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≪第二七話≫      No.29‐Ⅱ

≪第二七話≫               No.29‐Ⅱ

 「まき・むねたか と読む。まきは、我が領土の地名でも有り、また、稲島家の神木でもある、薬師堂の大杉に(ちな)んで(まこと)の木とし、久遠(くおん)の栄えを願うもので有り、名の(むね)は、創始であり、新たな血筋の根元と成る事を意味する。高は、わしの名の一字であるが、天を意味し、宮城(きゅうじょう)(かたど)っておる。

 更に後日、家紋や旗印も新たなに致す。時を置いて、稲島家は、弟の高喜が受け継ぎ、8代目・当主と致す。詳しい事は後々に伝えて行くが、吾、天命を()け、新たな道を歩み、この乱れし、戦国の世を正す事を決心した。

先ずは、下越後を治め、越後の統一を成し遂げる覚悟である。」未だ話を聞いていない面々は、俊高の発表に驚嘆(きょうたん)した。

 俊高は更に続けた。「今日のこの事は、此処にいる者だけの心に留めていてくれ。次の斎藤氏との戦に勝利し、国内外に公にする日まで、他言してはならぬ。良いな!!」俊高は、厳しい目で、重臣団を見詰めた。其れに答えて、一同「ハア~」と平伏した。

 「高兼、斎藤・秋葉との戦に向けた準備を、皆に説明致せ。」「はっ。畏まりました。」と俊高の命を受けて、佐野高兼は、座を一同の方に向けた。

「御承知の様に、吉田ヶ原の戦では、苦杯を()めましたが、笹川殿・柿島殿のお屋形様への忠臣に対し、三条・新津方も和を結び、約状を交わして我らに対抗致して来まいた。両国合わせれば、裕に七千数百の兵力に成り申す。

 われらは、赤塚の草日部殿を含め、凡そ三千、錬成予備軍の500人を合わせても、敵方の半数にも成り申さん。更に、あの黒江鉄扇が率いる『黒騎馬隊』に対抗し得る力を持たねば我が方に勝ち目は、無いと心得る。

・・・・しかし、我が殿には天の護りがござって、図らずも先代・俊秋様の兄であられる俊景(としかげ)様がご尽力頂く事と成り申した。」ここで高兼は、言葉を切り、俊高の顔を見た。俊高が頷いたので、先を進めた。

 「先ずは、出家され法名・源芯となられた俊景様の、御配慮により、武芸調達の運びとなった(よし)槍術(そうじゅつ)・棒術・柔術・空手など全般に亘って、御指南頂く。更に、陸奥(むつ)の相馬より、軍馬を整え、騎馬隊の強化を行う運びとなっておりまする。」

一同がこれを聞いて、「おゝ~」と声を上げた。「いや、喜ぶのは、未だ早い!!」と俊高が一同を静めた。「騎馬が来ようとも、簡単にはあの黒江鉄扇が『黒騎馬隊』に対抗出来ぬ。先ずは1年、200騎の騎馬隊を、常満・(こう)(えい)の両名が鍛え上げよ。 今、源芯殿にお願いして、騎馬武者の達人(たつじん)を招請致しておるが・・・」

「お屋形様、我ら両名、全力を尽くし、越後一、いや日の本一の騎馬団に育て上げ申すぞ!!」と高らかに常満が云い放った。「拙者も、あの黒騎馬隊の恐ろしさを味わい、この戦の勝敗を分ける騎馬軍と判り、至力で挑むつもりでござる。」と永島(えいしま)(きみ)(ひで)も続いた。

 「他にも、お屋形様のご指示で新たな武器の開発に努めてござる。」と高兼が話し出した時、「本日は、その位で良い。各々が、己の職務をしっかりと果たす様に!!」と俊高が評定(ひょうじょう)を終らせた。

  一月後の皐月(さつき)(5月)の末、若葉が濃い碧色に変わり始めた頃、高兼の妻である千春から、父・俊景 源芯が八幡様に来ている事を知らせて来た。昼間の政務を済ませて、夜半8時に八幡神社へ千春と2人の従者を連れて向かった。

この時期、斎藤氏との交戦体制で有った事もあり、6人一組の「夜中見廻り組」を領内に巡回させていた。その見廻り組にも、出会わぬ様に夜の道を進んだ。まだ源芯に会う事は、公には出来なかったが、俊高にとり源芯に会う事は、武芸の鍛錬の事や、稲島の秘宝に関する事はもちろん大事な理由(わけ)であったが、何よりも実の父である俊景に会いたかった。



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