第114話 広がる戦場
爆発は、遠くで鳴った。
だがその振動は、確かにここまで届いた。
空気が揺れる。
地面が微かに震える。
「……外だ」
ルークが言う。
短く。
だが重い。
エリシアが視線を上げる。
「都市の外側」
「複数地点です」
第一王子が舌打ちする。
「広げやがったな」
レオンハルトは動かない。
ただ、遠くを見ている。
視界の先。
煙が上がる。
一つではない。
二つ。
三つ。
点ではない。
広がり始めている。
「……都市制圧では終わらない」
ルークが言う。
「はい」
エリシアも即答する。
「領域全体です」
ガルドが低く笑う。
「いいな」
「完全に戦争だ」
その言葉に。
誰も否定しない。
レオンハルトは言う。
「情報を集めろ」
短い。
ルークが動く。
「各地の状況を統合します」
エリシアも続く。
「支援ネットワークを再編します」
第一王子が言う。
「軍はどうする」
その問い。
今までは避けてきた。
だが。
もう避けられない。
レオンハルトは答える。
「使う」
沈黙。
空気が変わる。
「ただし」
一拍。
「前に出さない」
第一王子が眉を上げる。
「どういう意味だ」
「抑止だ」
短い。
「線を引く」
エリシアが理解する。
「……境界の固定」
「そうだ」
レオンハルトは言う。
「内部は我々が制御する」
「外は越えさせない」
ルークが頷く。
「二層構造ですか」
「はい」
「内側で均衡を維持し」
「外側で圧を止める」
ガルドが笑う。
「面倒くせえな」
「だが」
第一王子が続ける。
「理にかなってる」
だが。
問題は残る。
「内側が持つか」
ルークが言う。
「今の状態では」
「持ちません」
エリシアも言う。
「広がりすぎています」
沈黙。
レオンハルトは答える。
「縮める」
短い。
だが。
意味は重い。
「守る範囲を限定する」
再び。
選択。
ガルドが言う。
「また切るのか」
「そうだ」
迷いなく。
「広がりを抑えるために」
「中心を固める」
第一王子が笑う。
「守るために削るか」
「そうだ」
レオンハルトは言う。
その時。
新たな報告。
「東方軍!」
「国境線を突破!」
空気が凍る。
「……来たな」
第一王子が言う。
ルークが続ける。
「タイミングが一致しています」
エリシアが言う。
「内と外」
「同時圧力です」
完全に。
計画されている。
レオンハルトは言う。
「想定内だ」
短い。
だが。
その言葉で。
全員が動く。
「配置を変える」
「外側に圧を集中」
「内側は再編」
命令が飛ぶ。
人が動く。
流れが変わる。
だが。
追いつかない。
完全には。
その時。
ガルドが言う。
「王」
レオンハルトが見る。
「お前の戦い方」
一瞬の間。
「嫌いじゃねえ」
短い。
だが。
信頼の証。
エリシアが小さく息を吐く。
ルークも頷く。
第一王子が笑う。
「ようやく認めたか」
だが。
その瞬間。
さらに遠くで。
大きな爆発が上がる。
今までで最大。
空が赤く染まる。
ルークが言う。
「……規模が違う」
エリシアが呟く。
「……都市ではありません」
沈黙。
レオンハルトの目が鋭くなる。
「……拠点か」
その一言。
戦いの次元が変わる。
都市を守る戦いではない。
領域を巡る戦い。
そして。
その先にあるのは。
国家規模の衝突。
均衡は。
まだ保たれている。
だが。
その範囲は。
急速に、狭まっていた。
戦場はついに都市を超えました。
ここからは“局地戦”ではなく“戦略戦”になります。
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次話もお楽しみに。




