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65話 終わり

「……ス……、リス……ア……ス……起きて、アリス……」


 ジョーカーお兄様の優しい声で目が覚める。どうやら、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。


「ん……」


 私の名前はアリス。八歳の誕生日を迎えてから、今月で半年が経つ。

 でも……何だかおかしいの。漠然とした違和感が、影のようにつきまとう。


(なんだっけ……?)


 八歳、ジョーカーお兄様、アリス。


「おはよう、アリス。楽しい夢は見られたかな?」

「……お兄さま……本物のジョーカー、は……?」


 まだ少し重たい瞼を擦りながらそう問えば、お兄様はからからと笑いながら私の頭を優しく撫でた。

 ああ、わかったわ。


「……これは、夢なのよ」


 私の呟きを聞いて、目の前にいる“彼”は口元に弧を描く。


「いいや、これは『現実』だ」


 言うと同時に、彼はふわりと宙に浮き私を見下ろした。


「アリス、アリス……ゲームはお好きかな?」

「……ええ、好きよ。とってもね」

「それじゃあアリス、私たちとゲームをしようか」

「いいわよ、でも……」


 その緑の瞳をまっすぐ捕らえて、笑みを向けながらこう告げる。


「ジョーカー探しは終わり。私はもう、死にたいなんて思わない。だから今度は、みんなが笑っていられる楽しいゲームをしましょう」

「……ああ、喜んで」

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