三十話:ステータス交流
結局アンナにいくら聞いてもはぐらかされるばかりで白状はしなかった。
おまけに風呂に覗きメイド達をけしかけると脅してきたので断念せざるを得なかった。
別に覗かれても物理的には困らないが、精神的にはくつろげないしな。
でもそんなアンナの必死の交渉もザンギさんに顔を見せに経営してる酒場にいった時の一言で無駄になったけど。
「いや~…嬢ちゃんがいくらぶっ叩いてもうんともすんとも言わなかったからな!かなり心配してたんだぜ、テツ!」
「ちょっと!ザンギさん!?」
笑いながらこちらの肩を叩いて来たのは体に響いて痛かったけれど、そこはザンギさんの嬉しそうな顔を見てぶつぶつと文句を言うのは野暮かな、なんて思ったりした。
それよりもやっぱりHPが思ったより少なかった原因はぶっ叩かれてたからか。
結構減ってたし相当殴られてたんだろうな。
まぁ別に痛みも今はそんなに感じてないし、別にいいや。
「それよりも体調は大丈夫なのか?」
「一応レベルアップさせられたおかげでなんとかね。」
「「させられた?」」
「あぁ、うん。その事なんだけどね…」
と言いながら店内を見渡す。
店内には別に誰か居ても困らないとは思うのだが一応念のためだ、女神様の事はなるべく多くの人には話したくない。
まだお昼には程遠い時間だからか広い店内に自分たち以外は居ない。
それを確認してから女神様との会話で聞いた事、考えた事などを語る。
魔封じや感知、そして魔法印を機能不全にさせるあの力、霊力を使いすぎるとああなる事。
あの戦い以前から持っていた分も含めて、大量の経験値を使ってレベルアップした事。
ついでに経験値を貯めておける事や大量の経験値を消費してレベルアップした方が強くなることを話したのだが、その事で大層驚かれてしまった。
やはり一般常識として、個人の資質にも左右されるがやっぱりレベルの高さと強さは比例すると思われているみたいだ。
経験値は必要量以上に貯めた所で大した意味は無いと思われていたらしい。
とかそういう事を先の戦いでレベルアップしたアンナとザンギさんのステータス見せて貰いながら聞かされた。
Nameアンナ・ロッド(女)
Lv17
EXP:23/900
HP151/151
MP114/114
STR:82
VIT:52
AGI:73
DEX:80
SEN:89
WIL:97
アビリティ〈取得順〉
・貴族の心得
・風撃理解Ⅱ
・雷撃理解Ⅳ
・交渉術Ⅱ
・格闘術Ⅲ
Nameザンギ・オセルド(男)
Lv48
EXP:7/6500
HP233/233(352-119)
MP32/46(128-82)
STR:136(244-108)
VIT:119(216-97)
AGI:71(126-55)
DEX:139(199-60)
SEN:195
WIL:207
アビリティ〈取得順〉
・獣の血(覚醒)
・怪力Ⅵ
・強靭Ⅳ
・格闘術Ⅲ
アンナの刻むような成長もそうだがそれよりもザンギさんの謎のステータス低下も気になったのでそっちを先に聞いてみた。
なんでも同種としての血が濃かったりレベルが上がり成熟した獣人はその身体に眠る獣の力を解放する獣化という現象を起こせるようになるらしい。
それは獣人としてとても誇りある事らしいのだが、使いすぎたり無理な使用をした場合、まだ能力的に獣化を扱える状態でないのに無理矢理の獣化は当然反動がある。
何となく察しは付くと思うがザンギさんはその反動として肉体的な能力全般が落ちてしまったらしい。
それもかなり長期的なものらしく、それが原因で引退を余儀なくされたのだとか。
でもザンギさん曰く、
「それで多くの人を救えたんだからこの位安いってもんよ!」
と誇らしげに言っていた。
それよりも俺は弱体化しているのに一人前の冒険者くらいは強いのに驚きだった。
ちなみにザンギさんは前者、使いすぎたり無理な使用をしたらしい。
後者と反動の内容は違うらしく、能力的に獣化を扱える状態でない場合の獣化は完全な獣の姿になってしまう可能性があるらしい。
知性も獣になってしまう事もあるらしくそうなるとただの害獣扱いだとの事。
そんな話をカップに入ったお茶の味と一緒に頭に叩き込んだ。
次にアンナのステータスを思い出しながら二人に改めて色々と聞いた。
具体的には一回のレベルアップでの上昇量はこんなものなのか?と
単純にレベルでステータスを割ると一回当たり大体3~5くらいの上昇量だ。
ステータスも0から始まってる訳ではないだろうから、実際はもっと少ないはずだしな。
純粋に一回のレベルアップでの平均上昇量を教えてくれないかなぁ、とかそういう興味からだ。
まぁ言った直後アンナに殴りかかられたんだけどね。
おもむろに椅子から立ち上がっての肉体強化全開のテレホンパンチ、まぁ軌道は読めたので今回は踏ん張りをきかせて転ばないようにして手のひらで拳を受け止めたけど…力負けしてしまった。
それでも後ろに軽くよろめく程度だったから、前よりは強くなったんじゃないかな?と思える出来事ではあった。
んでそっからザンギに宥められ、物凄く不機嫌になりながらも何とか説明してくれた。
一回のレベルアップで上がる量はレベルに比例しているらしく、低レベルだと1、2程度しか上昇しないとか前のレベルアップでの平均は約3で今回は物凄く上がっている方なのだとか。
そんで最後に、レベルに比例しているっていうのは必要な経験値が多くなるせいなんでしょうね!とむっすりとして頬杖をつきながら吐き捨てるように言い放った。
結局GWで二本が限界でした…
何とかGW完成できなかった分を書き上げたのでこれからは少し頻度落ちるかも知れないですが、これからも頑張っていきます。