五十四話:前の訪問者とその目的
結局隔日投稿になってしまった…
あと、ちょっとサブタイトル変えました。
「そもそも何故お主、ここに来たんじゃ?」
本当にそもそもの話だな。
普通は真っ先に聞くもんだと思うんだよな。
しかし此処に来た理由…?
「あぁ!そうだった!
爺さん達、ここの町に宿は無いのか?」
「何じゃ急に?」
「いや、とりあえず泊まる場所を確保しようかなと。」
「…此処に宿はないよ。」
「つーか儂の質問に答えい。」
「え?っギルドに来た目的だろ?」
思わず聞き返してしまう。
ここじゃ依頼を受けられそうに無いのは分かったしな。
別に旅費はシュルツ村でのオークファイターとかランスバイソン討伐貰ったものが丸々残ってるし、急務で稼ぐ必要もない。
であれば、とりあえず宿の場所を聞ければ良かったんだが…違うのか?
「違うわ!この町に来た目的じゃ!」
「成る程、そっちね!」
「そうじゃそっちじゃ!
というか宿を聞くのもギルドじゃなくてええじゃろ!
ギルドにはギルドの仕事があるんじゃから!」
「トーワの町じゃ宿も経営してたし普通に紹介してくれたぞ?
というかここ、そもそもギルドが営業出来てないじゃん。」
「…余所は余所、ここはここじゃ!
これが此処の運営じゃ!」
それを認めたら駄目な気が…いや、これ以上はよそう。
とにかく…もう言い訳するのも面倒になったのか開き直ったようにジジイが高らかとそう言い放ちやがった。
「それより話を戻しましょうよ。」
「そうじゃそうじゃ!」
「あぁ、はい。」
まぁいつまでもこんな雑談ばっかりしてる訳にもいかないしな。
「で、此処に来た理由だけど…金属関係で頼みたいことがあってさ。」
「ふむ?商品の発注か?」
「まぁ…そんな所だよ。」
「うむ、そうか。」
なんだか渋い顔をして…渋々って感じだな。
これで武器を作って貰いたいなんて言ったらどういう顔をするだろうな?
「というかこの町に来る理由なんて殆どないんじゃないか?」
「そうじゃが、一応念のためじゃ。」
「この前来た人達の事もあるし…」
「そう言えばさっき言ってたな。」
親方がどうたらこうたらって。
確か怪我したんだっけか?
…会いに行くときにヒールジェルでもプレゼントしようか。
ここってヒールの需要高そうだし。
「そいつらはなんて言ってたんだ?」
「うむ、あれは確か…一週間と少し前じゃったか?」
「はい、珍しく此処にお客さんが来たと思ったら急に『ここいらで妙な土の人形を見た奴は居なかったかぁ!!』っ聞いてた男の人がいたの。」
「最初は一人だけだったのか?」
「あぁ、そやつはこの土地に合わん明るい橙の髪と腕に金剛石の小手を嵌めておる奴でな。
口も悪く、いささか乱暴者じゃった。」
「その人がさっき様子を見に来たダダンさん…二番弟子さんと喧嘩しちゃってね。」
「ただ知らんと言えば良いものをあやつも口が上手くないからの…余計な事を言ったんじゃわい。
それで殴り合いに…さえならずに一発でノックダウンじゃった。
とまぁそこまではええんじゃが…」
「いやいいのかよ…」
「別に人死にでもなしにええんじゃ。
じゃがその後に騒ぎを聞いて来た親方の、運搬用に使役しておるゴーレムを見て何故か親方にも襲いかかってのう。
儂が僅かにでも止めに入らなければ、あのまま親方は殺されておった。
とは言っても儂も殆ど何もしとらんでの。
訳を聞こうとしてそのまま吹っ飛ばされたわい。
で…そのまま親方に止めを刺そうとした時、そやつの仲間が丁度来て、何故か止めに入ったんじゃ。」
「確か…『あんた…アレが小人の土人形に見える!馬鹿じゃないの!』って怒鳴ってましたね。」
「そやつも魔法で馬車を魔物の骨に引かせておる奇妙な奴での。
その後、男の方が折れたのか親方に止めを刺さぬまま馬車に乗り込みおった。
で…もう一人の仲間の方はこっちを見て鼻で笑った後、何処かに向かって行きおったわい。
そのおかげで全員命拾いしたが、…親方はかなり重傷での。
儂らは完治したが親方の方はまだ傷が癒えていないんじゃ。」
「ふむ…」
聞いた感じ…小さい土人形ってのを使役する誰かを殺すために見境無く人を襲ってる…のか?
それと金剛石の小手を持つ男に魔物の骨が引く馬車か…
もし出会うことがあったら十分注意しなきゃな。
「親方さんの所へも毎日、お爺ちゃんが治療しに行ってるんだけどね…」
「親方の傷は…儂等のヒール程度じゃ未だに起き上がれんほどの傷じゃわい。
…とにかく事情も説明せんと人を襲い、間違っておっても治療どころか謝罪もしないとんでもない奴等じゃ。
まるで自分らが特別階級にいると思ってる様な…の。
お主も十分に気をつけるんじゃぞ。」
「…言われなくても。」
特別階級か…まさにそんな感じだな。
誤解だったら誤解だったできちんと説明して協力を求めるくらいすれば良かったんじゃないか?
それだけの力があるなら脅迫くらい簡単に出来るだろうに…
「さて一段落付いたし、すっかり時間にじゃから行くか。」
そう言って爺さんが立ち上がり、ついでジーニャさんもティーセットを片付け始める。
「行くって何処へ?」
「決まってるじゃろ?親方の所じゃ。」
「毎日このくらいの朝のこの時間に夕方に一度行ってるんですよ。」
「お主も来るじゃろ?というか来てくれ。
さっきのアレを…親方に使ってはくれんか?」
割と真剣な感じに爺さんがそう頼んでくる。
自分としても使うのはいいんだけど…聞いた限り手持ちじゃ不安だな。
ヒールでも未だに動けないんだろ?
それだったら小瓶一つだと足りないだろうし、そもそも此処に来た目的がなぁ…
人の怪我につけ込むのも良心が痛むが…しょうがないか。
「いいけど…条件がある。」
「泊まる場所か?」
「宿がないなら泊めて貰える所はないか?」
「じゃったら二階の空き部屋なら自由に使っても良いぞい。
…ジーニャもええじゃろ?」
「えぇ、いいわよ。」
「ありがとう。」
「さて、じゃあ行くぞい。
あまり待たせるのも可哀想なんでの。」
「あぁ、あともう一つ。」
「…なんじゃ?まだあるのか?」
そう言うとジジイがちょっと不機嫌そうな感じの声色でそう言う。
急ぎたい所、非常に申し訳ないとは思うがもう一つ重要な事だしな。
というか今はこっちの方が重要だと思う。
「ちょっと今、ここの厨房貸して貰えないかな。」
ちなみに謎の二人組の名前とか使う魔法は既に決まってます。
むしろ決まってないのは親方の名前だったり…




