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婚約破棄された地味令嬢ですが、実は王宮一の補佐でした ~捨てたのは第一王子? いいえ、私は第二王子と国を立て直します~  作者: 紅茶うさぎ


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第112話 均衡を壊す理由

 黒い影が、割れた。


 群れではない。


 塊でもない。


 その中心。


 ゆっくりと。


 “それ”は歩いてくる。


 音がない。


 足音すら。


 ただ空気が歪む。


「……来た」


 ルークの声が、わずかに震える。


 エリシアは目を逸らさない。


「本体です」


 第一王子が笑う。


「ようやく顔出しか」


 だがその笑いは浅い。


 理解している。


 これは今までの敵とは違う。


 レオンハルトは一歩、前に出る。


 距離が縮まる。


 黒い外套。


 だが今度は違う。


 “中身がある”。


 存在が重い。


 視線が合う。


 その瞬間。


 理解する。


 ――人間だ。


 だが。


 どこかが決定的に違う。


「……お前が」


 レオンハルトが言う。


 外套の男は、ゆっくりと首を傾ける。


「王か」


 声は静かだった。


 感情が薄い。


 だが。


 知性は明確だ。


 レオンハルトは答える。


「そうだ」


 沈黙。


 ほんの数秒。


 だが長い。


 男は言う。


「面白い」


 第一王子が眉をひそめる。


「何がだ」


「均衡を壊した」


 その一言。


 レオンハルトは答える。


「引き出すためだ」


「知っている」


 即答。


 ルークが息を呑む。


「……読まれている」


 男は言う。


「お前は正しい」


 その言葉に、空気が揺れる。


 エリシアがわずかに動く。


 だが。


 男は続ける。


「だから壊れる」


 沈黙。


 第一王子が言う。


「どういう意味だ」


 男はゆっくりと周囲を見る。


 燃え残る街。


 崩れかけた秩序。


 そして。


 守られた区域。


「均衡とは」


 一歩、踏み出す。


「維持するものではない」


 レオンハルトが言う。


「違う」


 男は首を振る。


「均衡とは」


 一瞬。


「壊れることで成立する」


 沈黙。


 意味が、重い。


 エリシアが言う。


「……崩壊と再構築」


 男は頷く。


「そうだ」


 ルークが言う。


「意図的に崩しているのか」


「当然だ」


 迷いがない。


「停滞は腐敗を生む」


「だから壊す」


 第一王子が笑う。


「過激だな」


「現実だ」


 男は言う。


「お前の均衡は」


 レオンハルトを見る。


「維持するために犠牲を出す」


 沈黙。


「俺の均衡は」


 続ける。


「壊すことで最適を選ぶ」


 エリシアが言う。


「……選別ですか」


「そうだ」


 短い。


 だが。


 冷酷だ。


 レオンハルトは言う。


「違うな」


 一歩、踏み出す。


「それは均衡ではない」


「ただの淘汰だ」


 沈黙。


 男はわずかに笑う。


「同じだ」


「違う」


 レオンハルトは言い切る。


「お前は責任を持たない」


 一瞬。


 空気が変わる。


 男の目がわずかに細くなる。


「責任?」


「そうだ」


「壊すだけでは終わらない」


「その後を支えるのが」


 一歩。


「均衡だ」


 沈黙。


 初めて。


 男が、わずかに考える。


 ほんの一瞬。


 だが。


 確実に。


「……なるほど」


 低い声。


「だからお前は」


 視線が鋭くなる。


「遅い」


 その言葉と同時に。


 男の手が動いた。


 空気が裂ける。


 衝撃。


 レオンハルトは動く。


 防ぐ。


 だが。


 重い。


 今までと違う。


「……強いな」


 第一王子が言う。


 ガルドも動く。


「こいつが核か」


 戦いが始まる。


 思想だけではない。


 力の衝突。


 均衡と崩壊。


 その中心で。


 王は立っている。


 だが。


 この戦いは。


 まだ。


 序章に過ぎなかった。

ついに“本体”が姿を現しました。


ここからは思想と力、両方の戦いになります。


面白いと感じていただけたら、ぜひブックマークと評価で応援していただけると嬉しいです!

次話もお楽しみに。

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