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第86話 魔防隊が発足します

いよいよ本格的な部隊が編成されます。

(2月9日です。)

  今日は、『国際連合対未確認生物防衛隊派遣部隊』、略して『国連魔物防衛隊』、もっと略して『魔防隊』の結成式だ。明日が初訓練で、両日ともに私も参加するので、学校には、欠講届けを提出している。


  結成式は、神宮外苑の絵画館前広場だ。陸、海、空の自衛隊から選抜された約900名の精鋭で編成されているとのことだった。


  今日は、式典なので、皆は戦闘服ではなく、青色の国連カラーのダブルの制服を着ている。皆、キチンとベレー帽とネクタイをしていて、とても格好が良い。


  私とアオちゃんだけが浮いているんですけど。武器を携行しているのも、私とアオちゃんだけだし。


  あ、アオちゃんの武器は、ミスリルのロングソードを、日本刀風にしたもので、鞘を真っ赤な色にした。勿論、通常の刀工では扱えないので、私が『練成』で洋風の両刃のロングソードから作刀したものだ。


  アオちゃん、その刀を腰に下げているけど、牛若丸みたいで格好が良い。私も、新マスクをしているけど、何と言っても、新制服が目立ち過ぎている。


  父様に聞いたら、官邸に専門のスタッフがいて、デザインしているらしいけど、絶対にその人ってオタクだわ。それに、そのデザインにゴーを出す安芸首相も、きっとそうね。


  午前10時、式典は、安芸首相も参列して始まった。私は、隊列の中ではなくって、査閲台の脇に並んでいる閣僚達の列に並んだ。首相の激励の言葉の後に、私の挨拶がある予定だ。


  壇上にアオちゃんと一緒に上がっていく。報道のカメラのフラッシュが凄い。テレビカメラも20台以上だ。世界各国から来ているらしい。


  係の人が、カメラの列を、後ろに下がらせてから、挨拶が始まった。


  「皆さま、おはようございます。」


  ここまで言うのが精一杯だった。後は、何も言えない。と言うか、言わなくても良かった。何故なら、アオちゃんが後を引き継いでくれるからだ。


  「我は、この銀仮面とともにある者、名を『アオ』と言う。我らの願いはただ一つ。ここにいる皆の命を失わせない事。皆の命は儚い。失われた命は、我らといえども救う事は出来ない。これだけは約束して貰いたい。命を無駄にしないと。」


  物凄く血生臭い挨拶だ。首相の挨拶が、世界の平和と、日本の威信のためとか何とか言う挨拶だったのに比べ、死を前提にした挨拶だった。


  しかし、魔物達に比べれば、近代兵器で装備されていても、人間は、ほぼ無力だった。現に日本でもアメリカでも多くの兵士が死んでいる。その現実に目を逸らしては、戦場から生還することなど出来ない。


  式典が終わったら、一人の女性隊員が近づいてきた。私の世話係兼通訳をしてくれる『城之内美玲』さんだ。ナイスボディの美人さんで、去年3月に防衛大学校を卒業した准尉さんだった。


  当然、初対面の大人の人と、普通に話せる訳がなく、黙っていると、小さな声で、


  「麻里亜ちゃん、よろしくね。これ、食べる?」


  アーモンドチョコをくれた。あ、この人、とても良い人だ。私の事は、父様から色々聞いているらしい。私は、チョコをモグモグ食べながら、


  「よろしくお願いします。」


  と言った。美玲さんが、『あら、普通に喋れるの?』と驚いていた。これから記者会見だが、美玲さんが立ち会って、助けてくれるそうだ。


  会見場は、絵画館のそばの日本青年館で行われた。大きな会場だった。会見席の後ろには、ブルーの国連旗と日の丸の旗が掲げられていた。


  首相の隣が私、それにアオちゃんだ。後、外務大臣や防衛大臣それに危機管理室長などが座っている。美玲さんは、私の後ろに立っていたが、緊張しているようだった。


  記者の質問は、私とアオちゃんに集中していた。まず服装について、誰がデザインしたのとか、いつもミニスカだが、活動に不自由なのではとか、絶対に回答に困る質問だ。


  間違っても、安芸首相の趣味だとか、見えパンを履いているから大丈夫などとは言えないので、美玲さんが回答に困っていた。


  アオちゃんに対しては、あのアニメの真似をしているのかと聞かれていたが、アニメを見ていないアオちゃんには答えようが無かった。


  最後に、マスクが変わったが、その理由はと聞かれ、飲食に不便なのでと答えたら納得してくれた。


  中国の記者の方が、アオちゃんは『青龍』という中国伝承の神龍では無いかと聞かれた。流石に、美玲さん、返答に困っていた。アオちゃんが、立ち上がった。身体が青白く光って、白い龍に変身した。大きさはフルサイズではなく、天井いっぱいくらいだった。アオちゃんが、皆に『念話』で話した。


  『我は、この国の八百万の神の一人で川の守護神、湖の守護神なり。唐国の青龍殿は、面識はないが聞き及んではいる。』


  そう言ってから、元の姿に戻った。私は、アオちゃんが変身する寸前から、微弱電波を発信している。電子機器が作動しなくなってしまい、カメラ撮影ができなくなっていた。当然、中継も何も出来ないので、龍の姿を見たのは、この場にいた人だけだった。


  可哀想に、美玲さんはガタガタ震えている。目の前に龍が出現したのだ。私は、そっと『聖なる力』で、美玲さんの周りを包み込んであげた。


  少年の姿に戻ったアオちゃんは、ニコニコしながら席についた。次に、日本の隣の国の記者さんが、口を開いた。


  「龍は、我が国が起源となっています。アオさんは、我が国の生まれですか?」


  「僕は、よく知らないけど、隣の国には龍はいなかったなあ。今から2000年以上前の話だけど。」


  記者さん達の間では、失笑が漏れていた。質問した記者は、顔を赤らめて退出していった。


  「その腰に下げている日本刀は本物ですか?届出はしていますか?。」


  美玲さんが、回答してくれた。


  「この日本刀のようなものの真贋に関しては、武装能力に関する質問ですので回答致しかねます。また、届出の有無に関しては、2人は自衛隊員の身分を有していますので、法令で武器の携行及び使用が認められております。」 


  これで質問は終わりだった。私達は、会場の出口ドアから出ていった。ドアの外は、私の部屋だった。出待ちの人達には申し訳ないけど、そこまでサービスする気はなかった。


  その日の夕方、美玲さんが自宅を訪ねてきた。ちょうどピアノの練習中だったが、レッスン室に案内した。美玲さんは、私服のミニスカワンピだったが、おしゃれな感じで、自衛隊員には見えなかった。


  美玲さんは、レッスン室をキョロキョロ見渡し、『銀仮面さんが、歌手の新垣麻里亜さんだとは聞いていたんですけど、本当なんですね。』と言っていた。


  ダージリンを入れてあげて、2人で飲んでいたらアリスちゃんがレッスン室に入ってきた。ちょうど宿題が終わったところらしい。


  「妹さんですか?」


  妹は、別にいるし、こんな金髪美少女が、妹の訳無いのに、美玲さんって天然なのかな。


  この子はコロボックルの子だと教えてあげた。美玲さん、最初、意味が分からなかったらしい。北海道の伝説の妖精族だと教えてあげたら驚いていた。


  ついでに、皆も呼んであげた。アオちゃんは、少年の姿だったが、クロとコンちゃんは、ワンコの姿だし、ワイちゃんは蜥蜴の姿だ。


  クロとコンちゃんは元の姿になって、『念話』で挨拶をした。美玲さん、さすがに引いていたが、記者会見で龍を間近で見ているだけに受け入れるのも早かった。


  今日は、私の両親にご挨拶に来たのだが、生憎、母様は未だ帰って来ていなかったので、待つことになった。もう夕飯の準備をしなければいけないので、2階のリビングに移動することにした。


  アオちゃん達は、3階に戻ってしまい、私とアリスちゃんで準備をする。今日は、煮込みハンバーグとポトフだ。手際良く料理をしていく。当然、美玲さんの分も作ってあげた。


  美玲さん、料理は苦手だそうだ。防衛大学に入るまでは、剣道部でヘトヘトになるまで稽古をしていたし、大学では3食付きの寮生活だった。部隊配属後は、やはり3食とも隊食を食べているらしい。うん、絶対にお嫁さんにはなれないだろう。


  あっという間に、夕食の準備が終わった。アリスちゃんも、手際が良くなってきている。時間があるので、もう一品作ることにした。パスタを適当に茹で、ハムを短冊に切る。冷凍グリーンピースとニンジンをチンして、茹で上がったパスタとともにマヨネーズで混ぜて出来上がり。スパサラダの出来上がりだ。


  丁度、母様が帰ってきたので、美玲さん、母様に、ご挨拶のバームクーヘンを差し出していた。きちんと名刺を添えていたので、やはり大人だなと感心してしまった。そういえば、美玲さんとはライン交換していなかったっけ。後で、しなくっちゃ。


  食事中に、父様が帰って来た。美玲さん、かなり緊張している。内閣危機管理室最高危機管理対策会議のメンバーで、警視庁未確認生物犯罪対策室室長新垣警視だ。自衛隊の新任准尉では口も聞けない立場だそうだ。


  でも、父様は深く頭を下げて、私のことを頼んでいた。美玲さんは、非常に恐縮していたが、その後は和やかな雰囲気になってしまった。


  母様が、今日は、泊まっていくようにと言ったが、明日の準備があるので、市ヶ谷の寮に戻らなければならないそうだ。


  私とアオちゃんは、明日、午前8時までに市ケ谷の駐屯地まで行き、そこからヘリで、富士の新西湖前進拠点まで、移動することになっているそうだ。直接行けるんだけど、そうすると美玲さんが市ヶ谷に置いてけぼりになってしまうらしい。


  うーん、本当はヘリに乗るのは嫌なんだけど仕方がないか。


  次の日、久しぶりに朝5時に起きて、隣の神社の境内で剣の型の稽古をした。最初、上手く身体が動かなかったが、3回目位からいつもの勘が戻ってきた。よし、準備万端だ。アオちゃんは、何もしないでじっと私の稽古を見続けていた。

新キャラクターの登場です。

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