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統べる者  作者: 八坂カロン
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第一章ー52

「で、その後爆弾魔ボマーとあの銃は一夜さん達に持ってかれて終わりだ」

「ちょっと待って下さい」

「何だよ? これで全部説明したつもりだぞ」


津々良が手を挙げて不満そうな顔をして言った。

爆弾魔ボマーと交戦した日の翌日、本来なら行われるはずだった個人戦も中止に終わり、いつも通り学校に登校した貴人と悠奈、津々良、未来、寧々、そして生徒会メンバーの面々が第三会議室に集まっていた。

全ての魔導機兵マシンウォリアーが一掃された後、闘技場に残っていた人などを世界警察の人達が誘導して帰してくれたそうだ。

貴人は昨日の事の顛末を全て語った。

協力を頼んだ貴人には全てを話す義務がある。

別に津々良と寧々だけに教えても良かったのだが、それなら全員に話してしまった方が良いと貴人は思った。

ただ、幻影牢獄ファントムプリズンの事はさすがに伏せておいた。


「話がよく分からないんですけど……。えーと、その爆弾魔ボマーの時限爆弾を師匠がどうしたんですっけ?」

「だから銃に変えーー」

「ちょっと待って下さい」


またもや津々良に待ったコールをされる。

すると津々良は周りを見渡し


「この話を理解出来た人はいるんですか?」


と確認をとったがどこからも手が挙がらなかった。


(つまり、もっと詳しく説明しろと……)


貴人は頭を掻きながら大まかに説明してやることにした。


「俺が使ったのは簡単に言うとある物のベースを基に他の物に作り変えることが出来るマギだ」

「へ?」


津々良が首を傾げたのでもう少し分かりやすく説明することにした貴人。


「今回のやつで言うと、爆弾魔ボマーの術式装置の『爆発』という特徴をベースにして銃のアームズを創り出したんだ。ちなみにあのアームズは無属性のディーヴァを流し込んで引き金を引くと術式が発動してディーヴァで出来た弾丸が出るんだが、物体に着弾した瞬間に爆発が起きるようになってる」


貴人がここまで言うと、全員が驚いたような、呆れたような顔をして視線を向けた。


「身体を雷にしてみたり爆弾を銃に作り変えてみたり、無茶苦茶だなお前……」


半眼でこちらを睨みながら愛斗は言う。

その隣にいた阿澄も「ほんと無茶苦茶……」と頭を抑えながら呟く。

他の面々も同じような表情をしていた。

貴人はこれに少し驚く。


「みんな怖がらないんだな……」


貴人はこの話を切り出す時、恐怖され、離れられる事も承知していた。

それも仕方ないことだと腹を括っていた。

しかし香が笑顔で


「まあとても驚いてはいるんだけどね……。でも貴人君はそれを正しく使うって信じてるから」

「そうっすか……」

「あ、あのー」


ここで未来がおずおず口を開いた。


「そ、そのお姉ちゃんの事なんですけど……」

「夢先輩がどうかしたのか?」


いきなり夢の話題があがったため少しびっくりして返答する貴人。


「き、昨日帰って来た時から少し様子がおかしくて……」

「様子が……?」


貴人は昨日の夢の表情を思い出す。

貴人が銃を作り出した後も特段おかしな様子は見受けられなかったはずだ。

むしろもう少し驚いてほしいくらいだったのだが。


「ち、ちょっとだけぼーっとしてるくらいなんですが……」


貴人は思考を巡らせるがその答えが見つからなかった。


「悪いが心当たりが無いな……」

「い、いえ……! へ、変なこと聞いてすみません……」

「未来ちゃん! そんなことより!」


いきなり津々良が口を挟んだ。

すると未来がはっとしたような顔をして貴人と悠奈の方へ改めて向き直った。

そして津々良と未来が軽く一礼した。


「この度は私達に指導をしてくれてありがとうございました」

「お、おう」


いきなりの事に少し戸惑う貴人。

そういえばこの二人はANK部の依頼人だった事を思い出す。

正直貴人自身も楽しくてやっていたのでそんな感覚など無かった。


「それで見返りの話なんですが……」


あぁ、そのことか、と貴人はいきなりこの二人がこの話を始めた事に納得がいく。


(別に報酬なんていらないな……)


むしろこれで終わりだと考えると少し寂しい気持ちもある。


「べつーー」


そう思い、貴人がそれを言葉にしようとするが、津々良に遮られる。


「私たちがANK部に入るのでどうでしょうか?」

「へ?」


思わぬ言葉に思わず聞き返す。


「私たちがANK部に入ります」

「本当!?」


それを聞いた悠奈が嬉しそうに声を弾ませた。


「大歓迎だよ! ね、貴人!」

「お、おう……」


悠奈のあまりのテンションの高さに少し当惑するが貴人にとってもこれは喜ばしい出来事だ。

何故なら今現在、ANK部は同好会という扱いだが、メンバーが五人に達すると部活動として正式に認められ、部費が与えられるのだ。

貴人、悠奈、そして津々良に未来が加わりーー


「私もANK部に入るよ〜」


と香が手を上げた。

貴人以外の全員が驚いた様子で香を振り返った。


「実は貴人君と約束してたんだ〜」


と香が笑いながら言った。

貴人と香がこの約束をしたのは五月祭予選トーナメントの時である。

貴人は香に術式を三つ展開出来るようにする代わりにANK部に入ってもらうという取り引きをしていたのだ。


「やったね貴人! これで部費が出るよ!」

「そうだな悠奈!」


こう言いながら貴人と悠奈はハイタッチした。

内心では悠奈と二人でもそれはそれで良かったと思う気持ちもあったのだが。


「会長、津々良ちゃん、未来ちゃんーー」


貴人は悠奈と口を合わせて


「「ようこそ! ANK部へ!」」


ーーーー


貴人達が集まっている頃、昼なのに真っ暗な室内に一人の男がいた。

その男は自身の携帯を耳に当てると、むこうから声がかかるのを待った。

しばらくすると細い声の男の声が男の携帯から聞こえた。


『こちらは啄木鳥ウッドペッカー。例のアレは無事手元にあるのか?』


自ら啄木鳥ウッドペッカーと名乗る人物と男が話し始める。


「あぁ、爆弾魔ボマーはいい目眩ましになってくれたよ」

『相変わらず考えることがげすいよなお前。』

「そんな事ないさ。向こうも承知の上だ」

『何を言ってるんだか……。爆弾魔ボマーが日本に行くことになったのもお前が絡んでいる(・・・・・・・・)くせに』

「そうだったかな……。まあ今はそんな事はどうでもいい。とりあえずこれは送り届けさせるぞ」

『分かった。くれぐれも慎重にな』


そう言って啄木鳥ウッドペッカーの声が途切れた。

男は少しだけ笑うと右手に掴んだ一つの指輪を掲げた。

その指輪は暗闇の中なのに妖しい輝いていた。


「もうすぐだ……」


男ーークロウの呟きは誰にも届かないまま闇に溶けていった。


とりあえずこれで第一章は終了です。正直この第一章は設定紹介みたいな感じがあり、無双シーンが全然ないようになってしまいました。次の話から第二章になり、もっと戦闘シーンを増やせたらなと思っております。とりあえずは第一章、これで完結です。第二章も引き続き読んでいただければ幸いです。

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