59 再会
お昼頃にも一話投稿しています
ルーファスさんは強い。闇魔法手に入れたものは大幅なステータスアップをする。それを使いこなしているルーファスさんに、ヴィックさんたちは苦戦をしている。
四対一なのに、まさか押し切れないなんて。
「――!!」
突然、ルーファスさんの意識が先ほど出てきた岩山の山頂に向いた。その隙を逃すほどヴィックさんたちは甘くない。
「はあぁ!!」
ドゴォン!!
大きな音を立てて彼らの魔法がぶつかる。砂煙が立ち昇り、視界が悪くなる。
ここだ! すかさずわたしは走り出し、山頂へと駆け込んだ。
中に入ると、レティがいた。鎖でつながれているが、生きていた!
「レティ!」
「シュガー!」
あんまり大きな声は出せないけど、ようやくの再会に思わず名前を呼んでしまう。すぐにレティに駆け寄る。
「あんまりそっちに行っちゃダメ」
「え?」
レティが指差す方を見ると――って、レティ火傷してるじゃない!
「ヒール!」
「大丈夫だよ。それより、そこに魔法がかかってるみたいだから気を付けて」
ヒールで火傷を治し、改めてそちらに目を向けると、確かに魔法らしきものが見える。薄くて透明な壁が、向こうに見える……祭壇? のようなものに向かえないようにするための結界みたいだ。レティはこれに触って火傷をしたらしい。
「あ、もしかしてルーファスさんがさっき気を取られたのは……」
これにレティが触ったからか。だとすると、急いだほうがいい。ヴィックさんたちを振り切って戻ってくるかもしれない。まずはレティの鎖を外そう。
「この鎖……ううん、鎖の部分を切るしかないわね」
「魔法が使えないの。何か特殊なものみたいで」
魔法が使えなくなる鎖? 壊して大丈夫かな……。でも、このままにしていたらいざという時に逃げられない。やっぱり切るしかない。
影収納から斧を取り出し、鎖に向ける。人型じゃないと握れないので、人型に変化する。万が一にもレティに当たらないように気を付けながら鎖を断ち切る。
バキィン
バキィン
二つの鎖を切ったが、見た目に変化はない。手枷みたいなのはそのままなので非常に腹立つけど。レティの柔肌になんてことを。
「どう?」
「ハントウィンド。……使えるみたい」
「よかった」
大きなケガもないみたいだし、ひとまずは安心だ。次は……あれだね。
「あの鏡……」
「うん、秘宝ってやつみたい」
祭壇には鏡と、ナイフやら魔石やら、必要と思われるものが置いてある。あれを壊せば儀式はできないはず、でも……。
「なんて強固な結界……これ壊せるかしら」
あのルーファスさんがかけた魔法だ。ちょっとやそっとじゃ壊せないだろうけど、どうにかするしかない。
「ロックハンマー!」
大きな岩を落としてぶつける魔法だ。これで……
ガキィン
「え……」
「あ、あれでも割れないの?」
結界にぶつかった岩が粉々に砕け散った。二人して驚いてしまった。これ以上の強力な魔法はない。それなら……!
先ほどの斧を握り、結界に向かって思いっ切り振り下ろす!
バァン!
ガランガラン……
「いっ……」
「お父さん!」
振り下ろそうとした斧が後ろから飛んできた魔法に弾き飛ばされる。
振り返ると、ボロボロのルーファスさんがこちらを殺気の籠った目で睨んでいた。
「まさかもう一匹いたとはな……。レティシア、お前にはがっかりだ。母さんに会いたくはないのか?」
「お父さん……お母さんはもう死んだんだよ」
「違う!!! 彼女はこれから生き返るんだ!!!」
ルーファスさんの目は血走り、頭をガリガリと掻きむしっている。怖い、正気じゃない。
レティを見ると、怯えた顔をしながらもどこか諦観と憐憫を感じ取れる表情をしていた。
ギュッと抱きしめたいところだが、そんなことをしている場合ではない。ヴィックさんたちは大丈夫だろうか。ヴィックさんたちで敵わなかった相手をわたしたちだけで……無茶が過ぎる!
ルーファスさんがブツブツと何かを呟いていたが、突然フッと静かになったと思ったら上を見上げて叫んだ。
「もう何もかも遅い! 『死者の時間』はきた!!」
バッと上空を見ると、星も月明かりもない漆黒の夜空が広がっていた。




