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永劫なる復讐の旅路に呪言(ことほぎ)を  作者: ヌ名人
道は踏み外させれる
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12/15

「復讐:前座」①

《王都の貴族》


──卿よ、聞きましたかな?


──ええ、今や知らぬものはいないでしょう


──あの辺境伯に認められたパング伯爵の兵が全滅したのでしょう?


──それも平民一匹に、でしたかな?


──それほどまでに弱かったとは、辺境伯のみる目は大変ご立派だったようですなぁ!


──このような醜聞、陛下もあの話をご再考なさるのでは?


──それが、強行するらしい


──なぜ?評判では第一王女よりも優秀で人格面も問題なしなのでは...


──実際の第一王女と第二王女は評判とは真逆らしい


──なるほど、陛下は醜聞のあったパング伯爵領へ王女を送り込み、勢いを削ぐ気なのか


──なのだとしたらパング伯爵邸を襲った平民というのは平民に見せかけた...


──それ以上を言うのはやめておいたほうがいい、不敬罪で首を飛ばされたくなかったらな


──これはこれは御忠告痛み入ります、辺境伯閣下?


〈〜〜〜〉

《ロイフ視点》


「クソッ!」


なぜだ!なぜ、こうも犯人の情報が出てこない!


王都の夜会へ行けばどこから漏れたのか、あの話をネタに嘲笑われる!


本当にあの襲撃者は陛下から送り込まれたのか...?


だとしても、少し勢いがある程度の家を潰すためにここまでするか?


「兎にも角にも、まずは兵士を補充せねばな」


すぐに数十人もの兵士を雇うともなれば、癪ではあるが傭兵を雇うしかあるまい...


「今に見ておれよ陛下、高位貴族の老害ども...!」


政治を牛耳り、古くから蔓延る老害を打ち倒して次の大物になるのは


「この私だ!」


〈〜〜〜〉

《主人公視点》


「おおエレス君!この前はありがとうな!これ、おまけしておくよ」


「ありがとうおじさん!もらっておくよ」


王都に着いて一ヶ月、普通に王都生活を満喫中


...と言うわけでもなく、あの馬車での運賃で貯金が尽きたから日銭を稼ぐために何でも屋のようなことをしている


最初の頃は


『胡散臭い』


『前払いなんて金だけ奪ってとんずらする気だろう!さっさと失せな!』


『本当に仕事できるんだろうね?こんな子供が!』


と、まぁ散々だったけど


情報収集して困ってる人の問題を何件か解決して見せたら、仕事がいくらか入るようになったしなんか食べ物をおまけしてもらえるようになった


あと面白そうなこともあったし、ね?


「な、なぁ」


「ん?どうしたのエイド(・・・)?」


「ひっ、ひぃ!?」


まさかのエイドが店をやってて名前を呼びながら笑いかけるだけでものすごく怯えるようになったんだよね!


あー、おもしろ!


「なぁエイドさんや?なんでそんなに怯えるんだい?」


あ、近所のおばちゃんが地雷踏みに行った


「そ、それは...あ、あぁぁ!」


「どうしたんだい!?」


「すまないエレス!あんなクソ野郎にあっさり騙されて...ごめんごめんごめん・・・」


あーあ、ごめんっていうだけの人になっちゃった


...でもさ?


謝るだけなら誰にでもできるよね?


だって、ロイフに援助して貰ってるんでしょ?


僕のことを黙っておく代わりに


ねえ、やっぱり許せないよ


元々復讐はロイフだけにするつもりだったんだけど


アリスもエイドも、僕を犠牲に自分だけいい思いをしてる


確かにね?僕もその立場だったら同じことをするかもしれない


でも感情と考えは違うんだよ


やっぱり罪は...


「償わないと」


さーて、どう料理しようかな?


〈〜〜〜〉

《エイド視点》


「ごめん、ごめんなぁエレス...!」


店の裏口から住居になっている建物に入ると、毛布に包まりながら謝罪の言葉を述べる


...わかってる


謝るだけなら誰にでもできる


最近来たエレスはあの時のあの姿のまま


本人な訳でもない


最近になってようやくあのことを思い出した俺にこんなことを言う資格もない


でもあの子に昔の俺の過ちをこぼした時、あの子は言った


『間違ったのなら、償うべきじゃない?』


でも、でも!今更どんな償いができるんだ


店も持ったしもうここに生活基盤を築いた!


それを捨てろっていうのか!?


昔なら何かできたのか?


確かに昔なら生活基盤もないただの子供だった!


でもエレスが何もしてなかったのを知ったのは3年前だ!


何も知らなくて、父さんを殺したと思ってる状態で償いなんて、できるはずなかった


...いや、こんなのは言い訳だな


何もやってないってのは知ってたはずだ


アリスとカイラ、幼馴染だった二人と三人でエレスの悩み相談に乗っていたし


そこでエレスに『悪魔』ってあだ名が付いていたのも知っていた


あの時は父さんをあんな無惨な姿で殺された恨みの矛先を向けるのに丁度いい相手としてエレスが用意されたから、皆こぞって怒りを向けた


俺もそれに流されただけだ...


「なあ、エレス俺は、どうすればいい...?」


そう呟くと


「なら、今からすることを叫ばず動かず受け入れてよ」


するはずのない声が聞こえた


「エ、エレス...?」


「そうだよ?もっと言えば...」


ニタァと子供らしくない笑みを見せた子が言葉を放つ


「エイド、君と幼馴染だった(・・・・・・)エレス、だよ?」


「なっ!?」


──ありえない


その言葉を聞いて最初に思い浮かんだのはこれだった


「エレスは、昔馬に踏み潰されて山に捨てられて狼に喰われたって...しかも姿が昔のままだ!」


考えることもできず浮かんだ否定の根拠をそのままぶちまける


「うんそうだね?ああ、あと舌を抜かれて四肢を折られて熱々の巨石を背中に乗せられて大火傷を負ったも追加しないとね」


そ、そこまで酷いものだったのか


「さて、改めて久しぶりエイド!元気してた?」


昔のように屈託のない笑顔で語りかけるエイドに


「あ、ああ。情けないけどロイフに資金援助してもらってなんとかやりくりしてるよ...」


と近況報告を普通にしてしまった


「ふーん、そっかそっか!良かった元気で。病気とかもない?」


「ああ、そっちはどうだ?...って聞いても難しいか」


「こっちは大丈夫だよ」


これなら怒っていなさそうだし許してもらえるかもしれない


そう甘い考えが過ったところで


「じゃ、始めよっか!」


──ゴトンッ


「...え?」


──ブシャァァ!


「あっ、ギャアアアッ!?」


痛い痛い痛い!!


左腕の二の腕の半ばから斜めに断ち切られている


「もう、叫ばないでって言ったのに」


エレスが口を尖らせながら不機嫌そうにそういうと


──ガシッ


顔を掴まれて上を向かされ、口を限界以上に開かされ、


──ザクッ


「あ、アアアッ!いらいいらいいらいいらいっ!?」


舌を切り落とされた


「どう?今の所進捗は半分くらいなんだけど、耐えれそう?」


ハンブン?


半分!?


これで!?


いっらいなにをしれ(一体何をして)


「分かんない?...しょーがないなー、教えてあげるよ」


「まず左腕欠損」


今の俺だ


「次に右足の欠損」


違う?


「そして次に脇腹を抉られる」


...


「さらに舌の欠損」


なんおはらしをしれ(何の話をして)


「僕が死んだ時、正確に言えば森に捨てられた時の状態の話」


...


もしかして


「償なってくれるんでしょ?」


やめて


「じゃあ」


「や、やめ」


「僕と同じ状態で死んでね♪」


なんで、いつ間違えた?


あの時エレスを信じれば良かったのか?


それで何か変わったのか?


ただ“信じてくれなかった”人たちがいい暮らしを送っている


“自分は苦しんだのに”


そんなの許せない


それだけの理由で行われた理不尽な復讐


その果てまで、幾つもの後悔を抱いては消し、


結局何も償えずに少年は永遠の眠りに入っていく


戻れぬ道を、突き進んでいく


〈〜〜〜〉


燃え盛る炎を背に僕はエイドの店を離れる


「あーあ、体から血を流した状態で生きたまま喰われて死ぬってとこまではやれなかったなぁ」


と反省点を呟きながら歩いていた


そして目的地の前に着くと


「おばさん!火事、火事!」


「なんだいエレス、あんたまで家事をしなさいって言うのかい...?」


「違うよ火事(・・)だって!燃えてる方!」


「...何だって!?場所は!」


「エイドおじさんの店!」


「分かったすぐ行く!あんたは避難してな!」


「分かった!気を付けてね!」


...ふう、これで終わりっと


さて、仕込みは終わった


ロイフが民衆にいい印象を持たせるために始めた、王都で起きた有事の際は私兵を積極的に動員するっていうやつ


それのためにこんなに派手にやったんだ


多分何件かに燃え移るだろうし多くの私兵がくるはず


だって酒場で憲兵のおじさんが


『あーあ、伯爵様の兵のせいで仕事がねえし金もねえ。どうすっかなぁ...』


って呟いてたし街の人も


『憲兵が働いてるところ?...見たことないねぇ』


って言ってたからね


これでロイフの屋敷の警備は薄くなってるでしょ


また前回みたいに兵士全滅させてからやるってのもいいけど、それだと万が一取り逃した時とか時間かかっちゃった時とかに逃げられちゃうかもしれないからなぁ


さぁ、次に行こう

「面白い」「続きを読みたい」と少しでも思っていただけたら、高評価やブックマークをお願いします。

できるだけ高頻度な投稿をしていくのでこれからもお願いします。


さて、何で踏み外さ“せ”られるなんでしょう?

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