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ベインの反省

 そう言ったベインは自分で考えた過ちを次々と言い出した。


「俺はそなたをまともに尊重したことが一度もなかった。いつも婚約者として俺を補助し、俺に貢献しろと強要するだけだった。そなたが俺の不合理な要求を拒否するたびにそなたを罵倒し、してはならない暴言まで吐き出した。そして、また……」


〝過ち〟をペラペラ言うベインを見つめながら、レイナは内心びっくりした。彼の言うことはレイナが彼を嫌うようになった理由と正確に一致したから。ベインがそれを正確に自覚しているのも、それを過ちだと断言するのもレイナには想像もできなかったことだった。


 淡々と話を続けていたベインだったが、最後に突然頭を下げて唇を噛んだ。


「そして最後に……俺はそなたのことをよく知らない」


「どういう意味ですの?」


「言葉通りの意味だ。俺はそなたを、レイナという人間を知らない。そなたがどんな人で、何が好きで、何を追求するのか関心を持ったことがなかった。ただそなたを婚約者という存在として考えただけだった」


 考えてみればそれも姉と似ていたと、ベインは空っぽく笑った。


 パメラは過去には自分自身を含むすべての人を役割と立場だけで考えていたと話した。ベインはそれほどではなかったが、婚約者のレイナのことをただ自分のおまけと考えていた。レイナと人間的な交流をするつもりなど一度もしたことがなく、ただ自分が考えた役割を彼女に強要しただけ。


 いや、パメラは少なくとも自分の価値観を人に押し付けることはなかった。ただ勝手に無視しただけ。自分の考えを強要した自分の方が質が悪い。しかし、そんな自分だからこそこれ以上レイナから目を向けてはいけない。ベインはそう思ったのでまた頭を上げた。


「俺が考えた俺の過ちはこの程度だ。もし俺が逃した部分があれば忌憚なく指摘してくれ」


「……言うことはありません」


 レイナはベインのことが嫌いだが、ない過ちまで作り出して非難する性格ではない。むしろベインが言ったことの中には些細なこともあり、そのようなことまで全部列挙して謝罪されたことが無駄に気にかかった。考えてみれば最近のレイナは感情を口実にベインに無礼な言動を結構やらかしたから。


 ベインは少し笑って、また頭を下げた。


「よかった。……すぐ許してくれとは言わない。その資格もないし、何も返せないままいきなり許しを請うのは道理ではない。それでも資格のない要求を言うのはみっともないだろうが……それでも言いたい。俺にもう一度チャンスを与えてくれ」


 ベインは言葉だけの謝罪でレイナを慰めることができるとは思わなかった。しかし、彼女に誠意を示すためにはまず彼女が自分を相手にしなければならない。今までのように出会い自体を回避され続ければ何もできないから。彼女に何かを要求する立場ではないことを知っていながらも、最低限の謝罪のために必要だと思った。


 一方、レイナは黙って考え込んでいた。


 ベインは変わっていない。ただ婚約者である自分を利用するために表面だけの態度を変えただけだ。……そう疑う気持ちもあったが、自らそれを否定した。否定せざるを得なかった。ベインの変化がそのような浅はかな目的のためではないことを認めざるを得なかった。


 婚約者のレイナにも、姉のパメラにも敵対的な態度で一貫していたベインだった。そうだった彼が討伐祭以後パメラと和解し、レイナにも無理なことを言わないようになった。以前のベインなら決してできなかったことだ。


 しかし、素直に受け入れるにはあまりにも急激な変化だった。


「一つ、お聞きしてもよろしいですの?」


「いくらでも。一つじゃなくてもいい」


「殿下は……心から反省されているんですの?」


「それは意味のない質問だな。もちろん俺は心から反省しているつもりだ。だが言葉だけの謝罪と心だけの反省は何の役にも立たない。行動でそなたに返した時に初めて反省したと言える」


 レイナは眉をひそめた。今のベインの態度を見ると……いや、今の態度だからこそ気になることがあった。


「殿下は……そう言える御方だったんですわね。なのにどうして昔はそんな風に行動されたんですの?」


 過ちを反省して後悔し、行動で返そうと思う。簡単だがあまりにも難しいことだ。過ちを過ちとして受け取ることができなければ始めることさえできないことであり、それを人に表わすということは自分の恥を認めることだから。


 ベインは今それを実践している。少なくともそう言っている。そのような考えができる人が過去にはなぜそんなに攻撃的で強圧的だったのか理解できなかった。そうだった人が今のように変わることができるというのが不思議だった。


 ベインは答えようとするかのように口を開いた。しかし何も言えず、また口をつぐんだ。しばらくグズグズしていた彼はついにまた口を開いたが、その声には深い自嘲が染み込んでいた。


「……それは言えない」


「どうしてですの?」


 レイナの眼差しが冷たくなった。少しでも彼を再評価した心がまた冷淡になるのを自ら感じた。やはり口先だけのことだったのだろうか。


 ベインは彼女の変化に気づいたが、感想は苦笑いだけだった。


「そなたが俺を見つめる感情が変わってほしくないからな」


「それはどういう意味なんですの?」


「俺がもし事情があってそなたを迫害したと言ったら、そなたは俺の行動に理由があったから理解して受け入れるのか?」


「それを聞けば私が殿下を許すことになるということですの?」


「知らない。そうかもしれないし、違うかもしれない。だがそれは言い訳になるだろう。……俺はそなたのことをよく知らないが、そなたがもともと優しくて誠実な人だと聞いたな。そんなそなたならもしかしたら俺の事情を理解して許してしまうかもしれない。そんな結末なんか望まない」


 ベインはレイナの目をまっすぐ見た。眩しいほどまっすぐな眼差しだった。


「俺は過ちを犯したし、それを返そうと思う。そなたが俺を許してもしなくても、それは俺の行動によってのみ決定されるべきものだ。だから絶対に言えない」

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