プロローグ
【とある国の辺境に存在する奴隷落ちした平民が暮らす町】
【主人公の男はここに暮らすただの住民"だった"】
【普通に暮らし、町の誰かと結婚し、子宝に恵まれ、孫に囲まれて大往生...そんな未来があるはず"だった"】
【しかしそんな未来はとある貴族の嫡男によって泡沫と散る】
【そこから平穏の歯車は狂って行く】
【さあ、彼の旅路を見届けましょう】
〈〜〜〜〉
《主人公視点》
「エレス」
日課の作物収穫と荷車への積み込みを終わらせて家に入ろうとしたら家に戻ったらお母さんの呼び止められた
「どうしたの母さん?」
「そんな泥々の服で家に入ってこないで!ほら、川に行ってきなさい」
「えー、父さんは入ってるじゃん」
「えーじゃないの!それにお父さんは私たちのご飯を獲ってきてくれるんだから大目に見てあげてるのよ」
「僕も野菜採ってる!」
「じゃあご飯は野菜だけでいいわね?」
お母さんの眉上がピクピクしてる...やばい
「雷が落ちる前に逃げるぞぉ!」
全速力で家を飛び出し川へ駆け込む
「ああもう全くあの子は...」
〜〜〜〜〜
「あれ、エイドとアリス?」
「あ、エレスじゃないの!あんたも洗濯?」
こっちに背を向けながらアリスが喋る
「うんそうだけど」
「なあエレス。カイラを見なかったか?」
エイドが洗濯しながら聞いてきた
「見てないよ?そっちも知らないんだ?」
「そうか、ならまだ家にいるだろうし早く家に帰ろう。じゃないと父さんに叱られる」
「私はまだいるわ」
やっぱりアリスは綺麗好きだなぁ
「あっ、そろそろ戻らないと!」
もう夕暮れ時というより夜だ
もうすぐご飯の時間になるのに戻らないと量が少なくなっちゃう!
〈〜〜〜〉
《貴族の嫡男視点》
「ロイフ」
日課の報告も終わったので自室に戻ろうとしたら父上に呼び止められた
「何でしょう」
「明日から視察だ。おそらく馬車でも片道3日はかかるだろう」
「ええ、理解しております」
なぜ今更分かりきったことを?
「お前ももうすぐデビュタントだろう?視察先で人の使い方を学んでおけ」
移動時間で何をするか考えておけということか...
「ええ、言われずともそうするつもりです」
「ならばいい」
厳格な父上の元にいると辛気臭くなって敵わないな
「では要件も終わりましたので失礼させていただきます」
そうして書斎を出る
「ロイフ様、お早めに湯浴みなどいかがでしょう?」
「ああ、頼んだ」
〜〜〜〜〜
「ふう」
湯に浸かると頭が冴える
「視察先で人の使い方を学べ、か」
つまりは"そういう"ことだろう
「父上も酷なことを考える...」
そう言った彼だが、その口元は綺麗な弧を描いていた
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