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結局、キスをするのは特別な関係なのかはわからないままだ。このことはもうヘルさんには聞けない。ヤブヘビになってしまう。となるとクイさんしかいない。私の人間関係狭すぎませんか。
それにしても、ヘルさんの過保護な態度は私がつがいだからなのだろうか。大事にはしてもらってると思うし、愛のようなものは感じる。家族愛的な。なんかこう、お父さんっぽいんだよね。お父さんと呼んで欲しいとか言われたせいかな。……なぜそこからつがいへと跳躍したのだろうか。
しかし、つがいとはまたなんとも動物っぽい話だ。ゲオルなら納得できるけど、人型なのになあ。発情期とかあるんだろうか。あっても相手をするのは無理だ。でも結婚していると思っていたわりにはそれほどえっちなことはされていない……いやそうでもないな。いろいろあったな。もうやめよう、考えちゃ駄目だ。
ちょうどクイさんが来てくれた。天の助けだ。立ち上がって走りよる。……よろうとした。後ろから服を掴まれてべちんといい音を立てて転び、鼻を打った。いたすぎる。
「マリカ、どうした!?」
「い、いたいよ」
私は鼻がいたいと言ったのだ。なのに振り向くとヘルさんはおっそろしい形相で、私の服を勢いよくめくった。おしりまで丸見えである。さっきまで考えていたことが色々と頭をめぐって声も出ないでいる私にかまうことなく両足を開かれてぎゃー!
「何やってんだ」
助けてクイさん!
「血が出てる。いつ怪我したんだ」
「なんでそんなとこ……ああ」
ぱんつまでぬがされそう! 紐ぱんですよ! 必死で押さえる。
「生理だろ。ヘルベルクランは外に出てな」
「でもこんなに血が」
「うーん、確かに随分量が多いけど……。マリカ、向こうではどう……マリカ?」
二人で私のまたを見ている。わ、わわわ、わーん! 女の子になんてことするんだばかー!
「はなれてっ! そんなとこみちゃだめなんだからあ!」
泣き喚きながら二人をお説教した。
「ばかっ! えっち! なんでみせるの! だめでしょ!」
「クイグインネ、出て行け。お前には見られたくないそうだ」
「あのねえ……男にまかせられるわけないだろう。出ていきな」
「そうだよっ! ばかっ! えっち!」
ヘルさんは納得いかないような顔をしていたけど部屋を出て行った。
「クイさんもあんなとこみないでっ。女の人でも恥ずかしいんだからねっ、だめだからね!」
「わかったわかった。怪我をしたわけじゃないんだろ?」
「ふー……。うん。生理がきたんだと思う」
こちらにきてから1ヶ月以上たつ。向こうにいたときのことも考えれば2ヶ月はきていないことになるけど、そのくらいあくことはたまにあったので気にならない。
「はじめてか? 前兆はなかった? 随分たくさん出てるねえ……。
ちょっと舐めてやるよ」
「はい!? ちょ、ちょっ……」
「だってもったいないだろ?」
話をまったく聞いていない。目がらんらんとしている。……あれ、なんかこれ、貞操の危機ですか?