甘い甘い女神様
さぁて魅惑のお茶会へ
今夜甘くとろける甘美な女子会が始まるのさっ!!
いや、厳密にはもう始まってるんだけど何て言うかこれは反省会なのかミーティングなのかよくわかんないけど、それらをかねてとのこと……とにかくあまり深く気にしたら負けかなって思うわけよ。
さてさて次は燎煉の開拓に向けてどんな施設を作ろうか……と言う感じに考えながらお茶とケーキを交えつつ談義をするってものだけど、よく考えたらあそこは何を作るわけでも無いようなもとから完成された場所だから考えるのに苦労する。
けれどもそれは我らが女神様のご意向だからしかたないしここだけスキップして次って訳にも行かない、だから平等に順序を追わなきゃ私とて気がすまなくてモヤモヤするんだ。
「けど結愛、何を作ろうか……私本当に何も思い付かないんだけど。」
というよりあそこは観光地として向くのかと疑問に思うかもしれないだろうね。
だって前回行ったときにしかと見ただろう、あの地獄絵図をッ!!
ドロドロ溶岩がそこらかしこ川のように溢れていたり、大砲の弾丸のように噴石が降ってくる……常に死との隣り合わせ、そんな危ないところに観光客を呼ぼうなんてどうにかしてる。
燎煉の連中耐火性があるためマグマダイブしたってなんの問題なく平気で、それどころか民の幼稚園児ですら度胸試しの儀式として火口から飛び降りるくらいなものだ……だからあいにく火にめっぽう強い人か燎煉の民くらいしか気軽に来れるような場所じゃない。
来たところで人間ステーキの出来上がりってね……ははは、私はお断りするよ?
「むー、冥綾……なんとかなら無いかしら?」
と言われてもそんな無茶ぶりは今回ばかりは無理……ではないのかもしれない。
私の脳裏に少しだけ案件が思い浮かんだんだ。
私も少し忘れてたけど、七刻を知らない人は説明そのものじゃ当たり前のように勘違いしてるかもしれないが燎煉の区域は何も【山】そのものだけじゃない、そのふもと付近一帯の総称だと言うことをすっかり忘れていた。
ならばあとは言わなくても察しのいい人ならわかるんじゃない?
……何? わからないと? まぁいい、これから教えるさ。
たしかに私の早とちりのしすぎかもしれないが、ふもとには華やかじゃないが燎煉の街が存在している。
噴石も溶岩流の影響も無くて安全な場所だからそこで何か盛り上がれそうな催し物があれば観光地としても賑やかになるんじゃないかと私は睨んだのさ。
それに街には万が一に備えて地下シェルターもあるし、そこからは直通で燎煉地熱発電所に通じているから作業員の邪魔にならないように許可さえ取ることが出来たならば職場見学だって出来そうだ、可能性は膨らんできたぞ。
なんだ考えればいろいろ思い付くもんだなぁ、さすがお高いお店のケーキの糖分パワー……疲れた脳ミソに活力を与えてくれるワケだ。
「んじゃあ、見学で案件……考えておく?」
結愛が小首をかしげて聞いてくるも私としてもかなりモヤモヤやして悔しいが今はその案件程度しか思い付きそうにもない。
陽光に巨大な港、夜朧には生粋な城下町……今のところは全て何かしらのランドマークとなる建物を建設してきたのだから、ここに来て見学ツアーって言うのはなんだか私のプライドが許してくれそうにもないな。
だからと言っても今はそれ以上なにも策が思い付く訳じゃないから困り果てた感じだよ。
「うーん、玄弥だったらどんな案件を出してくれたかしらね?」
彼は晩御飯を食べるなりもうグロッキー状態、さっさと就寝してしまった。
そりゃまぁ無理もない、ぶっ通しで車運転してたなら力尽きるのも当たり前ってね。
それに悪いお知らせだ……燎煉はとても過酷な土地なのに対してここしばらくは玄弥の休みもほとんど取れず仕事も遅れが出てると聞いたためか風見に帰らなくちゃならないらしく、なんとも男手の作業員を失うのは手痛いがそこはあの智美がきっとなんとかしてくれることを祈るばかりかもしれない。
主は各地方ごとに頼もしい助っ人を送る予定だとは聞いてるが、今回ばかりはパワー系統の男の人が来てくれるのを願うばかり。
と思うなら主に直接願いに行くと良いじゃんって思うでしょ?
そうなると面白がって女性を送りつけて来かねないからここは半分半分の確率で男を願うしか無さそうだよ。
そう思うと本当に救われたいって気持ちが主にあるのか半信半疑になるが……そうだな、今は充分に次の案を考えたし一旦開拓は終わったんだ、少しくらいは忘れて甘い甘いひとときを過ごそうじゃないか。
何せケーキはたくさん買ってきてくれたんだし……さ。
悩ましいことなんて後回し!!




