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魔法がある異世界を魔力無しで生きるには  作者: リケル
第一章 冒険者になる勇者
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四十一話:ランクの差

戦闘シーン有ります、注意。

 

「死んでないよな?あれ?」


「馬鹿!助け出すんだよ!」


「不謹慎よテッシン!」


 やばい!思わず口に出してしまった。

 そう思った矢先、案の定前後から怒号を貰う。

 ただ…魔物はオスとメスの区別がない種類が多い。

 いわゆる雌雄同体って奴…だろう。

 基本的に同種の魔物が二体いれば個体数が増えていく以上、極限状態か余程特別な状況でない限り他種族のメスを襲わないって話だ。

 ちなみにオークもゴブリンもそれである。

 つまりこの世界では魔物に捕まって『くっ…殺せ!』とか言う事が起こる確率は限りなく低い。




 ……話が逸れたな。

 だから魔物が人間をどこかに運ぼうとしている光景はすなわち彼らの食べ物の一種として、人間だったものを運ぼうとしている可能性が限りなく高い。

 ついでにいうとここに数えるだけで普通のオークが四匹、オークの体格に近いゴブリン…ホブゴブリンが二匹いる。

 俺の頭の中ではもう既に()()()()()ではないかと思っていたのだが…


「…うぅ、ぅぅう……」


 不意にオークに担がれていた女性が呻くような声を出しながら緩慢な動きでジタバタと暴れ始める。

 だが担いでるオークはあまり気にした様子もなく、荷物を扱うような仕草で担ぎ直す。

 そして俺達がそのローランさんを助けようとしていることを察したのか担いでいる奴が後ろに下がり、他の五体が遮るようにして俺達とそいつの間に並ぶ。


「お、何とか無事みたいだ。」


「あぁ!早く助け出してやらないと!」


 そう言って今にも突撃しようとしているケントだが状況の悪さは察しているのか、流石に一人で突撃するのは無い。

 かと言って全員で突撃したって代わる訳でもないだろうし、そもそも時間をかければケントが崩した包囲が再び立て直されるだろうから急がなきゃいけない。

 どう攻めようかと考えを巡らせていた所で、後ろから声が掛かる。


「皆さん、あいつらを引きつけて下さい、ここは私が…」


 振り返るとヴァニラは俺たちの丁度中間くらいの位置、魔物達の視線が届きにくい所で更に姿勢を低くして、段々と自身の姿を消していく。

 これが彼女が得意とする幻影魔法だ。

 確か…ミラージュとか言ったっけ?

 本人曰くまだまだ熟練の域には達しておらず時間が掛かる上に精度も荒く、激しく動いたら解けるらしいがそれでもこいつら相手なら隠れてしまえれば接近することは容易なはずだ。

 とか考えているうちにすっかり透明になってしまった。

 影も形も無いとか…魔法様々である。


(皆さん!準備完了しました!)


「盛大にやりましょケント!レイモン!テッシン!」


「俺はゴブリンの方を引き付ける!」


「あぁ!暴れるぜ!」


 レナは周囲に派手に魔法を展開しつつ、レイモンは後方の退路を確保する為に後方のゴブリンに武器を構え、ケントは相変わらずオークの方に突撃しようと構える。


「分かった!行こう!」


 一拍遅れて俺も準備するが、俺が構えるのとほぼ同時に準備が終わったレナの魔法が空から降り注ぐ。

 多数の風の刃に石の礫が向こうに降り注ぐのを合図に俺たちは各々行動を開始する。

 俺が担当するのは余った奴らの…ホブゴブリン二体だ。

 とは言ってもこいつらもオークと同じDランク、油断は出来ない。

 ザンギさんから貰った魔物図鑑によると…オーク程の耐久性は無いにしてもこいつらは知能がそれなりに高いらしい。

 具体的にいうと仲間と多少の連携したり、簡単な魔法は使ってくる程度。

 駆け出しよく魔法を使うのに驚かされて餌食になったりするそうだ。

 そんなのが二体もいるのだからやることは一つ、先手必勝だ。


「ふっ!」


 二匹とも降り注ぐ魔法に怯んでる内に一匹に接近、そのまま勢いを乗せた天閃でホブゴブリンが身につけていた布切れごと胸を貫く。

 布が邪魔だったのもあるがホブゴブリンの肉は堅かった。

 モンスターは強くなると堅く、強くなるんだろうか?

 まぁ普通のゴブリンと違いかなり手応えがあったがそれでも無事に貫通、そのまま引き抜き絶命させようとするが、引き抜くのにもかなり抵抗かあり中々抜けない。


「グァイガグリァ!」


 その隙にもう一匹のホブゴブリンは距離を詰めて、手にした棍棒で殴りかかるのと同時に火球を放ってくるが…


「甘い!」


 意識を集中させつつ振りかざされる棍棒を手のひらで受け止めつつ、霊力を周囲に展開し火球を霧散させる。

 バシンといい音と共に手のひらにちょっと痛みが伝わり、若干火球の熱が肌に触れる。

 あまり魔封じの範囲を広げすぎるとヴァニラのミラージュが解けるかもしれないから狭くしたのはちょっと失敗したかもしれない。


「ゲェ!」


 自分の魔法が消えたのがそんなに以外だったのか、ホブゴブリンは驚きの声を上げる。

 なんか声だけ聞くと人っぽい反応だ。

 …まぁそれで手加減なんてしないけど。

 その隙に空いた腹に蹴りを叩き込んだのだが…咄嗟に棍棒から手を離して胸の前でクロスしてガードし、更に蹴りに合わせて若干後ろに飛んで勢いを殺しそうとしやがった!

 それでも蹴りは入ったから相当のダメージになってはいるみたいだが…これがランクの差かと実感するな。

 ゴブリンと比べて腕力も耐久力も判断力も比べ物にならない。

 おまけに魔法まで使うのだからちょっと強くなったと油断してたら痛い目を見るのも分かるな。

 止めを刺すにも飛んでいったし、先に突き刺したままの剣を引き抜き血を払う。

 で、どこに行ったのかと飛んでいった先をみたら…ケントの方に飛んでいったみたいだ。

 というかよく見たらケントの方はかなり苦戦していた。

 レイモンはサポート出来る状況に無いし、レナはケントのサポートに回っているが流石に付きっきりって訳にもいかない。

 レイモンのサポートにも回らなきゃいけないしな。

 でも防御を中心に少しずつ数を減らす思惑なのか、レイモンはそれほど消耗している訳じゃない。

 対照的にケントは切り札だって言ってた武器強化(エンチャント)まで使っているのにまだオークに痛手を負わせるほどまでには至ってない。

 というか向こうに行ったホブゴブリンが加勢なんかしたら押し負けそうだ。

 よし、ケントの方に加勢しよう。




ご視聴ありがとうございます。

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