだろう。


「するとギルドのみなさんが集まりますね」


フィフィは頷いた。


「集まったらどうします?」


世紀末ヒャッハー伝説百鬼夜行はまだいるわけだから・・・。


「パーティーを組みます」

HPが減らない安全圏からフィールドに追い立てられないように陣形を組む。


「集まりつつ守りを固める?」


フィフィは頷いた。


「その後は?」


まだ、闘いにならなければ?他のギルドが壁になり睨み合いなら?

つまり、『聖球寺』がそうしているように。


「前が塞がれている以上、自分たちで火蓋は切れない。だから、いつ闘いが始まるか判らない」

「闘いに備える?」


ニートが拍手。


「どう備えます?」


フリップを指すニート。

ゲート前のヒャッハー百鬼夜行のハザードするモラルがない集団の位置を指す。


「えーと、正面から『聖球寺』向かい合ってますから、前には進めないし、後ろにいても仕方ないし・・・・・・・・・・・・・・・」

「彼等はゲートから次々とでてきてますよ?」


今はゲート前大路に集まっているが、いずれは街中に溢れ出す。


「あ!だから囲む為に左右に!」


パチパチパチ。


「建物を防壁にすれば正面戦闘よりリスクは少ないですしね」

「でも」


フリップでは、レイド数こそ違うが、ほぼ同数のPCが左右に配置されていた。


「左右の分担は相談してないなら誰が決めたのでしょう?」

「ギルド単位のレイドが手持ち最強ですから、まとまって動きます。つまり一つ一つのギルドは、各々左右どちらかにしか行けない」


頷いたフィフィ。


「誰かのギルドが右に向かったら、あなたも続きますか」


頸を傾げ・・・・・・・・・・・・フルフル。


「右に行くのを見れば左、左に行くのを見れば右」


逃げるのではなく包囲と考えたのだから、最初に動いたギルド以外はそうなる。


「共闘こそ初めてですがライバルの戦力は知ってますから」


互いの旗印でギルド名は判る。ならば先行したギルドの戦力に見当がつく。


「先行したギルドを見て、続くギルドは手薄な側に回る」


さて。

「指揮官が必要ですか?」


えーとえーとえーとえーとえーとえーと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


皆が同じ脅威を見た。

皆が同じ場所に居た。

皆に同じ時間が経つ。

ただ単純に見聞きし、当たり前に考えて、必要に応じて動く。


「いらない、ですね」


誰にでも出来ることばかりを、誰もが実行した。

だけ。


「かも」

は?

「かもしれません」

―――――――――――。


「それがオチですか!!!!!!!!!!」

どうどう。

「じゃなー―――――――い!!!!!」


ニートは胸ぐらを掴まれシェイクされる。


「可能と実行は違いますからね」

「どの口が言いますか!!!どの口が!!!」


完全に信じ込んだ人。ジャーナリストとしてどうなのか?


「この口か!!!この口か!!!!!」

「しゃなあひれふけしゃ(でも、有り得るでしょう?)」


ニートの口の端に親指をかけて左右に引っ張るフィフィ。


「誰でも出来るけど誰もやらないでしょうが!」

おや?

「だいたい!可能な『だけ』な事が誰でも実行出来るなら予習も計画も練習も人類史から消えてますよね!騙されたわたしが悪う御座いましたわね!!!」


ニートは両手でタップ。ギブアップ?


「たひあもさまんは(誰でもは無理ですよ)」

ニートを睨む視線。

「ひょーとの彼らだから出来るんです。他の地域ならパニック起こして自滅半分、自分たちのギルド本部や街角に籠城が6割」


比率がおかしい。


「一応、聞きます。なぜ 、教都のギルドならば出来る、可能性があるんです」

疑惑100%。


「考えるからですよ」


空白。


「宗教は考えることだけで出来ています。彼らは千年以上考え続けた系譜の末裔。全部はあり得ませんが、中核になる何人かは、考える事が出来る人です」


はぁ?


「人間は考える葦と言ってですね!」

フィフィの反駁。


ニートは力づけるように微笑む。


「私はそんな残酷な定義に反対しますよ」


考えられなければ人間ではない。確かに残酷だ・・・よね?


「考えるのではなく感じて、判断ではなく反応して」

目頭を抑える。

「しかしそれでもだがなおしかたなしそれゆえに」

肩ポン。

「あなた達は人間です」


笑顔で親指を立てる。


「また極論を・・・」

「科学の成果は後で調べて・・・辛いでしょうから忘れましょう」

フィフィは中指を立てた。

「番組に戻ります!」



「そろそろですからね」

ジト眼で応えるフィフィ。

「あなたは正解ですよ」

フィフィは視線を逸らし・・・レポート再開。


「教都側PC数は、そろそろ頭打ちです。一方」

カメラが救世主行方不明なマックスが狂いそうな百鬼夜行ヒャッハー悪夢伝説を映す。

「一定間隔での転移が終わりません」


ニートにパン。


「数の差が開かないウチに殲滅するのが定石ですね」



カメラが聖と仁王立ちを映した。

教都PCたちは『聖球寺』、聖が火蓋を切れば呼応する構え。

狂犬は仁王立ちする飼い主だけを見ている。

どちらが先に決断するか。


「少々お待ちください」

僧侶のロープをまとい僧兵と尼僧を率いる少女。

聖はニッコリ。


シャツとジーンズを盛り上げる筋肉鎧に狂犬群を率いる偉丈夫。

仁王立ちはただ、口の端を上げた。



「卿」


低く響く。大声ではない。カメラがフィフィとニートを映す。


「呼んでますよ」

「は?ひっ!」

ニートを盾にするレポーターのフィフィ。


「貴殿だ」

「貴女です」

「え?え?え?」


飼い主、ニート、フィフィ。カメラが順繰り。

ニートに押し出されたフィフィのバストアップ。


「わ!迫って来ました!大変な圧迫感!殺意!害意!みなさんサヨウナラサヨウナラ!」


仁王立ちの大男が一歩も動かずに視線を向けただけでコレである。


「左右の数をどう知った」


フィフィの両肩を抑え逃がさないニート。


「か、解説のニートさん、が、がフリ、ッ、ップ」


ヤレヤレ、と肩を竦めるニート。


「あっ!ひゃ!」


フィフィの耳元で囁いた。弱かったらしく、少し離れる。

性感帯などはキャラメイクにはない。

リアルに連動たわろうが、これがスフィアクオリティ。

ニートが再度、フィフィに入れ知恵。


「・・・え、うん、レイドの配置は、急かす・・・わたしがすべて調べ・・・なに言わせるのよ!!全部アンタがフリップに描いたんじゃない!!!!」


ニートに掴みかかるフィフィ。


「韜晦不要」


ニートは降参ポーズ。


「ホントに貴男テキサス人ですか?」

「アンタは実際!なんで俯瞰したように見通せたのよ!?」


喰い突くレポーターのフィフィ。

索敵スキルを使えば、環境にもよるが、かなり広範囲を察知できる。

妨害魔法や隠ぺいスキルで対呼応されない場合だが。


スキル自体は多数ではなくとも珍しくはない・・・ただし攻略組なら。

PCレベルは最低二桁、実戦使用な効果を得るには取得後の経験値もかなり必要だ。

フィフィの知る限りニートはのPCレベルは一桁、『中堅の上より』程度だ。


「トリガーは何ですか?いつ気がついたんですか?異変と関係は?もしかしてユニークスキル?」


PCレベルが攻略組には及ばないニートが索敵スキル持ち、しかも街中を俯瞰出来るハイレベルならニュースである。

似たような効果を持つ個別スキルなら大ニュースだ。


「ご意見は?ご感想は?ご要望は?教えてください!!」

「見てただけです」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


ニートは最初からゲート前にいた。

ゲートから街中、聖球寺や野次馬な教都PCたちを見ていた。

もはやギャグかと言いたくても言えない世紀末大量消費モブの発生を背にして。

街の方を見ていた。


「見て、数えて、メモしました」


一部始終――――――――――。


「はぁ??????????それだけ!!!!!!!!!!ただ!!!!!!!!!!見てた??????????」


レポーターのフィフィは深く深く深く深く深く深~~~~~~~~~~く、息をついた。


「誰でも出来るじゃないですか」


ジト眼一瞥。

髪をかきあげた。



「依然として両者に決定的な動きがありません。ハルマゲドンタイムカウント現場レポートは引き続き『スフィア・タイムズ』のフィフィがお届けいたします」


カットする気が満々。

レポーターのあおりに、野次馬(居合わせただけ、パーティーやギルドが行方不明などの理由で戦闘に参加する気がないPC)から歓声が上がる。





その陰で響く囁き。


(やはり殺しておくべきか)


ネコが、また、爪をのばした。

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