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コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


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そもさん


「まてーい!!!!!!!!!!」

怒声。

非常によく響き、誰もが耳に入れたと思われます。



「ホントに残念ですわ」

耳に入れただけでした。

一行の前が塞がれる。


「良いお茶が入りましたのに」

一行、ネコカフェ一行というべきか聖一行というべきか。

その前を塞いだ数十人のプレーヤー・キャラクター。

武器を構えている。


「イベントアイテムなのですが、譲っていただけました♪」

「早売りですか?」


一行の前、道を塞いだ一団との間に走り出るセイ。


「いえ。今は売り買いは控えています」

棍を構える。

「みな同じ、いや、投機もありましたか」

クルっ。


「見つけたーーーぞ?ーーーーえーーー???」

ネコカフェ&聖一行は左折。

日本海海戦もかくあろうか?


「敵前大回頭!」

「お?お?」

セイが慌てて仲間を追いかけた。

トモはZ旗をふってバンザーイ。


なおトモはリアルが中学生女子なので日本海海戦とか知りません。

ニートが彼を吊るしあげようとオフラインで集まった被害者の会をスルーした時に嗤いながらつぶやいたのを聞いただけです。

Z旗はその時リアルニートに買ってもらったものをゲームアイテムとして自作しただけ。

ハンドメイド注文受付中♪


「皆が落ち着けば、お値段も決まるでしょうけど」

顔を真っ赤にしたセイがニートの前に回り込んだ。

「ありがとう」

ニートがセイの頭を撫でた。

「あ?ひへ?」


「またないか!!!!!!」

振り返るセイ。


「いつ頃でしょうか」

お茶以外を気にしてるのはセイだけだった。

武装集団がついてくる。

さっきまで前に立ちふさがっていた皆さん。


「攻略圏はもう走り出していますが」

僧兵が間に隊列をつくり追いつかせない。

「育成圏はまだまだ、ですわ」


「まてーーーーーーー!!!」


「ということは」

またない一行。

無表情な僧兵の背後は尼僧。

印相を結びすぐに魔法が発動できる態勢で続く。


「ここにも逃げていらっしゃいましたが、今は途切れました」


前衛の戦士と支援の僧侶。

ギルド『聖球寺』が誇る鉄壁の防御陣形。

あえなく阻まれる武装集団。


なお、ニートと聖は『デス・ゲーム開始以来、ゲートから逃げてくるプレーヤー・キャラクターが、少なくとも教都ではみられなくなった』と話し込んでいる。


「おい!!!!」


障害が多い街中。

路地裏、屋根、回り道。

全方位。


動員数100を超える統制された組織。

雑多に集まっただけの数十人。


包囲など容易い。

陣形はレベル差を覆す。

この場には覆すものがないけれど。


「物見は?」

ああ、もちろん「他の街の様子を見るために人を出したのですか?」という話であり、眼の前に迫る事態については気にしていない。


「昨日」

「ゲートは使えません」


街中の攻撃はHPに影響しない。

だが陣形の力による阻止力は有効だ。

それ以前にアバターが通れる電子的隙間がないが。



なおニートと聖は「他の街の様子を見るために人を出す時にどんなルートを取りましたか?」という話をしており以下略。


「きけーーーーーーーーーーっけ、へがっ」




「時間がかかりますね」

「今までの感覚は棄てませんと」

聞いてない。

聴こえてるけど聞いてない。


なお、ニートと聖は『ほかの街に様子を見るプレーヤー・キャラクターを派遣しているがゲート経由の移動が危険なために街道経由に移動せざるを得ず、結果がわかるのに時間がかかっている』ことを確認している。


「あの……あ……」


「先の街でゲート付近を抑えても?」

ゲート付近が安全かどうかは先の街にメッセージを送れる知人がいれば確認出来る。

「先の街、だけではすみませんの」


セイが気まずそうにチラ見。


「混乱、いえ、争乱状態から逃げて、追ってくる方々がゲート付近で突然」

出会い頭の大事故だ。


ゲート内は安全圏。その場でHPは減らない。

だが、シコリを残すに足る不快感と衝撃を約束する。


「なるほど」

両側、最悪、片側だけから力押しすればなんとかなるが。

「聖さんは平和主義者ですからね」

聖は困ったように微笑んだ。

「お話はうかがうようにしているだけですから」


だってよ?

御話は聞いてくださるそうですよ?

聴いてるだけかもしれないけれど。


「・・・うっ!ヒグッ・・・・・・・・・!う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う!・・・・・・・・・・・・・・・・・・うっ!!」


「あの……なあ」

前半は聖に。

セイがニートの裾を引く。

「失礼、どうしました」


ニートはギルド仲間のことをちゃんと注意している。

聖との世間話、というか情報交換の最中でも、ネコ・セイ・トモ・フミノにはちゃんと、気を付けていたしそれを相手にもわかるように示している。

気遣いのできる大人なのだ。


「なにかありましたか?」

ニートには何も起きていないらしい。


セイは背後をチラ見。

ニートが足を止めないから皆進むが。


「いいのか?アレ?」

背後で息を切らせている武装集団、すでに武器を下げているがかろうじてしまってはいない、の中心で涙目の少女。


聖が憐みの眼で見る。

「辛い事があったんでしょうね」

無視されるとか。


「お知り合いですか?」

セイは聖に応えた。

「知らんけど」


聖は心から痛ましそうに見ていた。

道端で踏みつけたタンポポに気が付いた時の様に。

歩みは止めないし立ち塞がる僧兵を退かせもしないが。


って、聖が踏んでるんですか別に足をあげもしないんですかそうですか。


「なぜ仲間の方々は何もされないのでしょう。あんないたいけな子が泣いてるのに」

聖も何もしないけど。

歩みを止めない。

去る方に。


「子っーかアンタらと変わらないよね?アタシより年上だぜありゃ」

高校生くらいか。

「しかも周りも同じくらいだろ。泣いてるのリーダーじゃね?装備良いし!」


「ば、ぶゃきゃにすゅ……」


「あーあ」

噛んだり言い直したり諦めたり。


「見ないであげましょうーーー!」


トモ。

手遅れ。

声が大きいし。

中学生女子に憐れまれる女子高生。


ねえ?

どんな気持ち??


「まあまあ、わたくしにお任せください」

と聖。

歩みは止めないし。

「また後日歓談いたしましょうね」

一礼。

立ち止まった!

これは踏みにじったタンポポから靴をどけたぐらいの偉業である!



ネコカフェは手をふって別れる。

こんな世界になってしまったが、今生の別れではない。

再び会う。

また出会う。

しばし、しばらく、わずかな別離。


さようなら。

さようなら。

またね!



「まてーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」



だいなしである。

「だいなしですわ」


言葉に出すスタイル。


「お気になさらず」

「だから待って!!!!!」


ネコカフェに手をふる聖。

食い下がり僧兵の堅陣に弾かれる少女A。

そして歩き去りながら皆の背中を押すニート。


「はじめまして」

一礼。

聖は少女Aに向き直り。

「わたくし聖と申します」


「これはごて……ちがーう!!!」

返礼しかけた少女A、ギリギリ持ちこたえる。


「どんなお話しでしょうか」

「ちがくて、アンタじゃない!アイツら!!!!」

聖はネコカフェを振り返った。


「あらあら」

バイバイするトモ。

「止まれ!戻れ!!」


聖は思う。

この言葉が意味をなす日がくるのでしょうか?


少女Aはまなじりをけっして聖を睨んだ。


「アイツらを止めろ!」

「ヤです」

必死と笑み。


「アイツを止めてください!お願い!」

「いたしません」

涙目と苦笑。


「アンタは街の責任者だ、でしょ!それに知り合いなら止められるじゃ、ないかですか」

「責任者じゃありません」

嘆願と訂正。


「なんでもいいから!止めて!」

「理由もなしに、何をしろとおっしゃいますか」

早口とゆったり。


「わかった、独断だけど、説明する、だから、止めて」

「説明を聞いて、納得すれば、考えましょう」


僧兵の堅陣にくってかかり少しずつ進んでいる。

聖が指先で合図したので距離が縮まったのだ。


「間に合わない!それじゃ!」


が、ネコカフェとの距離は開く一方だ。


「なら急がれては如何かしら。昨夜から今まで何時間もありましたけれど」

真っ赤な少女A。

顔が。


昨夜、目標が教都に侵入(?)するという、確度の高い(??)情報を得て(有料)、門を守る『聖球寺』メンバーと一悶着あったのだ。

聖はスヤスヤ寝ていたので、朝お知らせを受けただけだが。


「あたしたちを敵にまわす気!」

野次馬から失笑。

まあ、事実上、捕らわれている初心者紛いの集団が言うことではない。


「受取な!!!!」

「ご丁寧にありがとうございます」


ニヤリと笑った、あるいは、口元を歪めた少女A。


微笑む聖。

交わされた光粒。

パーソナルデータ。

当たり障りのない個人情報。


「アーネさん、でしたか。素敵な響き」

「あ、ども・・・そこじゃない!」


名刺交換?

みている周りも?


「戦士でいらっしゃる」

「違うから!ワザと?ワザとか!」


コントか?

一緒に注目する一行をせき立てるニート。


「右上!右上!ギルド名!」

「えーと、ああ、つまり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

「読めないの!!!!」


聖は手をふる。

否定らしい。



「黄金の夜明け」

読んで見せた。

よく通る声。


え?


野次馬に理解が広がり始めた。

え!え!!えーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

声にならないどよめき。


『黄金の夜明け』

ゲーム世界最大手ギルド。

最多プレーヤー・キャラクターが加盟しており、戦闘、支援、生産あらゆる役目を内部でまかなう。

組織力団結力が特徴。

時にほかのギルドと対立した時は、ギルド・ウォーも辞さない。


聖たち『聖球寺』も大手ではあるが、桁が違う。

そんな『黄金の夜明け』の命令でアーネが動いているのだという。



「失礼ですが」

「わかったわね!!」


すまなそうな聖。

胸を張る少女A、改めアーネ。


「わかりません」


フリーズ。

聖が気遣って補足。


「皆目、おしゃりたいことに、見当がつきません」


は?


皆の目が点になる。


「アーネちゃんがギルド『黄金の夜明け』のメンバーだとは判りました」

「じゃあ解るでしょ!ちゃんって言うな!!」


頸を傾げた聖。

頭を抱えたアーネ。


「お加減、如何ですか」

心配顔で覗き込んだ。

ほぼ、0距離。

「せー!っひゃ!」


噛みつく勢いで喰ってかかるアーネはそのまま後ろ手に関節を決められた。


巨漢な僧兵は華奢なアーネを地面に落とした。

現実なら激痛で声が出まい。

ゲームでは動けないだけだが。


「ななな!!!!!!!!」

「続けてくださいね」


菩薩の笑み。

よく似合っている。

ある意味。


「・・・えと『黄金の夜明け』は千人以上のギルドだ」


聖が頷いた。


「た、戦いになれば、あん・・・あたし等が・・・・・・・・・勝つ?」

「ですね」


聖、同意。


「だから、その・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・言うとおりに・・・・・・・・・しろ?」


アーネは俯いた。


「善い子ですね」

なでなで。

僧兵が地面から少し持ち上げたから聖は屈む必要がない。


「アーネちゃん。貴女が感じる胸の痛みはとても大切ですよ」

屈強な坊主に拘束されひざまずいた状況。

別なところが痛みそうなものだが。


「おかげさまで解りましたわ」


霧が晴れた。

そんな聖の笑顔。

シュール。


「人を脅迫する事に恥を抱く」


左手を自らの胸に。

右手をアーネの額に。


「そんな貴女の誇りを奪った方は、こう言いたいのですね」


聖は立ち上がった。


「わたくしが従わなければギルド『聖球寺』と逆らうプレーヤー・キャラクターは一緒に皆殺しだ」


アーネが解放。

されたアーネは嬉しそうではない。


「アーネちゃん」


聖がにっこり。

即答は期待していなかったアーネ。


「あまり待てな」

「従いません」

「・・・・・・・・・・・・はぁ?」


即答。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「お断りします」


アーネ、無反応。

聖が耳元で鈴を鳴らす。

錫杖に鈴は聖のオリジナルアイテム。


「……聴こえた……」


突発性難聴を心配した聖は安堵。


「……勝てるつもり?あたしを基準に考えない方がいい!攻略組クラスが何人も何十人もたくさんいるんだ!あんたらは勝てないよ!」


何故か一所懸命なアーネ。

聖は困ったように顎に指先をあてている。


「勝つから戦うのでしょうか?」


ポカーンと。

アーネだけではなくギャラリーも。


「……勝ち目が無いのに戦うのはバカでしょう」


アーネもギャラリーも互いにうかがう。

ちょっと自信がなくなってきてる。


「手にはいるモノばかりつかんでいると、両手がふさがってしまいます。手にしたいものをつかめませんよ」


問いかけの形ではあるが……すごく、自信に満ち満ちている。

アーネが怒鳴った!


「死にたいの!」

「別に」


聖の襟を握っているが、僧兵はアーネに手を出さなかった。


「死なない自信があるの?」

「ありません」


アーネは聖の顔を覗き込んだ。


「Lostじやない!死ぬんだよ!!今はゲームじゃないんだ!!!」

「虚像と現実で死ぬ。わけですよね」


なでなで。


「な!」


飛び退くアーネ。


「お気遣いありがとう。アーネちゃん」

「ちゃんって言うな!」


アーネは違和感を感じた。

目の前の、同い年なはずの、少女、いや、存在に。


「わたくしは仏教徒ですから」


聖の笑みに気圧される。


「生も死もとるにたりません」


アーネ、ぽかーん。


「気がかりなのは」

聖がアーネの瞳を覗き込んだ。

「為すべきを成せるのか、ということ」


本気だ。


「他は些事にもあたりませんわ」


アーネはカッとする。

初めて聖を見据えた。


「なんで!死んだら終わりなのに!なにかっこつけてんのさ!」

「終わりはありません」


仏教の世界観。

輪廻。

あらゆる生命の廻航。

死ねは次の生が始まる。

ただ、それだけ。


「……ぜ、前世系?幸せな来世でも約束された?妄想よ!」


聖はため息。


「来世が無いと良いのですが……修行不足ですから、またあるのでしょうね」


解脱。


輪廻からの離脱。


来世。

よくも悪くも、どうあろうと、それは輪廻に残されてしまった、ということ。


「……天国、極楽?にでも行く気?」

「行くべき所などありませんわ」


六界、十界、すべては途中経過でしかない。


仏教徒は目指す。

功徳を積み重ねる。

繰り返す度に積み重ねに応じた生を繰り返す。

すべては、至るため。


「神様、いや仏様か、があんたを護ってくれるとでもいうのか!」

「それは無いと思いますが」


覚者とは。

人であり獣であり虫だろう。

習うべき規範。

想うべき先例。

越えられるのであれは幸い。

決して世俗に関わらない。


仏教徒は渇望する。


来世の豊さ。

永劫の祝福。

超越者の保護。

在るのか無いのか。


それは、どうでもいい。

好奇心はあるけれど。

些事を求めるに人生は忙しすぎる。


仏教徒が渇望するのは到達点。


「悟り」


生はそう至る道に過ぎない。

……ならば。


「死は通過点でしょうか」


あらあら。

興味深いわ~でも、これではまだまだね。

一人はしゃぐ聖。


「まだまだ欲深いものですから、遠いわ・・・・・・・・・・・・」


周りを見回して、アーネを見た。


「お恥ずかしいところを」

一礼。

「というわけです」

仕草一つ。

僧兵が囲みを解いた。


「わたくしたちを敵とみなすなら、ご一報くださいね」


アーネたち、背後にいた連中は逃げ出した。


「いただければ」

硬直したアーネ。


「皆で伺いますわ」

頬をつつかれた。

殺すことも苦痛なのでしょうし。


「あなたには殺されないように気を付けますね。優しいアーネちゃん♪」




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