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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Extra03 修学旅行

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シメー島で買いたい物

「こーちょー先生、しっかりしてくれよ……」


 マルジュが俺の体を揺する。


「頼む、俺を殺してくれ。それができないなら動かさないでくれ」

「本当にだらしないな」


 くそっ、なんでよりにもよって、俺たちが乗っていた地竜ランドドラゴンが産気づくんだよ。

 代わりに、走竜ステップドラゴンと言う、地上を高速で走る竜が引く馬車を手配してもらったんだが、これの乗り心地が死ぬほど悪かった。

 いや、俺は実際に死んでいるんだから、死ぬほどという表現はおかしいな。

 だから、こう表現しよう。


 殺人竜車だった。


「先生大丈夫なのかよ。ここ、美食の町なんだろ」

「あぁ、そうだ。安心しろ、空飛ぶ蜘蛛とか、人を襲うケーキとかはそんざいしないから適当に遊んでこい。集合時間には遅れるなよ。コメットちゃんも一緒に――」

「コーマ様の傍にいます」

「……うん、だよね……ごめん、アイテムバッグから冷たいタオル用意して――」

「はい」


 コメットちゃんは俺のアイテムバッグから冷たいタオル(竜車に乗る前に用意しておいた)を取り出し、俺のおでこにあててくれる。

 少し気持ちが落ち着く。


 身体を起こし、俺は水面を見た。


 シメー湖に浮かぶ島、シメー島。

 様々な交易路の中継地点であり、様々な食材や料理が集まる。

 ここが美食の町と呼ばれるのもそのためで、毎日のように様々な料理大会が行われている。


 流石に、殺人料理コンテストは開催されていないようだ。


 でも、今の俺の目に映るのは、とても綺麗な湖だった。


「全ての料理の元は水である。だから、この町の人は常に湖をきれいにする方法を模索し、湖を汚す行為はもっとも重い罪であるとさえ言われる(あくまで都市伝説だけど)。人間って凄いよな。多くの人が住んでいるのに、努力と思いだけで湖をこんなに綺麗に保てるなんて」

「そうですね。とても綺麗です……それに、綺麗なのにこの湖は多種多様の魚がいるそうですよ。ただし、許可を得ている人以外は釣りは禁止されていますけど」

「あと、魚の放流も禁止されているそうだ。ただ、ブラックバスはこの近くの川にまで侵食してきているそうなので、かなり危ないかもしれないけれど」

「ブラックバスって、コーマ様の世界の魚でしたっけ?」

「うん、俺と一緒に召喚されたんだけど、いつの間にか脱走していてね」

「あ、そういえば、私――グーがコーマ様と出会って直ぐ、水汲み場の中にいるピエールクラブを拾っている時に見た気がします。小さな魚がいっぱい泳いでいましたよ」

「あぁ、あの中ですでに繁殖していたのか」


 あの水汲み場の中も調査しないといけないな。

 あそこがラビスシティーの湖に通じているのは確かなんだろうけど。


「さてと、そろそろ行こうか」

「もう大丈夫なのですか?」

「うん、だいぶよくなったよ」


 俺は立ち上がり、コメットちゃんと一緒に散策することにした。

 さすがに食べ物は買う気にはならないので、コメットちゃんと一緒に喫茶店に入って、俺はハッカ茶を、コメットちゃんはカフェラテを飲むことにした。

 ふぅ、やっぱり車酔いにはハッカ茶だな。さっぱりする。


 そして、窓の外を見ると、大食いコンテストの看板があった。


「大食いコンテストか……そういえば、知り合いに大食いキャラっていないな」

「カリーヌちゃんはどれだけでも食べられますよ?」

「カリーヌってそんなに大食いだっけ?」

「えっと、自分に必要な分だけは消化して、残りは仲間にあげたりするそうです」

「……うん、親鳥が子供に餌を与えるみたいな想像にしておこう」


 可愛いカリーヌのイメージを崩したくない。

 

「コーマ様のアイテムで大食いになれる道具はないんですか?」

「強力な消化剤はあるんだけどな、食べた物の栄養が即座に効率よく吸収されるから、食べれば食べる分だけ太るぞ」

「……えっと、胸の部分にだけ栄養が行く消化剤ってないですか?」

「あったら、とっくにメイベルにプレゼントしてるさ。あいつも気にしてるからな、胸の大きさは。女の子の魅力は胸の大きさだけじゃないと思うんだけどな。これから成長もするだろうし」


 コメットちゃんも一年間で成長しているし。メイベルだって……成長してい……るのかな。

 んー、考えないでおこう。


 そう思っていたら、


「こーちょー先生! 見つけた!」

「おぉ、よくここがわかったな、マルジュ。どうした?」

「お願い、お金貸して!」

「どっかのバカ勇者じゃないんだから、子供の内から借金なんてするもんじゃないよ。無駄遣いのし過ぎだ。コメットちゃんも貸すんじゃないし、マルジュ、友達にも借りるなよ。うちの学校は生徒間の金の貸し借りは禁止しているんだからな」

「全員で金を出しても足りないから頼んでるんだよ」

「……一体、何を買おうって言うんだ?」

「お店を買いたいの」


 ……店を買いたいだと?

 子供たちがこの町で店を買う?


「面白そうだな、詳しく聞かせろ」


 俺がそう言うと、コメットちゃんが横で苦笑した。 

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