第一章ー51
「はははははははっ! 私の動きを封じてもその術式は破壊出来ませんよ!」
爆弾魔が声高らかに叫んでいる。
(まあ普通そう思うよね……)
悠奈は思う。
これからの事は恐らくここにいる自分以外は初めて目の当たりにするだろう。
貴人を恐れる人もいるかもしれない。
(この人達なら大丈夫だろうけど)
そんな事を悠奈が考えていると
「言い忘れてましたが、この術式装置以外にも私は手段がありますよ」
と爆弾魔が笑みを浮かべながら言う。
それに対して一夜が答える。
「魔導機兵の事? あれなら今頃ウチの部下達が全て破壊してると思うよ」
「ふふっ、確かに魔導機兵の事ですが一つだけ特別なのがいましてね」
「何ですって?」
不審に思った様子の光が問い返す。
「一番高性能な人型でさらにその魔導機兵が所持している鉤爪は術式を破壊出来るんですよ。だからこればかりに気を取られていると犠牲が出てしまいますよ?」
ここまで言うと爆弾魔は壊れたように笑い出した。
確かにいくら世界警察とはいえそれを相手にした時に勝てるかどうかは分からない。
ましてや他にも魔導機兵がいる状況では恐らく厳しいだろう。
「だから死んでください皇帝! そうすればあの魔導機兵だけは止めてあげますよ! はははははははっ」
爆弾魔が笑い続け、光が悔しそうに歯噛みしている。
そこに
「あー、そのことなんだけど」
と気の抜けた声で貴人が爆弾魔に向かって告げる。
「さっき葉月から画像が送られて来たんだけどもしかしてここに写っているのって……」
そう言いながら貴人が超薄型の携帯からその画像を立体表示して、悠奈達に見せた。
それを見て一番驚いたのは爆弾魔だった。
「こ、これは……」
その写真には葉月がピースサインをしている後ろで清嗣がこちらを振り返っていて、その清嗣の足の下に鉤爪を持った人型の魔導機兵が倒れていた。
ーーーー
「俺に近付かないで下さいね」
爆弾魔の術式を目の前にした貴人が告げる。
爆弾魔は先程の事がショックで呆然としている。
一夜はこれから貴人の為す事を一分一秒見落とすことなく見てやろうと思っている。
(光はあんまり期待してなさそうだけど……)
光がそう思うのは至極もっともだ。
あれだけの術式を破壊することが出来る者などそうはいない。
自分や夢の方が異端と言えるだろう。
しかし一夜は期待を止めない。
(あれだけ僕と光相手に口火を切ったんだ。確実に何か面白いものを見せてくれるに違いない)
あの時の口からでまかせだとしてもその勇気を讃えてあげたいくらいだ。
でもどうせなら我々の想像を超えるような事をして欲しい。
(ワクワクするね)
そして遂に貴人が術式を展開した。
ーーーー
(な、何だこれは……?)
自分の切り札がことごとく破られた事に多大なショックを受けていた爆弾魔にさらに追い打ちをかける出来事が訪れた。
先程までのショックが比べ物にならないくらい今見ている景色が信じられない。
(あ、あんなモノなんて見たことがないぞ……)
見たこともなければ、知識にさえも存在していない。
周りを見渡せば一人を除いてその他は例外なく驚愕しているのが分かるくらい目を見開いていた。
もう一人は平然と見ている事も爆弾魔を驚かせた。
「な、何なの?」
弱々しくそう光が呟いたのが聞こえる。
術式を四つも展開出来る彼女さえこの様子である。
そして光が爆弾魔と同様の驚愕の理由を叫んだ。
「その術式の模様とそのディーヴァの色は!?」
驚愕の理由ーーそれは一般的な術式に見られる幾何学模様ではなく、文字のようなものが浮かび上がっていて、貴人からその術式へ流れるディーヴァの色が金色に光っていたのだ。
光の叫びに誰も答える事がないまま、貴人が足元に広げた謎の術式を爆弾魔が用意した術式装置の下にも広げて、半径約四メートル程の円となった。
(か、彼は一体……?)
そして貴人が発する。
「神の再創造」
この瞬間、爆弾魔の術式装置が激しく光りそしてーー
一丁の銃になった。
本当は今回終わらせるつもりだったんですが、次回になりそうです。次話も今週中に投稿出来ればいいなと思っております。




