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魔法がある異世界を魔力無しで生きるには  作者: リケル
第二章 勇者と金属と大地と
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六十六話:信じる事と燃え盛る気持ち

 

「えっと…それってつまり…?」



 呪いの中を突っ込めって事か?

 いくらなんでもそれは冗談じゃないんだけど…


「いや、呪われに行けって事じゃねぇ。

 ただお前さんの魔力を感知できるって能力を当てにしてぇんだ」


「あぁ、そういう事ですか…」



 それを聞いて思わず胸を撫で下ろす。

 良かった、特攻じゃなくて。

 まあそれなら断ってるんだけどさ…



「つまりまずは呪いの検証から始めてみるって事ですね?」


「あぁ、そういう事になる」


「で、次にその得体の知れない何かの調査をすると」


「察しが良くて助かる」



 端的に言うと、ここで言っている呪いは魔法の一種だ。

 魔力やら他に何らかの物を使って範囲内に効果が発生するようにした、な。

 それで俺の高性能状態の感知でなら魔力の流れ、魔法が使われてるかが感じ取れる。

 だから俺がその一帯を調査をして、安全である事を確認してから周辺の探索をするって訳だ。

 当然、色々と問題がある訳だけど…



「だけど、それでいいんですか?」


「何がだ?」


「そこまで自分を信用していいかって事ですよ」



 当然だが俺が感知でその呪いを発見出来ない場合があるって事だ。

 今のところ感知を使っている時は魔法を捉える事が出来た。

 しかしそれには『こっちに向かってくる』という共通の条件があった。

 だから『地域に発生している』呪いに対抗出来るかと聞かれても分からないとしか言えない。

 更に色々な条件下で呪いが発生するものだとしたら場合によっては無力だ。

 常時魔力を感知するレベルで霊力を巡らせ続けるには集中力も霊力自体も足りてない。


 更に言うなら俺が嘘を付くかもしれないっていうのに…

 まだ会って数日の仲だぞ。

 それにその仕事は俺一人しか出来ないんじゃないか?

 だっていうのによく任せたいなんて言えるんだ?

 なんて思っていたら思わず口からそんな疑問が口から出ていた。


 言ったそばからどうしようか?なんて思ってけど、それに対する親方の回答は意外なものだった。



「今のお前さんに嘘を付いて騙す気があるのか?」


「と言うと?」


「こんな辺鄙な町に来て突拍子も無い依頼を出す。

 そのために信用されるなんて酷く手間の掛かる手段を取る。

 更に信用される為に自分の出自や使える手段を晒してまで人助けをする。

 ついでに一般世間から疎まれる髪色だし、止めにこんな確認まで取るんだ。

 お前さんは信用されたい人間だ」


「信用されたい人間?」



 なんだか面白い言葉が出てきた。

 信用されたい人間…か。



「あぁ、そうだよ。

 心から信頼を向けられたいのか、言葉だけ信用していると言われればいいのか、はたまた騙すまで信用されたいってだけかは知らないけどな」


「ふむふむ…」



 確かにこんな質問をしてる意図として、『信用している』くらいは言われたいんだろ?って思われてもしょうがないけど、そういう考えもあるのか…



「まぁ仮に調査依頼を受けて呪いが無さそうなら、暫くは現地で共に行動して貰う。

 呪いを受ける時は一緒に受けようや!」


「あ、あはは…」



 成る程、既に対策は考えてあったって訳ね。

 安全であるなら逃がさない、と。

 なんとも抜け目無い事で…



「そもそも弱者が寄せ集まって出来た国の、更にそっから弱者がより分けられた町や村しかない一地方なんだ。

 生きるも死ぬも同じ、運命共同体よ!」


「運命共同体ですか…?」


「どのみちこれが俺たちの驚異となるなら戦わなきゃならねぇ。

 元々逃げられる場所なんて無いからな。

 戦って生きるか死ぬか、呪いで生きるか死ぬかなんて対して変わらねぇよ。」


「そういうものですか?」


「おう!そういうもんよ!

 それに…お前さんに協力して貰えるなら俺の復讐が果たせるってもんだ。」


「復讐…?」


「あぁ、復讐だ…」



 その言葉を放った途端、背中に悪寒を感じた。

 さっきまでの真剣だった雰囲気が暖かく感じるほどに…

 それほどまで空気が冷え込んだ。

 これが殺気って奴だろうか?

 自分に向けられてるモノじゃないって分かってるけど…今にも親方が襲いかかって来るんじゃないかと錯覚を起こしそうだ。



「恐らく、いや確実にこの調査は『小人の土人形』ってのが関わって来るだろう」

 その調査の間で再び村に現れた二人組の旅人が出てくる可能性がある」


「その時に、リベンジすると?」


「あぁそうだ!この落とし前はきっちりつけなきゃならねぇ!」



 より一層親方の目が鋭くなり、その場を冷たい空気が包む。

 なんだか当てられすぎて膝が震えてきた…



「分かるかテッシン?

 ダダンやエドは怪我をしたし、俺ぁ殺されかけてるんだ!

 只の勘違いってだけでな!

 それに、あいつらの目が!気に入らねぇ!

 自分たちは特権階級って(ツラ)してやがる!

 俺の中にある全てが!あいつらだけは許しちゃおけねぇんだ!」



 親方は行き場のない怒りに拳を堅く握り、ギリリとキツく歯を噛み締める。

 それを見て、俺は何も言う事が出来ずにいた。

 何か言いたかったが、言えなかった。


 俺は死にかけて生き残った事はあっても殺されかけて生き残った事はない。

 親方の怪我の状態は途中からだが見ていたので殺されかけていると言うのも分かる。

 実際、相当ギリギリだったんじゃないか?

 で、そんな状態に追い込まれて実は意味のないものだって分かって…

 自分がそうなったと考えると、俺も怒り狂ってるだろう。

 親方が平時、穏やかそうにしてられるのが不思議なくらいには。


 だから親方の気持ちは察せない訳じゃない。

 だけど…

 周囲に漂う殺気に対して恐怖心が拒絶反応を起こしているのか

 自分の道徳心か理性が復讐は駄目だと食い止めているのか

 はたまた別の何かかは分からないけど何も言葉にならない。



「別にお前さんも凶行に参加しろとは言わねぇさ。

 ただ、この気持ちが俺ん中にあるって事は知っていて貰いたくてよ。」



 そんな様子の自分を親方はじぃっと観察してから軽く息を吐いた後、普段とそう変わらない様子に戻ってそう言った。



「はい…」



 さっきの殺気に当てられた体に依然として寒気を感じながら、辛うじてそれだけは言う事が出来た。















 書いてて思いついたおまけ

(見ても見なくてもいいです、雰囲気ぶち壊し注意!)





親方「自分たちは特権階級って(ヅラ)してやがる!」

テツ「そいつらヅラかよ…」

ジーニャ「別に隠すものでもないと思うんですけどね…」

爺 「また髪の話してる…(´・ω・`)」



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