妖精?
いきなりはじまってます。
最初はナンダコレ?と思うかもしれませんが、ご了承ください。
「じゃーん」
彼は、すぐさま本を閉じた。
本を閉じ、少し落ち着いたところで、ぼそりと呟いた。
「なにあれ…てかなに?悪魔?」
本から女の子が出てくるなんて聞いたことない。幻覚でも見たのだろうか?漫画の読み過ぎ?
試しに、もう一度本を開いてみることにした。
「じゃーん」
先ほどと同じように、本を開くと、女の子が出てきた。
桃色のふっさふさの髪を上頭部で結いあげていて、腰ぐらいまでのびている。
目は、翡翠のような色で、良く透き通っている。
良く見れば美少女だが、興奮と恐怖心で彼にはよく見えていない。
「な…何者っ!?」
叫び捨てるように言い放った言葉に、目の前の少女はふむ、と考え、しばらくの内に言い放った。
「大魔王だよ~」
「う、うそだろっ…」
(こ、こんな女の子が大魔王なわけない!)
彼は、少しずつだが理性を取り戻していた。
「せいか~い」
それに、彼女は嬉しそうに言う。
「な、なんなんだっ」
そんな彼に、少女は胸を張って言ってきた。
「なんだかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け、世界の破壊を防ぐため世界の平和を守るため、愛と真実の悪を貫く、ラブリー・チャーミーな敵役、ムサシ!コジロウ!銀河をかけるロケット団のふたりには、、ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!にゃーんてな。」
「それはロケット団だろっ!」
思わず突っ込んでしまった。子供相手に、情けない。
しかし、落ち込む彼とは対照的に、少女は嬉しそうだ。
「もう、いい加減にしてくれ…」
彼がぽつりと言うと、少女はさっきまでとは違う、少し大人びた言葉で言ってきた。
「私たちは、妖精よ。」
「えっ?」
落ち込んで、やや下向きになっていた彼は、そんの声の変わりようと言葉に顔を上げる。
「な、なんて…」
「だから、妖精よ」
その少し大人びた声の主は、さっきまで彼が見ていた少女とは全く異なった容姿をしていた。
漆黒の髪は胸あたりでおろされており、同じ色の双眸は、すべてを見切っているようだ。
とてもじゃないが、こんな小さな少女が、そんな姿をしているのが信じられない。
「…誰?」
「私は、紫苑。秋の妖精の一人よ。こっちは…」
彼女は、後ろにいた先ほどの妖精を前に引き出す。まだいたらしい。
「秋桜で~す。よろしくお願いしま~す♪」
「はぁ…」
もう、何とも言えない。
こっちが紫苑で、前にいるのが秋桜?どんなネーミングセンスだ。
「両方、花の名前なんだな」
思わず声を出してしまった。すると、紫苑が、少々自信ありげに言ってくる。
「ええ。私たちは、妖精の中でも上位の『花の妖精』なのよ。」
「花の妖精の上には、女王様と天の妖精しかいないの」
それに、秋桜も続いた。天の妖精に、女王様?
「なんだそれ…」
しかし、今度は誰も、彼のつぶやきに反応しなかった。
「さ、もうこの話は切り上げて、次行きましょう。こんなの続けてたら、きりがないわ。」
紫苑は簡単に話を切り上げたかったらしい。
ため息交じりに言うのが、それを伝えてくる。
「はぁ」
もう、はぁとかなんだとかしか言ってない気がする。
人間とは、未知のものに出会ったときに、こうなるのだろうか。それとも、自分だけ?
「うん、そうしよ~」
「はいはい。いい、人間の男。」
「俺は宗助です…」
一応、名乗ることにした。向こうが名乗っているのに、こちらが名乗らないのは常識はずれだろう。
「じゃあ、宗助。私たちに協力しなさい」
「は!?」
いきなりなんてことを言うのか。
「私たちと協力して、この世界と妖精界の平和のために働きなさいと言ってるのよ」
ぽくぽく、ちーん……
しばらく沈黙が続いた後、宗助は叫んだ。
「なんだよ!それ!」
「まったく…これだから物わかりの悪い男は嫌いなのよ」
うざそうにいう紫苑に対し、秋桜は部屋全体を見渡し、お~、と、うれしそうに言う。
「この部屋は、宗助の部屋?綺麗に整頓されてるのね~すごいわ」
「秋桜は、たまには自分の部屋を完璧と言える位大掃除をするべきね」
秋桜をややおこりながらも、紫苑は宗助をまっすぐ見た。
宗助は、ややぶすくれていた。あんな説明でだれがわかるか。
「あなた、格闘技はできる?」
どことなく怪しみながら紫苑は宗助に問うた。
「は?格闘技?何で?」
質問したのに聞き返してくる宗助に、紫苑はより、怒りが倍増した。
「いいからこたえなさい!できるの、できないの!」
「か、空手なら…」
こんな小さな少女に怒られたのは初めてだ。思わず肩がすぼむ。
そんな宗助に対し、紫苑はまだ怒っているようだ。
「あっそ。なら少しは大丈夫ね。さっさと準備して。行くわよ。」
「あれ~もう行くの?紫苑はいつも早すぎだよ」
「秋桜は黙ってなさい。いい?仕事は早いほうがいいのよ」
「なんでよ~。のんびりいこうよ~」
「早く仕事が終われば、その分たくさん遊べると思うわよ?」
「行きますっ」
そんな二人のやり取りをぼけ~と見ていたら、紫苑から一括飛んできた。
「なにしてるのよ、このボケ男!早く準備しなさいよっ使えないわね!愚図!ほんとに男?」
「すんません…」
出会ったばかりの小さな少女たちに振り回される宗助であった。




