第二章ー11
あけましておめでとうございます!
更新を、再開させてもらいます。
報告しないまま時間を開けてしまい申し訳ありませんでした。
日本で最も左にある地方、南土
その中でも左端に位置する小さな都市、真来市に、ある一台の車が走っていた。
軽妙な歌が流れているその車中には三人の人物。
運転をしながら流れてくるテンポの良い歌に合わせ口ずさんでいる黒髪の男。
後ろの座席で腕を組みながら人差し指をトントンと鳴らし、時折舌打ちをしている目つきの悪い赤髪の青年。
その隣で静かに目を閉じているこちらも赤髪だがもう片方の青年よりも全体的に少しあどけなさが残っているこちらも青年。
車の中は異様な雰囲気に包まれていた。
「ん〜、やっぱり音理ハルちゃんの歌は良いもんだ」
無言が続くと思われていた状況を覆し、ハンドルを握っている男は上機嫌にそう言った。
その言葉に先程から一触即発の空気を出していた男がその言葉に眉を寄せる。
「おい、お前」
「俺はお前じゃない。さっきも言ったろう? 俺の事は啄木鳥と呼んでくれ」
啄木鳥の返答に我慢の限界を迎えた青年ーー火賀前司はすこし声を荒げた。
「そんな事はどうでもいいんだよ! 俺様達をこんな所まで連れ出してきて一体なんのつもりかって聞いてんだ!」
この状況になる数時間前、前司達三人は北土にいた。
そこで啄木鳥が前司と斗真に「少し付いてきて欲しい」と、言われるがままにに乗ってここまで何も言わずにこの南土までやってきた。
前司がこのような誘いに頷くのは珍しい。
もし、相手が普通の相手であったらそのような提案には絶対従わなかっただろう。
しかし、プライベートアビリティを使う相手である事と、斗真が了承した事の二つが、前司に今まで何も言わずに我慢させてきた。
とはいえ、要件も知らされないままの数時間の長距離移動、啄木鳥という男の不遜な態度、車中に流れるあまりにも場違いな音楽。
それら全てが前司のイライラを募らせていた。
啄木鳥はそんな様子を気にすることなく口を開く。
「だからさっきも言っただろう、協力してくれって」
「その内容を教えろ! そろそろ俺様も黙ってないぜ?」
「おー怖い怖い」
啄木鳥は前司に全く臆さずに話を流そうとする。
ここまで啄木鳥を強気にさせている原因は火賀兄弟も分かっていた。
「そんな態度をしてもいいのか? あのマギを発動させる前に俺様達ならお前を灰にする事が出来るんだぜ?」
「面白い事を言うね。やってみるかい? 力比べ」
「上等だぁ!」
「落ち着いて下さい兄さん!」
「ちっ!」
今にも暴れ出しそうな前司に先程まで傍観していた斗真が声をかけた。
その声に我を失いかけていた前司がすこし表情を緩め、背を座席に預ける。
これを好機として、今度は斗真が啄木鳥に質問を開始した。
「啄木鳥さん。僕達を誘った原因は何ですか?」
「なるほど。弟の方は脳筋では無いようだ」
啄木鳥の皮肉に前司は再度眉をひそめた。
しかし今回は理性が勝り、舌打ちだけで済ます。
啄木鳥は「目的地に着いてから全部話すつもりだったんだが……。別に今でも構わないか」と前置く。
「えーと、君達を招待した理由だったか? それは君達が現状に不満を抱いてる事を我々が知っているからだよ」
「我々とは?」
「俺が属している組織さ。別に言わなくても分かっているだろう? 火賀家の分家も何人かいるんだから」
啄木鳥は口角を上げる。
この返答をある程度予期していた斗真は表情を少し柔らかくして、一番聞きたかった事を尋ねる。
「聞いてみただけですよ。それでは何故僕達をここまで連れて来たんですか? 」
「我々が行う変革の戦力になって欲しい」
変革、戦力、その言葉が兄弟の顔を険しくする。
「変革、戦力……それはつまりどこかの敵対組織を壊滅させると?」
「概ねその通りだ」
啄木鳥は満足気に頷くと「ただし」と付け加えた。
「君の言葉で言う敵対組織に置き換えられる言葉はーー日本だ」




