華やかなるモノとバチバチ
この動作、ただ者じゃない
彼女の綻んだ笑顔を見るのはいつ以来だろう、寿司を美味しそうに……上品に食べる姿はとても釘付けになるほど。
挙動の1つ1つが茶道の動作のように美しくて目が離せない。
同じセットの寿司を食べてる私は絵面として良くなさそうな気がする……と言うのも同じ題材を描いたプロと素人の差だよ、要するに。
まぁ、どんなに私が上品に食べようと聖奈には勝てっこないって事さ、悔しいけどね。
「あ、あの……そんなに見つめられると恥ずかしくて食べられませんよぉ。」
和服で口元隠して照れるのメチャクチャ可愛すぎて辛抱たまらなくなりそう。
玄弥なんて鼻血垂れ流しながら無言でデジカメをカシャカシャとしてるがはっきり言ってキモいです、板前のオッサンもドン引きだよ。
「玄弥様ぁ、食べづらいです。 あまり見ないで。」
「嫌だぜ。」
即答する玄弥だが頭おかしいんじゃないか。
人の食事を邪魔して楽しいとか頭が子供か、いや……子供の成長を記録する親か!?
「じゃあオッサンも取るぜ!! ピースピース。」
「おぉ~ピースピース!!」
あぁ、もうメチャクチャだ。
これ何ってホームビデオ!?
……というかいつの間にビールとか頼んでたんだって感じで気がつくとコツゼンと置いてあるんだけど帰りの車の移動とか大丈夫なんだろうか?
さて、聖奈の表情に曇りが見え始めてきた来たものだから……私は外の晴れ空でも堪能したいな~……なんて思うから外に行ってみよう!!
なるべく急いでね、お寿司とかまだ目の前に残ったままだけど仕方がない。
さて、しばらくしてから戻るとアフロヘアーの玄弥がお会計をしているが彼はカードを持っていたから元よりお財布がスッカラカンになることなんて無かったらしい。
一方、板前さんのオッサンは髪の毛無いツルツルなので逆に黒こげになっている……あと私の寿司はモノの見事に消し炭になる以前に消し飛んだけどどうしてくれるんだろう。
ん? 少し事柄が跳んでどうなったかわからないって?
まぁ、聖奈がキレて部屋の中でスパークしちゃって放電したって言えば速いのかな?
逃げなきゃ私感電してステーキになっちゃうから逃げてきたんだけど、戻ってきたらこの有り様だったから自分にも何がなんだかさっぱり……ものの数分でお店の中の時間がスゴく速く進んでるみたいなんだ。
なんかお会計も終わってるみたいだけど。
「んじゃ、また来るんだぜー。」
「お待ちしてるぜ。」
お持ち帰り用の寿司をぶら下げて玄弥が店から出てくるとアフロヘアーがボンッと音をたてて元の髪の毛に戻るのだが、アフロヘアーでもなぜかアホ毛だけは存在するのは不思議なんだが。
まぁアイデンティティーだから仕方ないけどさ。
それはともかく次はどうするんだい?
「天音ン所に行くぜ!! 」
「お久しぶりですね、天音様はお元気でしょうか?」
聖奈も天音に会えるとなると先程とは打って変わってほらこの笑顔、晴れ渡る空のような笑顔はとても素敵です。
さてさて、せっかくお持ち帰り用の寿司を買って貰ったのだから車までは私が運んであげましょうか。
私もなにか役に立たないとね。
「おぉ、すまんな。 よし、車の鍵をあけ……ほげっ!?」
私の耳にも明確に聞こえるほどの静電気がバチッと聞こえた。
裾で口元を隠しながらクスクスと微笑む聖奈の仕業、彼女の近くにいると何かと静電気が多発するらしい……まだ根に持ってるのだろうか、とりあえず女は恐ろしいからあまり怒らせないことだな。
私はトバっちりが嫌なので静電気防止の腕輪を付けている……用意周到だろう?
あいにく電気系統を操る聖奈だが近くにいる人にまで被害が及ぶ、そこだけは気を付けないと。
さてさて……とりわけお寿司も気になるな、もう我慢できないわ!!
私は袋のスキマからチラッと見つめると……。
ん? 大トロが入ってない……。
私の大好きな大トロが入ってないやん。
まあ買ってもらったものだから文句は言えないんだけどさ。
さて、ここからしばらくは車で移動……お寿司は崩れないように荷台に保管しておく。
クーラーボックスも完備してあるからそこに入れさせてもらうとしても、相変わらずいろいろ積んであるもんだなぁ。
つくづくどこに行っても必要なものは何でも揃ってる……ある意味行動を先読みされてそうで、玄弥の赤い瞳にブルッと来る私であった。
聖奈の電気は味方まで巻き込むフレンドリーファイア方式です




