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逃げ

5.逃げ


 ダメモトで直談判までやってみて、願いがついに実現出来ないと確認してから、「それから会社を辞めても」遅くはなかった。辞めるのは当時大きな決断の筈だった。それに「相応しいステップ」を踏まなかったから、浅はかさだったと思う。


 もし、そんなステップを踏むだけの「勇気」が無かったのだとしたら、それは大いに「有り得た」と今でも思うが、その時は未だ辞めるべき時節到来ではなかった、と反省している。結局、辞めたのは止むに止まれぬ現状の「打破や・ステップアップ」ではなく、現実からの「逃避」に過ぎなかったのだ。それを思うと今でも少々情けなく恥ずかしいから、この部分は読まなかった事にしておいて欲しい。


 一般に自らの意志で辞める(ように見える)人の多くが、認めたくないだろうが、実の処は現実逃避の「逃げ」で、弱虫。ウチの中途採用への応募書類を眺めたり、実際に応募者へ面接をしていてそれが分かる。


 併せて(悪事を犯した人は別にして)ウチを辞めた人の殆どもそのようだ。上役や会社のせいではなく大概本人に問題があるが、これを自覚している人は少ない。証拠に、辞めた中で複数人以上の人が「戻りたいーーー」と後になって訴えて来た。無論お断りした。人生でチャンスは大概一度しか与えられないもので、世の中は甘くはない。


 ついでながら:

 昨今は一流企業に就職しても、数ヶ月で辞めてしまう人が多いと聞く。そこに自分のやりたい仕事がないからーーーなんて格好のよい積もりで言うが、先と同じく「逃亡者」である。これに加えて、やりたい仕事と自分の能力は別物なのに、本人が判っていない。例えば、口一つで気楽そうに見えるセールスマンの仕事一つでさえ、成功するのは100人に一人に満たない、という現実がある。


 いや成功せずとも平均的でよいから自分に合った好きな仕事をーーー、という中途半端な思考なら、これはもっといけない。自分の機嫌をちやほや取ってくれるような好きな仕事なんて、初めからは無いものだ。そんな中途半端なら何をやっても変わり映えしないから、何処へ行っても結果は同じで、結局辞めなくて良かったとなってしまう。世の中とはそんなもの。


 「逃げ」という意味で、一旦辞めた彼らが他で成功する可能性は極めて低い。成功率がゼロとまで言わないが、「実に多くの人」がその後の人生を失敗している。逃げていて成功は出来ないのに、それ以上に、「逃げグセ」がつくからだ。人事採用で応募者に面接したり、また70年近く生きて来た物差しで眺めて、これが実感として判る。


 そんな馬鹿は世の中に一握りの数だろうーー、なんて軽く思わないで貰いたい。(国公立の有名大卒も含めて)「実に多くの(賢い筈の)人」がーー-そんな目に遭っている、正しく言うなら、そんな道を「(気づかずに)自ら選択」している。





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