どう見てもプレハブは豆腐です
喫茶店はいずこに
そこから車で数分行った所には天音の喫茶店へとたどり着く。
たどり着いたんだけどどうにも様子がおかしい。
カーナビを見ても九分九厘ここで間違いはないはずだがこれまたどうしたことか?
華やかで可愛らしい喫茶店がそっくりそのまま無くなってるのに気がついた玄弥は焦りながら回りを見渡してみるも、跡地にあるのはプレハブだけ。
「ここで間違いねぇハズなんだが……。」
まあ私が思うには立て替えるために取り壊す予定だからと、この前本人から直接聞かされていたはず……だから心配しなくても平気だぞ?
けど取り壊したとしても段取りが速い。
まぁ、速いに越したことはないんたけどさ。
「あん? そ、そうなのか? でもなんか寂しいよなぁ。 前はいつ行ったか……わりぃ、思い出せねぇわ。」
玄弥が最後に行ったのはいつだったか、私にはわかるはずもないがしょっちゅう用もないのに言っていたような話は聞かされているから、やはり名残惜しかったのか最後に一目でも見ておきたかったって感じだ。
その気持ち、わかるな。
って、ん? あれは天音か?
「ん? お~玄ちゃん!! め~ちゃんに、聖奈ちゃんも揃いに揃ってどうしたの?」
プレハブの窓から彼女に目があったようで気がついてくれたようだ、窓を開けては手を振ってくれた。
元気そうで何よりだね。
「喫茶店はどうしたんだ? もしかして壊したのか!?」
「壊したってよりかはねぇ~、ミニチュアサイズにしたんだぁ~。 プレハブに飾ってあるし、とりあえず入ってお茶でもどう? りょ、料理は提供できないけどね~……休んでいくことならいつも通りできるよ。」
でも今回は時間潰し、顔を見に来ただけでご飯を食べに来たわけでも……無くもないな。
さっきの寿司で玉子とイナリとマグロ……片手で数えるほどしか食べれてなく、玄弥がバカやるお陰で消し炭になって飛んだから満足に食えてないしそう言われるとお腹が空いてきそうだよ。
とりあえず外にいるのもなんだし入って冷たいお茶でもいただきたい。
暑いのなんのって堪ったものじゃない、聖奈を見るとさらに汗が吹き出しそうだがなぁ。
常夏でもその和服着て暑くないのか? ってつくづく思うけど気にしたら負けだよね。
だって神様は常識に囚われないし。
お邪魔しまぁすっと、入って見るとやはり一時的な仮住まいのプレハブであることには変わりはなくほとんど何もない。
そりゃそうだろうな、またすぐに立て替えるなら荷造りした段ボールの中身をわざわざ出さなくともしばらくは生活できるからね。
あるのはいつものテレビとベッド、イスにテーブルと喫茶店で使ってた物の面影は若干残したといえども寂しい殺風景だ。
「おわっ、あったぜ!! ミニチュアハウス!!」
「小さくて可愛らしいですね。」
私達は物を大きくしたりできるのは港製作で見せた通りだが、逆に小さくするのだってお手のもの。
建物を取り壊すって言っても天音が縮小化でなんとかならないかなって頼んだに違いない、相当思い入れのある喫茶店だから私が同じ立場ならそうしてる。
置物としても見た目がいいが、これはもしやスクナミコのサイズだったら住むことが可能なんじゃ無いだろうか?
いや、もしそうなら悲しむ必要は無いしね。
ここに来ればいつだって自身を小さくして……と、それは難しいかもしれない。
基本的に生物は大きくしたり小さくしたりは出来ないようになってるから、かなり集中して本気でやらないと無理だろう。
一般人の曜力だとまず無理だ……私達でさえやったら気絶じゃすまなそうだし。
あれは大規模だから仕方ないとしても無生物のレンガですら息があがってダウンするレベルだったからな。
でもただ単に私の力不足って訳じゃないぞ、決してッ!!
……きゅるるー。
あぁ、お茶を淹れてる香ばしい香りが私の腹の虫を刺激する。
お持ち帰り用のお寿司を頬張りたいほど……でもあれは主への贈り物なのだ、食べたら怒られちゃう。
「あれ? め~ちゃんお腹すいてる? 特別に何か作るよ? 」
私は耳を疑った。
本当に良いのか!?
さすがは女神様だ。
神様仏様サマサマ。
じゃあご厚意に甘えさせてもらうとするよ。
……そういえば私も女神様だった。
いやはや、自分が言うのもなんだが神様って実感がわかないからたまに忘れがちなんだよね……っと、とりあえずようやくお食事にありつけそうで私の腹の虫も少しだけ静かになった。
プレハブ暮らし




