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GothiPico ようこそ、地上の楽園へ  作者: 岡座 道糞
高度成長時代 名付けて大躍進!
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幕間 鼠の男爵への裁定

 時間的にはマオがどうなるか分からず悶々(もんもん)としていた1週間の間の出来事です。




 ピュース男爵はスレイジ公に援軍を求めるためにヘルグラードにいた。

何の財貨ももたらさない貧しい土地なれど、領地は領地そこの領民が一気に逃散してしまったのだ。

領主としては当然、対応しなければならない。


だが、その結果があの惨敗である。

それも相手は帝国や大国などでない一逃散農民の集団にだ⋯⋯⋯

相手が訳の分からない魔法を使ってくるなど言い訳にはならない。

それに、何といい訳すればいいのだ? 『鉄の牛が火を噴いて兵たちをバラバラにしてしまった』か?


 そんな事を口にすれば馬鹿かと思われるか、頭がおかしくなったと思われてお終いだろう。

下手をすれば領地を治める資格がないとして、今の領地も没収されるかもしれない。

それを思うとここには来たくなかった。しかしあの農民どもに懲罰をくれてやるのにスレイジ公の力はどう考えても必要不可欠であった。



「軍をひとつ失うなんて⋯俺は夢でも見ていたのか⋯」


 あの戦に参加した人間はピュース男爵の持つ軍の半数以上だった。

もはや領地の治安を満足に維持することすらできなくなる。

いまだにあの村で起きた現象を受け入れることが出来ない⋯⋯⋯

たかが農民、たかが荷車の群れに攻めあぐねて轟音と共に軍が一瞬で瓦解したのだ。


騎士たるものが農民に負ける! あっていいわけがないこんな事が下々の者に知れたらどうなる。

考えただけで恐ろしい。


 どれだけ長い間を待ったのか、スレイジ公の部屋にいたであろう客人が出てゆき変わりに入室する。

スレイジ公は、ピュースの顔をジッと見ると重々しく口を開いた。


「お前に父君の領土を譲り渡したのはやはり間違いだったのかな? ピュース”男爵”」


「しっしかし、敵は怪しげな魔法を使って我々の軍を一撃で粉砕してきたのです。あのような怪しげ集団が⋯⋯」


ピュースが言葉も言いきらないのを止めスレイジ公はピュースを詰問する。


「男爵、魔法とは何だ? ああ、いわなくてもいいぞ。我々にとっての馬の調練と同じ繰り返しによってのみ達成される”技”だ。とても非能率な、な。そんなのがいる事など君の父上からも聞いた事がないがな」


「公、現に我々の軍は壊滅しているのです。我々が夢でも見ていたという気ですか!?」


「それで? 運悪く、その魔女のばあさんがお前の領地の近くいたとしてだ。お前は何をしたんだ? 何の報告もなく勝手に戦端を開いて敗北しおめおめ助力を乞いに現れた訳だな」


「そっそれは⋯⋯」


「どうもお前は”王国という物”を勘違いしているようだな。これはあくまで相互に防衛するための物でしかない。お前のように先走った者の尻拭いをするためにあるのではないのだ」


 それだけ言うとスレイジ公は机に置いてある手紙をヒラヒラとピュースに見せる。

周辺国家の情勢にそれほど詳しくないピュースでもその手紙の封蝋ふうろうの紋章は知っていた。

ベネク共和国最大の商会レガリアの物だった。


「それはなんです? この一件と何の関係があると言うのです!?」

「招待状だ、停戦調停のな⋯⋯」

「公は敵と妥協すると言われるのですか!!」

「妥協? 交渉と言ってもらいたいな。お前の領地などすでに破綻寸前であろうが。俺が優秀な経営団を送ってやる。お前はペラを諦めろ。いいな」



※※※※※※  ※※※※※※  ※※※※※※  ※※※※※※



 妾の息子が騎士としての名誉も何もかもを無くしすごすごと城を去ってゆく。

これでいい、奴の麾下きかの軍団は以前から俺の支配下から逃れようと暗躍していた。

事あるたびに内紛ばかり起こそうとしていた”ピュース男爵”

お前の功績は操縦しやすい馬鹿な妾腹を残したことだけであったな。



「全ては己の掌の上ですか? 我が主」

「ふん、ヴァイパー伯か。下らない些事さじは丁度、終わったところだ」


 コイツも同じだ。節操なくマカイ中央にベネク、果ては帝国まで密かに尻尾を振り回る。

狡猾こうかつな毒蛇め。隙を伺いこちらを噛もうとしていることぐらい気付いていないと思っているのか?


「それで、我が主お呼びになったのはいかなる御用で?」


「いやヴァイパー伯、面白い報告を受けてな。お前がピュースの領地内で盗賊団を動かし荒らしている報告があり証拠が見つかったのだ。申し開く事は何かあるか?」


「ななにを言っている。それはお前の指示でしたことだろう!!」


「指示? おかしなことを言う奴がいたものだな。そんな証拠があるのか?」


「貴様~!! この裏切り者が!」


スレイジ公は激高して剣を振り下ろすヴァイパーの剣劇を軽々かわし、剣を弾き飛ばし胸を一突きすると倒れて動かなくなったヴァイパーの骸に言い放った。


「裏切り? 醜すぎる言葉だな。上っ面だけの友人に対して”態度を改めた”と解釈すべきだ」



 直轄軍ちょかつぐん以外は弱体化するようにし続けてきたが、いささかやり過ぎたのかもしれん。いくら何でも村ひとつ攻めれないとはな。まあ結果的にはそれでよかったが⋯⋯

ベネクと事を構えるなどメンドクサイ。帝国の相手だけで十分すぎる。


それにしてもレガリアの関係者が開拓した村なのだろうが、あんな雪しかない様な所に何の魅力を感じたのやら⋯⋯⋯海に住む者の考える事はわからん。

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