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魔法がある異世界を魔力無しで生きるには  作者: リケル
序章 魔法のある異世界
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二十九話:激戦の後の目覚め

パチリ、と音がする勢いでまぶたが持ち上がる。

目が覚めたら柔らかいベッドで寝かされていた…ここはロッド邸だろうか?

自分に天井を見るだけで住居を判別出来る能力は、無い。

なので起き上がって確認しようと思って身体に力を入れるが、女神様と話をしていた時の万全の体調とはかけ離れた、あまり動くたくないレベルの疲労やダメージが襲ってくる。

どうやら寝かされる前に武器防具の類は全て外されており、また怪我の様子を見るためかは分からないが服を脱がされていて上はインナー一枚だけしか着ていなかった。

そしてあらわになっている左腕にはオークファイターに握り潰されかけていた所が青く痣になっており、ズキズキと痛む。

一応動かせるあたり折れてはいないだろうけど、下手に動かしたくは無い。

後、何故か両頬が痛いけれどなんでだろうか?

あと残りは単純に筋疲労や軽い打撲や擦り傷とほっとけば自然に治るようなものくらいだ。

でも今日一日は鈍痛に悩まされるだろうし、無茶は出来そうにないな。

と思いながら周りを見渡すとやはりここはロッド邸で、俺が借りてる一室だった。

窓から差す光から察するに時刻は朝、大体開門を見届けて戻ってくるくらいの時間だ。

という事は気を失ってから丸々一夜寝ていた事になるのか?

いや、案外2、3日寝ていた、なんて事もあるかもしれないな。


「さて…」


今の所特に人が来る様子も無く、人を呼びに行くのに動くのも怠い身体が拒絶するので暫くしたら誰か来るだろうと思い…先にステータスの確認をすることにする。

女神様も大幅に上がったとか言ってたし、ちょっと気になるからな。

というかHPとSP以外はまともにチェックしていなかったので…まともに見るのは風呂でのぼせて以来だろうか?

心の中で『ステータス』と念じ、現れたオレンジっぽいウインドウを覗き込む。

そしてその内容を見て…ちょっと絶句してしまった。


Nameテッシン・ニジ(男)

Lv2

EXP0/5790



HP169/845

MP0/0

SP134/730



STR:148

VIT:126

AGI:103

DEX:131

SEN:155

WIL:182






アビリティ〈取得順〉

・異世界人の成長ⅩⅩ

・文字言語理解

・真理理解Ⅰ

・女神の加護

・ステータス霊法

・根性Ⅱ




多少訓練の成果があったんだろうけど…いくらなんでも異常すぎる上昇量だ。

前に見たときよりも六種類平均してだいたい二倍くらいとは…大量に経験値を使った甲斐はあったな。

でも何故か現存HPが明らかに上昇量と比べて少なすぎる。

上昇量分は確実に上がるはずなんだけど…何かあったんだろうか?

他にも、必要な経験値の量も負けじと異常な伸びを見せている。

きっとしばらくは3レベルに上がる事は無いだろう。

後、危うく見落とす所だったがレベルアップのついでと言わんばかりに根性が1ランク上がっている。

まぁ見落としていても特に言う事はないからいいんだけど…。

とか考えながらしばらくステータスを見てこれからの成長方針等を考えていると…


「テツ…?」


「ん…?」


気がついたらドアが開けられていて、入口にはアンナとメイドさんが立っていた。


「…あ、おはよう。」


何事もなく挨拶したこっちを見てアンナはしばらく立ち尽くしていた後、数メートルの距離をかなりのスピードで駆け寄り半ばタックルに近い形で抱きついてきた。


「テツ!良かった!」


「うわぁ!」


急に抱きつかれて、抱きつく時に目尻が濡れていた事に気づいて、一体どうしたのかと思ったが…


「虚ろな目をして!ずっと!何しても反応がないから!ずっとあのままじゃないかって!」


「…ごめん。」


段々と言葉に勢いが無くなっていく彼女を見て、心配をかけてたんだなぁと少し申し訳ない気持ちで胸が一杯になる。

女神様からも一応聞いていたけど、意識はあっても反応が無いってそりゃ心配される状態だよな。


「…心配したんだから。」


なんて言われ、しばらくアンナに抱きつかれていた。

俺はというとなすがまま、抱きつかれたまま視線を動かしてメイドさんに助けを求めたが…こっちも目にハンカチを当てて流れる涙を拭っていた。

…しょうがないので結局そのままアンナに気が済むまで抱きつかれる事になった。

んでしばらくして解放された訳だけど…


「あれからどのくらい経ったんだ?」


「いや、一日しか経ってないわよ。」


女神から早く目が覚めるとは聞かされていたが…本当に早かったな。

もしレベルアップしてなかったら一週間くらいは意識不明で寝込んでたかもな。

というか何日か経っていると思ったけど一日でこの感動ぶりだ、もし何日も寝てたらパーティーでも開かれてたかもしてない。

まぁ今も勝利の宴でもしてるかもしれないけど…


「後でザンギさんのとこにも行きましょ、心配していたわよ。」


「あぁうん、そうだな。」


ここまで心配される状態だったからな大なり小なり心配されてるか。

…出来る限り早めにいって安心させて上げたほうがいいかな。

なんて考えながら立ち上がろうとするが、やっぱり身体が無茶苦茶痛い、前言撤回して一日中引き籠ってたい。

結局辛い体に鞭打つように立ち上がるんだけどな。


「でも先にお腹すいてるしなによりテツは埃っぽいし、まずは先に色々済ませちゃいましょ!」


「そうだな、俺も空腹だし汗も流したいし、あと左腕とか…身体中も痛いし。」


その言葉でビクッと一瞬、アンナの動きが止まる。


「どうしたんだ?」


「いや、な…何でもないわよ!」


あからさまにアンナが挙動不審な態度をとる。

一体何だ?と考えたがすぐに何となく答えが分かった。


「あのさ」


「…何?」


「起きてから頬っぺたが痛いんだけど何か知らない?」


「さて、今日の朝ごはんは何かしらね。」


無理矢理話題を転換し、足早に部屋から去っていく。

原因はアンナなんだろうな、HPが低かった原因は。

なんて思いながらあからさまに怪しいアンナをぎこちない動きで追って部屋を出て行った。


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