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第71話 ダンジョンに潜ることにします。

今回は、久しぶりのダンジョンです。

(11月28日です。)

  今日は、月曜日。朝、学校に行ってみると、凄いことになっていた。私が、毎コンで優勝したことは、付属高校でも快挙だったらしい。バイオリンやチェロの部全部合わせても、毎コンで優勝するのは久しぶりらしい。過去には、2014年に優勝者を輩出しているが、それ以降は、第2位が最高位だったらしい。しかも1年生が毎コンで優勝したのだ。これは、開校以来、初のことらしい。


  もともと、ピアノを専攻する学校はすそ野が広く、国内のトップクラスが、この高校に来るわけではない。優秀な生徒は、師事する先生が教授をしている大学の付属高校か、影響のある高校に行くことが多いので、うちの高校はなかなか優勝できないらしいのだ。というか、3位以内に入れない年もあるそうだ。


  恵美先生から、今日からは、ラヴェルやベートーベンを練習するようにと言われた。ラヴェルも綺麗な曲が多いし、ベートーベンも好きな曲が多い。今日は、ベートーベンの曲を練習することにした。


  ピアノソナタ第8番 ハ短調 作品13『悲愴』


  だ。第1楽章から第3楽章まであるが、第2楽章が有名らしい。どれも素敵な曲だ。難易度的には、それなりで、たいしたことがないが、恵美先生が、来週金曜日に全楽章のチェックをするので、通しで弾けるようにしておくようにと言っている。通しで弾けると言う事は、暗譜して、ミスなく指示通りに弾けるようにすると言う事で、それを10日余りでしろと言うのは無茶ぶりと言うものです。


  恵美先生が、3年生になれば、ショパンしか練習しないので、2年生までに、ショパン以外の殆どの作曲家の曲をマスターしなければならないそうだ。とくにリストの練習曲は、2年生で重点的に練習するので、1年生では、その他の作曲家をマスターしましょうと言われた。


  まあ、恵美先生に任せるしかないので、黙って言う事を聞くことにした。


  あ。そういえば、今度、NHKの年末の歌番組に出演することになるらしい。正式発表は、来月だが、事務所にオファーが来たらしい。


  それとレコード大賞の新人賞の有力候補なので、それにも出演しなければならず、年末は結構忙しくなると、米良さんがこの前、自宅に来て言っていた。年末は、函館のお祖父様達も、東京に来られるので、案内もしたいし、でも、未央ちゃんもいるので何とかなるだろう。


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(12月3日です。)

  今日は、土曜日で久しぶりに、サヤちゃん達とライブをする。毎コンの練習で、ずっと出れなかったので、申し訳ないなと思っていたのだが、サヤちゃんが気にしないでと言ってくれた。米良さんが、サヤちゃん達の家にも、NHKのお話をしているので、なんとなくウキウキしているようだ。やはり、デビューした年に、NHKのあの番組に出場できるのは凄い事らしい。発表は、今度の月曜日らしいが、米良さんの話では、確定しているらしい。


  歌う曲は1曲だけなので、特に練習することもなく、いつものように歌えばいいのだけれど、何を着たらいいのか悩んでいた。銀仮面冬バージョンの服は、一応、そろえたが、少しインパクトとお色気に欠けるそうだ。私は、何でも良いので、あまり恥ずかしくない格好が良いなと思っている。


  サヤちゃんが、明日、新宿に買い物に行かないかと言っていたが、明日は、用事があるからと断ってしまった。明日の用事、それは誰にも内緒にしている用事だった。


  次の日、朝早く、起きてお弁当の準備をする。駅前の商店街で買ってきたメンチカツにたっぷりのソースをかけて、レタスと一緒にパンにはさんだ、メンチカツサンドとオレンジジュースのパックだ。母様には、今日はお出かけするので、帰りは夕方になるかもしれないと言っておいた。


  安芸首相に貰った銀仮面の冬バージョンの服を着て、あの樹海に転移する。勿論、銀仮面とカツラは被っていない。樹海に新しくできた湖、『新西湖』と名付けられたらしいが、その新西湖のほとりに立った。このエリアは、政府の管理地域になっており、所有者といえども、立ち入り禁止地域の中には入れないようになっている。自衛隊が3キロほど離れた所に、前進拠点を作っており、そこから監視カメラの映像とドローンでの映像で異常の有無を確認している。


  私は、樹海の中の、大きな杉の木の陰に隠れるようにして転移したので、カメラに発見することはなかった。そのまま、土魔法で、潜っていく。『ライティング』で明るくし、私より10m位下に直径3mほどのトンネルを掘り下げていく。この前の大爆発で、深さ50m以上の所まで、全ての物質が消滅したはずなので、その下、かなりの深さまで掘り進んで行こうと思っていた。


  しかし、そんなに掘り進まずに、10m位掘り進んだところで、『ボコッ』と小さな穴が現れた。この穴の大きさ、中から、例の匂いがしてきた。奴らだ。もう、こんなところまで、地底から這い上がって来ていたようだ。でも、小さな穴なので、トロールやオーガなど中型以上の魔物が通れるようにするにはまだ、かなり時間がかかるだろう。しかし、ここに1本のトンネルがあると言う事は、あと何本あるか分からない。きっと、アリの巣のように張り巡らされている事だろう。これは、早く元から断たなければ。


  トンネルの先から、何かが近づいてくる気配がする。きっと真っ暗なトンネルが急に明るくなったので、調べに来ているのだろう。彼らの主な光源は、ヒカリゴケと、気持ちの悪い虫たちだ。私のライティングの光なら、きっと太陽光線のように明るく感じただろう。


  私は、シールドを貼ってから、壁の向こう側にファイアボールを爆発させた。小さな穴から閃光が迸る。


  ズズーーン!


  壁が崩壊した。壁の向こうは、ゴブリンのバラバラになった死体が散乱していた。きっと地上へのトンネルを一生懸命作っていたのだろう。


  匂いをちょっとだけ我慢して、奥に進んでみる。トンネルの天井は、黒い黒曜石のようになっている。あの大爆発で、溶けた岩石が冷えて固まったのだろう。ゴブリン達は、もっと柔らかい部分を探して、横にトンネルを掘り進んでいたのだ。さらに奥に行くと、痩せこけたゴブリン達がいた。食べるものがないので、共食いをしながら、生き延びてきたのだろう。


  私は、ショートソードを抜いて、走り込んでいく。剣の先から光が1m位伸びている。この光が届く範囲の敵は、剣により切り割かれていく。


  ゴブリンの胸の中の魔石は、小さく魔力量も大したことがないので放っておく。さらに奥に行くと、大型のトロール達がいた。奴らは、丸々と太っていた。きっと、弱いゴブリンを餌食にしていたのだろう。


  トロールは、身体が大きいだけに、力も強く、振り回す武器も大型の鉄製のものだ。まあ価値はないが。彼らは、動きが遅く攻撃のパターンも単調だ。


  振り下ろしてくるハンマーの脇をすり抜けるとともに、足の腱を寸断し、横っ腹の肝臓あたりを切り裂く。或いは、ガラ空きの頸動脈を深々と切り裂いてしまう。


  うん、後で彼らの血を蒸発させないと、大変な事になってしまう。


  このトンネルの最奥部には、階層ボスがいるはずだ。階層ボスは、一定範囲しか動けないが、魔力の供給を受けているので、飲まず食わずでも平気だと聞いたことがあった。


  この階の階層ボスは、ミノタウロスだった。でかい。牛の頭に人間の体だが、牛よりもかなり大きい。上半身は裸で、鉄の棍棒を持っているが、問題は下半身だった。粗末な牛の毛皮を巻いているが、モッコリとした一物が脇からのぞいている。硬く大きくなってピクピクしている。先っちょの割れ目から何かが染み出してきていた。きっと、私を見て劣情を催したのだろう。


  絶対見たくないものを見てしまったので、ウインドカッターを一閃、屹立しているモノの先っちょを首チョンパする。しかし、全く痛がらず、血を吹き出しながら棍棒を振ってくる。躱しながら飛び上がり、剣の先に雷撃を貯めて、首筋で一気に、放電する。威力満点のスタンガンだった。


   ズズズーーン!!


  ミノタウロスが、一瞬、気を失って倒れてしまう。しかし、すぐに気がつくだろう。ミノタウロスの不死身さは、驚異的だ。


  私は、素早く心臓付近を狙ってとどめを刺すと共に、魔石を抉り出す。大きな黒い魔石が出てきた。水魔法で洗い流したら、それは黒ではなく、濃い碧色の魔石だった。魔玉をこめてみる。青い光を放って輝いている。


  今日の目的は達したのだが、下の階層にも行ってみる。下の階層に出た瞬間、数え切れないほどの弓矢が降り注いできた。シールドを貼って凌いだが、数が半端ない。見ると、トンネルは高い空洞になっており、夥しい数のゴブリンアーチャーが壁の上から弓矢を射てくるのだ。


  「ライティング!」


  極大のライティングだ。閃光のように瞬間的に光ったために、視界を奪われたゴブリン・アーチャーは、パタパタと崖の上から落ちてきた。ヨロヨロしているゴブリンアーチャー達は、アイスシャベリンの餌食のしてやった。奥に進むと、恐怖に引きつった顔のゴブリンソルジャーが20体位いた。


  そのまま走り込んで、足首や手首を切り落としていく。首や胴体と違って、出血も大したことがない。


  奥では、オークソルジャーが防衛線を張っていた。大楯を並べて、姿勢を低くしている。


  私は、剣に力を込めて『斬撃』を放つ。横一線に広がっていく斬撃は、大楯ごとオークソルジャーの群れを上下に二分した。

  

  階層ボスは、ケルベロスだった。肩の高さが3m以上もある。通常個体なら大きな犬に、首が3個あるだけに過ぎないが、取り敢えずファイア攻撃を真ん中の頭に目掛けて放ってみた。


  左側の頭が口を開いた。白い冷気を吐き出してファイアを無効にした。嫌な気がした。


  次にアイスランスを撃ってみる。一度に3本のアイスランスを、それぞれの頭目掛けて放ったのだ。今度は、右の頭が炎を吐き出した。アイスランスは蒸発してしまった。


  厄介な敵だった。ダッシュで、こちらに向かってきた。速い!すぐに『瞬動』で躱したが、もう少しで攻撃を受けるところだった。


  剣に電撃の力を込める。剣がバチバチ言って青白い火花を発し始めた。そのまま大上段から振り下ろす。イオンの匂いを残しながら『斬撃』がケルベロスを襲う。


  ケルベロスに直撃する瞬間、奴は右に逃げようとした。そのため『斬撃』が左側の頭に直撃した。


   バチーン!


  大電流が、ケルベロスの左頭を蒸発させた。


  『今だ。』


  極大ファイアを放つ。少しくらい左右に逃げても、逃げきれない幅の紅蓮の炎がケルベロスを襲う。ケルベロスは、そのまま炭になってしまった。


  用心しながら近づく。うん大丈夫なようだ。ケルベロスの死骸から魔石を取り出す。大きな赤い魔石と、水色の魔石が出てきた。ドロップ品は、ミスリルの鎧だ。かなり大きい。成人男子用みたいだ。それに綺麗だけど可愛くない。そのまま異次元空間に収納した。私は、深いため息をついたのち、地上に『転移』した。


ダンジョン探査の目的は、魔石だったようです。

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