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魔法がある異世界を魔力無しで生きるには  作者: リケル
第二章 勇者と金属と大地と
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六十二話:親方が復活したので、とりあえず話し合う。

 

 そんな出来事がもうあと二日程続き、親方と約束した三日が経った。

 今日は親方に会いに行く為、朝から狩りには出かけずに色々と準備をして向かっている所だ。

 ちなみに爺さんが言うには、親方の怪我はまだ完治しきってはしてないらしい。

 まだ所々痛むみたいだけど、でも親方自身のはやる気持ちが抑えられないとかなんとか…

 元々そういう約束だったけど、向こうから出向いて来ないうちにこっちから行くことになったというわけだ。

 

 ちなみにあの日以降アブラ鳥やウィルダネスボアなどといった魔物を相手にしたが、特に苦戦することなく狩ることが出来た。

 アブラ鳥は時折逃げようとするのが厄介だったけど、向かってくる奴らは全て返り討ちにした。

 ウィルダネスボア?あれはちっちゃいバイソンみたいな感じだ。

 ぶっちゃけ木剣の刃が通るので、苦戦する要素が無かったな。

 という訳で目下、俺の天敵はトレントだけだ。

 いつかあいつにはリベンジを果たそうと思う。






 さて、そんなこんなで爺さん達とギルドを出て親方の家に向かう所で、横切ろうとした工房から物凄い音が響いていたのに気づき、足を止める。

 人の声やら、カンカンと何かが叩かれる音やら…とにかく工場って感じの騒がしさが詰まってる。

 ってここ工房だもんな、当然ったら当然か?

 というか親方が動けるようになったから再開したのか?

 …早いな。



「やっと再開したんですねぇ…」


「そうじゃな…」



 しかし二人共、その騒がしさを懐かしむように聞き入りながら工房を眺めている。

 精々二週間位じゃないのか?なんて思うけど、これが日常だったんだよな。

 逆に言えば、この光景が二週間ちょっと無くなってた訳なんだし。

 少しばかり時間を取るのもいいかな?

 なんて思いながら暫く皆で立ち止まり、先に爺さんが我に返った。



「すまんの、待たせてしまって。」


「別にいいよ。」


「ここで起こった事を思い出して、ちょっとな。」



 爺さんはそう言って腕を抱き震えて見せる。



「何を想像したんだか…」



 おおかた碌でもないことだろうけど。

 それか自分で引き起こした惨事とか、か?

 まぁ、いいや。

 と、爺さんと話している内にジーニャさんも戻ってきた。



「お待たせしました。」


「よし、じゃあ行こう。」


「「そうじゃな(ですね)。」」



 そしてそのまま工房を横切り、親方の家に向かった。

 親方の家の前には、この前と同じ様にダダンさんが立っておりそのまま親方の所に案内される。

 で、そのまま部屋に通されると、彼以外だとスペースが余りそうな大きな椅子に親方が座っていた。



「親方、連れてきました。」


「おぉ!待ちくたびれたぜ!」


「お久しぶりです。」


「だな!立ち話もあれだからまぁ全員適当に座れよ!」


「では。」



 座るよう促されて真っ先に爺さんが座り、ついで各々適当に座る。

 でも全員テーブルを挟んで親方と向かい合う形だけどな。

 そして全員座った所で、親方が話し出す。



「堅っ苦しい前置きはしねぇで単刀直入に聞く。

 本当に前にした話は本当なんだな?」


「はい。」



 俺自身、あの時話したことに嘘を言ったつもりはない。

 少なくとも思いを伝えたしな。

 真剣な声色で親方へそう返すと、親方の目が真剣なものに変わる。



「で、お前の欲しいものはここで、今、再現が可能か?

 俺はそれが聞きてぇ。」


「・・・」



 そう言われ、返答に困る。

 悪いが今の設備では到底実現可能とは思えない。

 そもそも火すら使ってないっていうのが予想外だ。

 更に魔力を阻害するって話なのに魔力でどうにかしてますなんて…考えられるか?

 少なくとも俺には無理だよ。

 もう少し別の方法があるって思うじゃん!



「やっぱり無理だよな?」


「…はい。」


「…そうか、やっぱりか。」


「「「…え?」」」



 その場にいる爺さん以外、全員が驚きの声を上げる。  

 言いにくそうにしていた俺の返答を聞いて、親方は何故か嬉しそうな顔をするんだ?



「で、どうすりゃいい?

 おめぇさんの故郷ではどうしてたんだ?」


「あ、あの!親方!!一体どういう…」


「あ~、まずはその説明からか…

 面倒だな…エド!説明!」


「…はいですじゃ。」



 ダダンさんが親方にどういう事か聞こうとしてたが、爺さんに丸投げした。

 割と渋々といった感じで爺さんが代わりに答える為に話し始める。



 まず、親方は親方になる前に何度も伝統で続いていたこのやり方に疑問があったそうな。

 幼少の頃から魔力が多い人間が居なければ成り立たない作業に疑問があったとか。

 修行時代は何度も違うやり方を模索し、時には殴り合いの喧嘩をすることもあったとか。

 もっと魔力に頼らない方法があるのではないか?と。

 でもこうして弟子を取るようになってからはそういった事を出来る立場で無い事を実感し、周囲には言わない様にしていた、と。

 長ったらしかったので要約すると、昔から疑問はあったが邪魔されたり余裕が無かったって事だ。




 それで、爺さんの長い話が終わってダダンさんとジーニャさんは驚いた様な意外そうな…そんな表情をしている。

 トップが昔からこの現状を変えたがってたなんて、普通驚くか。

 しかもそのトップは未だに変えたがっているようなみたいだしな。



「それで、話は戻すが…その故郷ではどうやって金属を加工していたのか、知ってるのか。」


「一応、知識として少しだけ。」


「よし、知っている限り話せ。」


「分かりました。」



 知っていること自体あまり多くないが、なるべく手短になるように説明する。

 種類によって熱で溶ける温度が違うとか、向こうでの金属の定義とかから始まり、液体に溶かして戻す方法があるとか、金は王水で溶けるとか…

 確か塩酸と硝酸を混ぜるんだったか?詳しくは知らん。

 あ、一応聞いた限りではこの世界でも金っぽい物質はあるらしい。

 実物は見た事がないけどな。


 それで思ったんだけど、親方みたいに丸投げしたいとは思わないが説明するのはやっぱり面倒だ。

 自分の知識不足もそれなりに感じる。

 まぁ、専門でもないと知ってる知識なんてたかが知れてるし。



「…なんだか突拍子もない話じゃの。」


「こうなんか、話が飛びすぎてません?」


「まるで出来の悪いお話みたいな展開だな。」



 で、話を聞き終えた彼らの第一声がこれだ。

 みんなしてウンウンと首を振っている。

 俺もなんで金属加工の話をしていたら科学の話をしていたのか…これがわからない。

 でもその中で親方だけは嬉しそうな顔をしている。



「結局、俺が考えてた事は正しかったって事だ!」


「確かにそうですのう。」



 まさにその通りである。



「それに色々と興味深い話が聞けたし、早速後で試すぞ。」


「分かりました。」


「火傷には気をつけて下さいね?」



 なんだか急にギラギラとし始めた親方とそれに賛同するダダンさんに一応そう注意をしておく。

 腕一本くらいの火傷なんかは流石にエクスヒールの範囲だろう。

 それでも治る辺りファンタジーしてるよな。

 と言うかどんな風に部位欠損が治るんだろうか?

 …一度見てみたいもんだな。

 俺は体験する機会は無さそうだし。



「さて色々と聞かせてもらったが、一番大事な事を聞いてなかったな。

 おめぇさんの欲しい物はどんな武器なんだ?」



 と親方の質問に脱線していた思考を戻す。

 最終的に欲しいのはあれだけど…う~ん…



「今一番欲しいのは…短剣ですかね。」



 というか生活に必要な小さい刃物だな。

 包丁の代わりになったり、ささっと魔物の討伐部位を剥げたり、いざって時の護身用にもなるし。

 石の短剣なんか割と切れ味が良くないから時間がかかるんだよな。

 で、俺がそう言ったのを面白そうに親方は聞いている。



「成る程…今一番、か。」


「あると便利ですからね。」



 今一番って言ったのはちょっと失言だったか?

 でもいきなり複雑な物を作れる見込みはないしな。

 それに無茶な要求をするつもりはない、無駄だからな。

 それなら段々と技術を向上させた方がマシだ。



「じゃあ最終的にはどうなるんだ?」



 その質問の返答は勿論決まってる。



「銃っていう…爆発力を一方向に集約させて金属の()を高速で飛ばす武器ですね。」



 銃をわかりやすく説明するならこうだろうか?

 ライフリングとかマガジンとかシリンダーとか薬莢とか他に色々とあるけど、説明が面倒だ。



「…なんだそれ?」


「それって普通に周囲を爆発させたら駄目なのか?」



 だがイマイチ親方達にはイメージが伝わりにくかったようだ。

 こんな説明でどういった物であるかなんて…そりゃわかる訳無いか。



「う~ん…使い手の実力に関係なく、音と同じくらいの速さで金属を飛ばせる武器?」



 訓練してなきゃ当たらないだろうけどな。



「さっきとそんなに変わってねぇが、そりゃおっかねぇな武器だな。」


「でもやっぱり…そのまま爆発させた方がいいんじゃないのか?」



 親方は何となくどういう武器か分かったようである。

 ダダンさんはさっきから妙に爆発を推してくるけど…



「より小さい力で十分な殺傷力が生まれるからだよ。」


「う~ん…」



 説明したけどあまり納得していないようだ。

 と言うか爆発をどんだけ推したいんだ?別に芸術ってわけじゃないんだぞ?

 ついその様子に、何か爆発させたいものがあるのかと勘ぐってしまう。


 …爺さんか?

 いや、ジーニャさんじゃあるまいし…

 そう考える俺の頭の中でふと、ジーニャさんが爺さんを爆発させるというイメージが湧いてくる。



「どうしたのテツ君?こっちを見て。」



 そんなイメージをしていたからか無意識にジーニャさんに視線がいっていたみたいだ。



「ちょっと考え事してボーッとしてたかな。」



 そう返答しながら爺さんをおもむろに見る。



「なんか嫌な予感がするのう…」


「気のせいだろ?」



 視線で悟ったのか、爺さんが肩を抱いて震えだす。

 伝わってなによりだ。



「銃に関しては追々って事でいいだろ。

 とりあえず一回工房に行って、試行錯誤してみなきゃな。」


「そうですね、出来る限りお手伝いします。」



 まぁ出来ると言うか、知っていると言うか…そんな感じだけどな。



「さて、ここまでワクワクを我慢してきたんだ!

 どんなものが出来るか楽しみでしょうがねぇ!

 早速いくぞ!オメェら!手ぇ貸せ!」


「「了解です!」」



 言ってまだ親方の体調は万全じゃないらしい。

 ダダンさんと爺さんの手を借りて立ち上がり、そのまま工房の方へと向かうので、俺もあとに続く。

 さて、一体どうなる事やら…





 

 ご視聴ありがとうございます。

 ご指摘や感想などお待ちしています。

 ブクマ、評価も(ry







 活動報告の方にも書きましたが冬の童話祭2016参加表明してみました。(見てる人いるの、あれ?って感じなので一応アピる。)

 活動報告にも書きましたが一応今日中に投稿予定です、はい。




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