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(六) 創氏改名 ≪第二六話≫    No.28‐Ⅱ

(六) 創氏改名

≪第二六話≫               No.28‐Ⅱ

 卯月(4月)の25日、稲島・八幡神社にて笹川家・柿島家の領土奉納の儀式が其々長者衆5家の重臣達を集めて執り行われた。ここに稲島俊高を領主とした、新たな国が誕生した。この折、開墾や畜産興業により、富国強兵した稲島領・と、併合した旧高野領、笹川領・柿島領の統合で、延べ27,200石 総兵力 2,350人 となって、同盟国の赤塚・草日部領・7000石 620人を加えれば、34,200石 2,970人の動員兵力と成っていた。錬成隊予備軍・500人をも加えれば、実働兵力が凡そ3,500人となった。

 大敗した吉田ヶ原の戦い以後、三条の斎藤家は新津の秋葉家との同盟以外に然程大きな動きは無かったが、こちらの勢力の拡大に黙っているほど甘い相手ではなかった。何れ決戦の時が来よう。しかし、今の俊高には、やらねばならない事が多く有り、気が急く思いでも有った。心を静める為朝晩、祈念の間に籠り、座禅し、読経し、書を読んだ。それでも、心が揺れる時は、御山に行って心身を整えた。

 そんな中に、香山様から頂いた宣旨(せんじ)の写しを、何度も読んでみた。 

   【西方にて大蛇(おろち)退治すべし

東都を築き、西都を清めん

西女の災い、南方に試練あり

天下の事、(いにしえ)の事割にて()べるべし

汝に与えし王冠と剣を用いよ

また、天の真の(かばね)を与えん

己を信じ、迷わず進むべし】

  (西方の大蛇とは何の事か?・・・大蛇とは、神話の(やま)(たの)大蛇(おろち)の様な怪物の事か!? 東都とは、何処の事か?また西都とは?・・・・西女の災い、南方に試練ありとは、どんな事なのか?)数々の疑問が湧いて出る。

(汝に与えし王冠と剣を用いよとは、我が稲島家に伝わる三宝の秘宝の事か!?・・・・真の姓とは、どの様に与えられるのか?)

 4月末の早朝、何時もの様に10人の護衛の側近を連れて、長者原山の稲島口から山頂に登って行く折、四月の朝靄が立ち込める中、常の様に薬師堂の大杉に手を(かざ)した瞬間、ヅンと腹の(きも)に感じるものがあった。暫く、俊高は大杉の太い(みき)(はだ)を両手で抱き締めてみた。ヅンヅンと腹の芯に響いてくる霊動がある。

 心を静め、精神を集中して行くと、声成らぬ声が腹の底から響いて来た。(真の姓・・・真の姓・・・真の姓・・・真・・・大杉・・・真木・・・の根と成らん・・・!!) 俊高は、驚いている側近の者たちには、目もくれず、じっと大杉を見詰めていた。暫くして、「天の真の(かばね)を貰ったぞ!!・・・」「おお~」と10人の従者たちは、一斉に声を上げた。

 山頂での祈祷と武道修練を終えて、城に戻って来た俊高は直ぐに、祈念の間に入り、昼まで出て来なかった。家老の佐野高兼は、同伴した側近達にお屋形様の経緯を聞いていたので、(あるじ)が出て来るのを静かに待った。

昼過ぎに出て来た俊高は、高兼に命じて、主だった家臣団を直ぐに登城させる様に指示を出した。午後の3時過ぎに、20人の重臣達が、建設中の本丸の大広間を素通りして、西の丸の広間に集まって来た。

 俊高は、御台所(みだいどころ)の情愛と共に入って来た。「皆の者、登城御苦労である。この度、わが稲島領が大きく拡大し、新たな国造りの時となった。わしは、この機に(そう)()改名(かいめい)する決意を致した。高兼、皆に示してくれい。」「はっ、(かしこ)まりました。」【真木 宗高】と太い毛筆で命名されていた。



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