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罠の効果的な使い方  作者: はとぽっぽ


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2/2

決意

一ヶ月で攻略すると意気込んだのはいいが、ジョブやらスキルやら、よく分からないことだらけだ。

そう思っていると本棚の方からゴトッと乾いた音が響いた。


「ん?」


見ると、一冊きりだった本棚に、新たに二冊の本が増えている。


…なぜだ?


もしかしてゲームのように、新しい物事に触れるたびに関連情報がアンロックされる仕組みなのだろうか。


現れた本のタイトルは、それぞれ『ジョブ』と『スキル』だった。

まずは『ジョブ』の方からページをめくる。


―――――――――――――――――――――――――――


1.罠師


罠の扱いに長けているジョブ。


初期スキル : 罠作成、罠鑑定

装備可能武器: ナイフ、弓

装備可能防具: 布、革


―――――――――――――――――――――――――――


「……説明、これだけ?」


予想通りというか、ひねりがないというか。

気になるのは装備制限だ。これ以外の武器や防具は、装備しても効果がないのか、それとも触れることすらできないのか。


「まあ、今は試しようがない。後回しだな」


『チュートリアル』と同じ様に、他は全て白紙だった。

俺はすぐに二冊目、『スキル』の本を手に取った。


―――――――――――――――――――――――――――


1.罠作成

仕組みを理解している罠を作成できる。


2.罠鑑定

視認した罠の構造を瞬時に理解できる。


―――――――――――――――――――――――――――


これも名前通りの効果だ。

ただ、罠作成の材料はどうするつもりだろう。ダンジョンで拾うのか?

本格的な罠ならワイヤーやバネが必要になるはずだが、現地調達できるものなのか…。


「うーん、これも要検証か」


…というか、そもそもどうやってダンジョンに入るんだ?


俺はまだ、この密室から一歩も外に出ていない。


…もしかしたら『チュートリアル』に新しく何か書き加えられていないか?


俺は先ほどの二冊を戻し、再び最初の本を手に取った。


―――――――――――――――――――――――――――


2.ダンジョンへダイブ!


ジョブとスキルは確認してもらえたかな?

それじゃあ、次のステップに進もう。

部屋にある大きな箱の中に、ジョブに合わせた武器が入っているよ。

それを装備したら、目覚めた石のベッドに寝転んで、そっと目を閉じてみてね。


―――――――――――――――――――――――――――


案の定、記述が増えていた。

どうやら俺の行動を逐一監視しているらしい。気持ち悪いが、この本の指示に従うのが最短ルートなのは間違いなさそうだ。

俺は指示通り、箱の中からサバイバルナイフを取り出した。


冷たい金属の感触に、ふと指先が震える。

武器を持たされるということは、当然「戦闘」があるということだ。


「……俺に、戦いなんてできるのか?」


喧嘩すらほとんどしたことがない、ただのしがない会社員だ。


急激に怖気が走る。

だが――ここで逃げたら、あのホワイト企業への切符はゴミクズになる。

これまでの地獄のような三年間が、すべて無駄になる。それだけは、死んでも御免だ。


「やってやる……やってやるぞ!」


俺は恐怖を振り払うように叫び、ベッドへ横たわって目を閉じた。


……。


…………。


「……ん?」


数分待っても、何も起きない。

目を開けても、そこには相変わらず殺風景な天井があるだけだ。


「また何も起こらないパターンかよ」


苛立ちまぎれに『チュートリアル』をひったくる。


―――――――――――――――――――――――――――


ごめんごめん!

大切なものを渡し忘れていたよ。今、箱の中に転送したから、それを持って潜ってね!


―――――――――――――――――――――――――――


コツン、と箱の中から音がした。

覗き込むと、そこには一本の「白いチョーク」が転がっていた。


「……チョーク? 何に使うんだよこれ」


愚痴をこぼした瞬間、またしても本棚に新しい本が現れた。タイトルは『アイテム』。


―――――――――――――――――――――――――――


1.転移チョーク


床に円と行きたい階層を書くことで、瞬時に転移できる。

※未到達の階層へは行けない。

※拠点に戻る場合は「拠点」と記述すること。

※このチョークは摩耗せず紛失しても自動的に手元に戻る。


―――――――――――――――――――――――――――


「めちゃくちゃ重要アイテムじゃないか!」


これを忘れるなんて、どうなっているんだ。


…というかさっきから思っていたけど、この『チュートリアル』からは意思を感じるな。俺をここに連れてきたやつが書いているんだろうか?


……まあ、考えても答えは出ない。

今はただ、進むだけだ。


俺はナイフとチョークを握りしめ、三度ベッドに横たわった。


深く、深く瞼を閉じる。

すると今度は、抗いようのない強烈な睡魔が襲ってきた。


俺の意識は、あっという間に深い闇へと沈んでいった。

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