1名様七刻にご案内
無事に連れてこられました
可愛い可愛い娘っ子を誘拐してきましたどうもいつも通りの冥綾です。
ってそうじゃない、戦力の確保をしに行ってただけだ……人聞きの悪いことを言うもんじゃないぞ。
えっ、独り言? まぁ良いじゃないか。
こういう【前フリ】って言うのはとても大切なんだぞ。
さて、くじ引きでチョイスして七刻に連れてきたのだが……とうの彼女は生まれて初めてモノを見るような子供のように大はしゃぎ、でもまぁこれもまた仕方ないのだろうな……見ていて少し微笑ましいのは気のせいじゃないだろう?
なんと言うか七刻に興味をもってもらえることが第1優先でね、好印象植え付けなきゃこの先厄介だしね。
けども異世界の存在すら知らない人間をこうも連れてきたのならばテンションが上がるなんて当たり前の反応をしてくれなきゃ連れてきた意味も失われちゃうからなんとしてもこういう有能な人材はどっぷりと漬け込んでおくのさ……ふふっ。
「ピンク色の髪の毛だ!! それって地毛なの?」
そもそも私の髪は艶々の黒色で瑞穂の世界でも一般的な色だから特に何も言われなかったが結愛の髪の毛はピンク色、ひと目見るや否や反応せざるを得ないんだろうなぁ、こんな奇抜な色は特にね。
やっぱ黒とか茶色がこの【じゃぱにぃず】と呼ばれる種族のほぼ大半を占めているからそういう質問に関しては好奇心からくるものだろうか?
見慣れている私からすればどうにもその感性というのはわからない。
「へぇー、そんなにピンクって珍しいの?」
結愛の自身の前髪を見つめながら言うも瑞穂はおろか七刻ですらピンク色は珍しいと言えるぞ?
なんたってここじゃこの髪の色は結愛だけのオンリーワンだからどこへ行っても視線の独り占めを無意識にしちゃうし、なんと言っても彼女自身がここの女神様の象徴でもあるからそれで見かけると注目の的にされやすく、昔はイヤと言うほど崇められたりしてた。
でも今じゃ特に女神様言えどもフラットに接してくれる人が大半だから私にとっては堅苦しくなくて結構結構。
「うーん珍しいって言うか、ファンタジーだよねこんなの。 ねぇねぇ、魔法とか使えるなら何かやってみてよ。」
目をキラキラを輝かせて私の方ににじり寄ってきたがあいにく魔法は使えても生命そのものを操ると言う点では生きた人間の近くで発動させるのは非常に危なっかしい。
夢を壊すようで悪いな、見せてやることは出来ないのは勘弁して欲しいが……結愛なら何か見せてくれるんじゃないかな?
「なんか見せてっ!!」
「な、なんかって……いきなり言われても無理よっ!!」
そりゃそうだろう、やろうと思ってやると大惨事になりかねないほど極めて莫大な曜力を持っているのだから狭い建物の中でやるのは危険極まる行為、かといって外でやるには動くのも億劫な気がする。
結愛1人で七刻の全員が束になってもその力を上回ることは遥かに及ばない……といえば彼女がいかにスゴいかわかるだろう?
結愛はこの事から七刻の権限を持っているため限ての属性を……例えば光を操ったり電気、炎から水に風……そして金属や土塊の七曜を自在に操れるのさ。
ただしいくら扱いに長けてるとは言え魔法を実際に見せつけるのだから、うっかり驚いた瑞穂が興味本意で結愛に触れて暴発して【死なせちゃいました】となったら冗談抜きで即アウト。
がっかりするかもしれないが我慢してもらうしか道はないのだろうな。
と言うか死なせちゃマズイのにこの仕事を仲介した主も大概だが、そう言うとくじ引きで引き当てた私を逆に攻め立ててきそうなのでこの際はツッコまないでくれないか?
くじ運が悪いと言うのが裏目に出たからやはりそれを知った上でくじ引きをさせた主が悪い、これは絶対的な心理と言うことにしておく。
「危なくないやつなら、これならどう?」
「うわっ、な……引っ張られ、ひゃあっ!!」
結愛は指をクイッと軽く壁に向けると瑞穂がコロコロと壁に向かって転がって行き、行ってらっしゃいと言わんばかりに私も手を振ってやった。
「この感覚は土曜魔法の応用で特定のターゲットの重力の方向を変更させたのか。」
「大正解ねっ!! 冥綾にもご褒美あげちゃう。」
褒められた……棒読みだがありがとう。
さてさて今の彼女の重力は壁が床と同じなのだから壁に吸い込まれるようにくっついてるのだろう、私達2人のところに来ようとも壁をよじ登る感覚だから恨めしそうに床に伏してはこちらを見てるがいやはや滑稽だわ。
というか、ちょっ……ふげっ!?
……いだぁっ!!
私はとっさの判断で受け身をしたが結愛の笑いようから察すると天井にビタンっと叩きつけられてしまったではないか、地味に背中が痛い。
それにしてもなぜ私にまでそんなデモンストレーションをするのかまったくわからないし、そんなことしなくても充分瑞穂に魔法のすごさをわかって貰えたから良いんだぞ……。
魔法のすごさわかった?




