どこいくの?
第二話目です。
どうしてこんなことになった!?
そうすけは、順を追って思い出すことにした。
彼は、寝ることが大好きだった。
学校も、帰宅部で、家に帰れば風呂か寝るかの二択だし、嫌いな授業のときは、頑張るときもあれば、屋上で寝ることもあった。
そして、休日はというと、彼のスケジュールは例外を抜いて、基本的には何もないので、一日中寝てることが多かった。
今日も、日曜日、つまり休日なわけで、予定なんか一つもなかった宗助は、起きないことを決めたのだ。
だが、今日という日はそういうわけにはいかなかった。
朝八時頃。宗助は、いつもと同じように寝ていた。
そこに、いつもなら来ないはずに母がやってきた。
母は、部屋のドアを思い切りあけると、すたすたと窓によりカーテンをしゃっとあけた。
そして、母がやってきたのも気づかずぐうぐうと寝ている宗助に、持ってきたフライパンとおたまで大きな音を出しながら叫んだ。
『たまには部屋の掃除もしなさーい!!』
それでやっと、母が部屋に入ってきたことに、そして、朝が来たということに気付いた宗助は、大きく伸びをしながら言った。
『え~眠い…』
言いながらも布団にもぐりこむ息子を見、母はため息交じりに言った。
『汚い部屋で寝るより、きれいな部屋で寝たほうが気持ちいいでしょう』
『別に…』
布団に入り、まったく出る気を見せない息子に、母はパチンと指を鳴らした。
『布団から宗助を出してちょうだい』
ファッションデザイナーとして名のある母は、メイドを二人とボディーガードの男一人を雇っている。
が、メイドなんかいなくても母一人で家事は十分手は回るし、命を狙われてもいない。
なぜこの三人を雇っているのかは宗助には教えられてなかったし、聞いたこともなかったが。
『はい』
母の指の音で入ってきた中年の女性は、メイドの一人でちえさんという。
人の好い性格で、よく自分から買って出て仕事をしてくれている。
前に学校で使う体操服入れの端が破れたとき、母に内緒で縫ってもらったこともある。
彼女は、部屋に入ってくるなり宗助のベットの布団をすべて、ひっぺ替えした。
『ちょっ…ちえさん!』
返してと要求しようとしたが、彼女は聞く耳を持たないことにしたらしい。
きっぱりとした口調で言ってくる。
『たまには布団も干しませんと。病気になってしまいますよ。』
『うう……』
『ちえさんの言う通りよ。ただでさえ人の倍ぐらい使ってて汚いんだから。布団カバーも洗うべきね。』
母は、ちえさんに同意しながら布団カバーを取りにかかった。
『えっ…ちょ、母さん!』
その上にいた宗助は、自分が寝転がっている下布団ごと布団カバーを取られたため、残るものはない。
枕もすでに、いつ回収したのかちえさんの懐に収まっている。
『さ、もう布団はないの。はやく掃除しなさい。終わったら返してあげるから。』
有無を言わさない口調で宗助に言う母の横では、ちえがもう部屋を出ていこうとしている。
『えぇ~めんどくさぁ~』
『めんどくさいじゃない!いつも自分でできることは自分でやりなさいと言ってるでしょう。じゃ、終わったら呼んで』
母はそう言い捨て、部屋を出て行った。
一人になった宗助は、しばらく考えた後、着替えよう、とつぶやいたのだった。
そこからしばらくし、宗助は掃除の続きをしていた。
あとは本棚だけ。綺麗に整頓すれば終わりだ。
そう思うと、今まで頑張ったな、自分。と思えてくる。
こんな何時間もかけて部屋の掃除をしたのはいつ振りだろう。
『ふぅ…。?ナンダコレ??』
順番に整頓し始めてしばらくしたころ、ちょうど半分ぐらい終わったころだろうか。
彼の手の内には、見たことない小さな手帳のようなものが乗っている。
漫画と漫画の間に挟まっていたのである。
全体は新緑の色で、模様はなく、代わりのようにところどころキズがある。
『俺、こんなの読んだことあったかなぁ…』
首をかしげながらも、裏側を見る。
しかしそこにも、多数のキズがあるだけで、模様の一つもない。
『う~ん…』
こんな本(?)は、読んだ覚えも、買った覚えもない。
一体誰のものなのだろう…
少しくらいなら、読んでもいいだろう。
『失礼します……』
一応そう言っておくことにした。
後で持ち主が現れても、言い訳できるように。
そういうと、ぱらりと開いた。
しかし、中は白紙であった。
『…?』
首を傾げながらも、次のページをめくった。
そこも、先ほどと同じ。真っ白で、何も書かれていない。
『……』
無言のまま、また次のページをめくった。
そうしたら、まぶしい光とともに、何かが飛び出してきた。
『じゃーん』
『!!』
本から出てきた自らを妖精だという二人の少女は、自分に、世界のために働けと言ってきた。
一体どう意味なのか…。
うーーむ……
答えは見つからない。
というか、考えれば考えるほど、わからなくなってくるのは気のせいだろうか……。
結局、何もわからなかった宗助だったが、とりあえず二人(?)に協力することにした。
さて、今現在に戻る。
「ちょっと……ねぇってば!どこ行くんだよ」
「あんたは黙ってついてこればいいのよ」
紫苑は、冷たさを秘めた声で静かに言う。教える気はないらしい。
秋桜はスキップして行ったため、もう今はどこに行ったのかわからない。
宗助は、もう昼過ぎだったが昼食もとらずに街中をぶらぶらと歩いていた。
実際は、先に家を飛び出していった妖精達を追いかけていたのだが、どうやらほかの人たちには見えないようだ。
すれ違う人皆に変な目で見られるのはそのせいだろう。
「ねぇ、あの人、誰に話しかけてるの?」
「独り言じゃない?なんか不気味よね」
なんて言うひそひそ話も聞こえてくるような気もするが、とりあえず流しておこう。
そう思いながらも宗助は紫苑を追って歩き続けた。




