↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本格!!豆腐縛り転生〜そして男は豆腐になった〜  作者: 弌黑流人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/36

1. そして男は豆腐になった

男は、ごく平凡なサラリーマンだった。今日も一日、満員電車に揺られ、上司の小言に耐え、今日中には終わりそうもないデスクワークと格闘した。


「残りは明日に回すとして、そろそろ退勤しなきゃな」


疲労困憊で、ようやく会社の最寄り駅に着いたときには、空はすでに深い藍色に染まっていた。


「ああ、疲れた。今日はもう、何も考えずに冷奴でも食べて寝よう」


男は、スーパーで買ったばかりの絹ごし豆腐のパックを片手に、ぼんやりとそんなことを考えていた。


冷奴。醤油と生姜、ネギをたっぷり乗せて、つるりと喉を通す。それだけで、今日の疲れがすべて吹き飛ぶような気がした。


信号が青に変わり、男は横断歩道を渡り始めた。その瞬間、耳をつんざくけたたましいブレーキ音と、タイヤがアスファルトを擦る甲高い音が響いた。視界の端で、まぶしく照らすヘッドライトが見えたかと思うと、次の瞬間、猛烈な勢いで迫ってくる乗用車が見えた。


「――っ!」


男の意識は、そこで途絶えた。


次に目が覚めたとき、男は、自分がスーパーの棚に並べられたパック詰めの絹ごし豆腐になっていることに気づいた。


「え……? 俺、車に轢かれたはずじゃ……」


混乱する男の頭に、どこからともなく無機質な声が響いた。


『転生先は豆腐。種族スキルとして凝固を獲得しました』


男は、その声に戸惑いながらも、自分が豆腐として、ただ消費される日を待つという絶望的な第二の人生が始まったことを知る。


それから、男は何度も転生を繰り返した。そのたびに、彼は豆腐になった。スーパーの棚で、冷蔵庫の中で、食卓の上で。時には食べ残され、時には賞味期限切れで捨てられた。何度死んでも、次に目が覚めれば、また同じ世界のどこかで豆腐になっていた。


「もう嫌だ! なんで俺は、いつも豆腐なんだ! しかも、この世界でばかり!」


男は、豆腐の中で叫んだ。


「頼むから、次は異世界にしてくれ! 剣と魔法の世界でも、魔物が跋扈(ばっこ)する世界でもいい! とにかく豆腐以外に転生させてくれ!」


彼の絶叫が、宇宙のどこかに届いたのか。その瞬間、彼の頭に、これまでとは違う、どこか楽しげな、しかし確かな意思を持った声が響いた。


『ご要望、承りました。転生先は異世界。種族スキルである凝固に加え、特性として魔力凝縮を獲得しました』


その声は、まるで彼の苦境を心底楽しんでいるかのように、弾むようだった。


「え……?」


男が呆然とする間もなく、彼の意識は、なかば強引に新たな世界へと引きずり込まれていった。


こうして、男の本格的な豆腐縛り転生の幕は開けたのだった。


ご拝読ありがとうございます。


この作品は私の初めての作品を再修正したものとなります。


まだ見ぬ豆腐の可能性を、私の想像力で広げていけるよう頑張りたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。