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魔法がある異世界を魔力無しで生きるには  作者: リケル
第二章 勇者と金属と大地と
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七十九話:土人形の導きその2

 


「ただいま戻りました~…」



 屋敷に入るや否や、エントランスにあるソファの上に崩れ落ちるように座り込む。

 単純に、ものすごく疲れたからだ。

 腹は減っているが、このまま寝ても良いんじゃないか?なんて思い始めているくらいには疲れている。

 ほぼ日没近くまで土人形に案内されて仲間の土人形に霊力鑑定、そして送られてくる謎の感情の群れ。

 それから帰ろうとして…村に入る前に夜になってしまい、月明かりだけを頼りに歩いて戻ってきた。


 夕暮れになったくらいから村を目指していたんだが…どうにも間に合わなかった。

 一応帰り道は把握してあったけどな。

 というのも地図に書いてあったのだが…山の麓にある採掘場へ行く石造りの道がある。

 しかもだいぶボロボロだが、埋もれておらず辿る事はできそうだったのだ。

 なので、困ったら山の麓に行けば帰還出来るって作戦だった。


 …だったのだが、誤算だったのは日没までに間に合わなかった事だ。

 最終的に土人形が指を差していたのでその方向に進んでいったら、村まで戻れたって訳。

 どうして土人形がここを指差していたのかは分からないが、とにかく助かった。


 それで現在、総勢17体の土人形は俺の肩や頭の上に鎮座したり、フードやリュックの中に潜り込んでいる。

 いや…いた、だな。

 座った時に近くにリュックを下ろしたが、こぞって全員俺に集まってきた。

 まわりから見れば、土人形に群がられている光景だろうな。

 まぁ…じゃれているだけなんだが。


 そうそう、こいつらが十を超えた辺りから休憩中には今みたいに遊ぶようになり始めた。

 目の前でじゃれるように遊び始めたり、こうして今みたいに体をよじ登っては降りてを繰り返したり…

 流石に断るが…一緒に遊べとアピールする奴もいるな。

 そんなこんなをこうして見ている分には何処か癒されるものがある。



「おいおい…」


「えっと…これは…?」



 こんな風に帰ってきて暫らくソファで寛いていると、ダダンさんとジーニャさんがエントランスまで出てきた。

 そして俺の様子を見て…反応に困るって反応をしている。

 というか実際に困ってる…?



「今日案内された所から全員連れてきたんだけど」



 そう答えると、今日出会った十六体の土人形はダダンさんとジーニャさんの方を向く。

 こうして一斉に人形が振り向く光景は何処か恐怖感があるな。

 実際に視線が送られているジーニャさんやダダンさんもそう感じているんだろうか?

 で…人形はどうするんだろうな?


 と思ったらひょっこり、彼らの後方から走ってくる小さい影…

 分かっていると思うが、土人形だ。

 というかここにもいたのか?

 いや…ここに来たと考えるのが妥当だな。

 となると夕暮れに土人形が村の方向を指差し、案内していた理由も説明がいく。

 それで、近づいてきた一体は俺の近くに立って腕を突き出してくる。



「はいはい、分かってるよ」



 もう何度もやっているから言いたいことも分かる。

 突き出した腕の先に俺の指をくっつけて、霊力鑑定だ。

 ややSPは減るが、今の所7割くらいには回復している。

 少し減らしても問題はないはずだ。





[分体の土人形]

 土と水とを混ぜて形作った人形。

 相当精密に作り性能・デザイン共に十分な出来になっている。

 半ば慣習的に霊力を分けてもらおうとしている。

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 よし、鑑定が終わった。

 細かい事だと思うが、毎回霊力鑑定の結果が違うんだよな。

 人形自身の評価とか、今の目的とか…鑑定の結果が一字一句同じ物は今の所一体もいない。

 というかもう慣習化してるのか、これ…

 なんて思っていると、また例の薄い感情の群れが送り込まれてくる。

 これも、心なしか少しずつ感情の強さがまして来ているような気がしないでもない。

 本当にコップ一杯分の水に塩を一粒入れるか二粒入れるかくらいの誤差…恐らく気のせいだろう!

 どちらもただの水に間違いない。


 それで…もはや一連の作業と化してるらしいこれが終わると、再び人形達は自分の周りで遊び始める。

 結局ジーニャさん達は一瞥したってだけで、特に何もないようだ。

 嫌がってるって様子はなく、単純に興味が無いって感じだな。

 何かあっても良い様な気がするんだが…まぁそこら辺はいいか。



「テッシン大丈夫?」



 ジーニャさんが心配してくれるが、どういう意味でだろうか?

 この大量の土人形に囲まれている状況か、それとも探索で疲れてる様子からか…



「随分と消耗している様に見えるが…」


「あぁ、疲れてるだけだから大丈夫」



 主に心の疲労だけどね。

 単純に一日歩くだけだと、こうはならないだろう。

 いや…普通の人だと既に歩いてるのが辛い程度ではあると思うけどさ。


 ここ(メタリオル)に来てから基本一日中動き回って過ごしてるせいか、どうにも歩き方というか…こんな過ごし方には慣れてきている。

 休息の取り方も慣れてきたし、何よりVITが上がってる効果が大きいんだろう。

 ただ、十六回もの数の霊力鑑定をするって言う事が辛かっただけだ。

 いや…さっきのも含めて十七回か。



「とりあえず、明日も探索するよ」



 これに関しては、恐らく強制的になるだろうな。

 少なくとも休みにはならないだろうし。

 朝起きは恐らく土人形に頬を叩かれてその後は探索…か?

 というかこれだけ土人形を集めて、一体どうしようっていうんだ?

 霊力が欲しいのはなんとなく分かるが、それなら一体だけで済むだろうし…



「分かった。だが明日は一緒に行くべきだろう?」


「そうそう!見るからに辛そうだし…

 私達も一緒にやるべき事でもある訳だからさ…」



 俺、そんなに疲れて見えるのかな?

 何故だか…二人が一緒に探索に行きたがり始めた。

 確かに一緒に来てくれるのは有り難いとは思うけど…体力的に厳しいと思う。

 それに…だ。



「二人共一緒に来ちゃったら後から来るって人はどうするのさ?」



 そういえばまだ準備だっていうのに来た、例の後続の連中はどうなったんだ?

 俺の投げかけた疑問に、二人はサッと視線を逸らす。



「えっと、だな…」


「それは…はい…」



 どうにも曖昧というか、歯切れが悪いな。

 何か不都合があるんだろうか?

 まぁこっちの話も聞かないで来た奴だからな。

 とんでもない奴だっていう可能性の方が高い。

 とか考えていたら、ダダンさんとジーニャさんの後方から誰か走ってくる。

 これは…噂をすればなんとやら、だな。






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