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集結

 パメラは剣を持ったまま近づいてくる騎士を見ても全く気後れしなかった。もう怖がる演技をする必要もなかった。


「このような定義のないやり方は死んだティステ公女への侮辱に過ぎません。そんなことさえ知らないバカたちが復讐するなんて、呆れますわ」


「貴様の理解を望んだことはない」


「あら、私も貴方たちに受け入れてほしかったことはありませんよ?」


 パメラは手錠を力で引きちぎって壊した。


 まるで紙を破るように平気な破壊行為だった。騎士を止めようとしたカーライルが目を丸くした。騎士は眉をひそめながらも一気に駆けつけて剣を振り回した。しかしパメラはその剣を平然とつかんだ。彼女の握力が剣身を破壊した。


「なっ……!?」


「仕上げが中途半端極まりないですわね。魔力封印の手錠も()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。騎士の貴方は知っているはずですが」


 パメラのメインプラン――それは事前に自分に拉致対策魔法をいくつかかけた後、わざと無防備なふりをして接近することだった。


 魔力封印の手錠のような手段が出ることはすでに予想していた。しかし無防備に接近してくる相手を気絶させて拉致するだけなら、すでにかかっている魔法の解呪は省略するだろう。その油断を狙うのがメインプランだった。もちろん、着実に解呪をする場合のためのサブプランもあったが。


 パメラがかけておいた魔法は意識を失わせるあらゆる種類の薬剤と魔法の無効化、そして持続性身体強化魔法だった。金属の手錠を力で破ってしまうほど強力な。


 一旦手錠だけ破壊すれば、彼女の『万能』が解放される。


「生意気な!」


 騎士はすぐに魔法陣を展開した。だがパメラが指パッチンをすると、その魔法陣は霧が晴れるようになくなってしまった。騎士は歯を食いしばった。


「……いつから知っていた?」


「最初から。そもそも私が研究会と会ったことからが貴方たちに会うためだっただけですの」


 パメラは指パッチンをした。柔らかい魔力が部屋の中を埋め尽くした。


「これ、は……!?」


 当惑が広がった。


 パメラの魔法は攻撃ではなかった。むしろその反対。穏やかな平和が彼らの心を満たし、怒りと敵意は次第に消えていった。ティステの昔の学友たちにとって、それはとても懐かしく……二度と感じられないはずの感覚だった。


「これは……ティステ様の落ち着き魔法……!?」


 怒りと悲しみを和らげ、心を落ち着かせてくれた優しい魔法の力。魔法の性質だけでなく、それを洗練され美しく展開するまでもティステに似ていた。ティステの恩恵であり、彼女の死と共に消えたはずだった魔法がパメラの指先で再現された。


 パメラは彼らの雰囲気が変わったことを確認し、また口を開いた。


「怒るなとは言いません。悲しみを消せとは言えません。でも何が正しいやり方なのか、きちんと考えてみてください。罪のない人に被害を与えてまで望むことを成し遂げるのが、貴方たちが信じて従った人の定義でしたの?」


 昔の学友たちの一部が涙を流した。その言葉も、言葉に込められた持論までもティステの影を感じさせた。一部はひざまずこうとするかのように姿勢が崩れたりもした。


 それを止めたのはカーライルの鋭い叫びだった。


「……だまされない!」


 カーライルが魔法を展開した。パメラの魔法の影響が弱くなった。騎士の眼差しに怒りの炎が戻り、カーライルは決然とした顔でパメラを睨んだ。


「あの御方を殺害した者の娘に惑わされません。それが私たちの正義であり意志です」


 その言葉に従うように騎士が前に出た。いつの間にか彼の手には新しい剣が握られていた。今度はパメラに握られたくないらしく、剣身に薄い魔力がコーティングされた。鋭い斬撃がパメラを襲った。パメラは魔剣魔法で作られた剣でそれを防いだ。


「マーヴィン・ジークウッド。愚かなほど愚直なのは相変わらずですわね」


「俺のことを知っているように言うな」


 騎士マーヴィンはパメラを力で押しまくった。パメラはその力を利用するかのように後ろにジャンプした。マーヴィンは追撃しようとしたが、パメラのため息と言葉の方が速かった。


「ベイン。ぶっ飛ばしちゃえ」


 その瞬間、部屋の壁と天井が爆発した。


 いや、外からの砲撃が壁を破壊したのだった。爆発の余波と壁の破片が部屋の中を総なめした。パメラは防御魔法で自分を守り、研究会の方は昔の学友たちが生徒たちと自分たちを魔法で保護した。


 一瞬にしてがれきだらけの野外になってしまったそこに三人の少年少女が乱入した。


「遅すぎました、姉君!」


 砲撃を浴びせたベインがパメラの後ろに立ち、ついてきたセイラがパメラに傷がないか調べた。そして最後の一人は。


「はあっ!」


 剣と剣がぶつかる音が鳴り響いた。アレクだった。彼はすぐにマーヴィンに突進して剣を振り回したが、マーヴィンは簡単に剣を受け止めた。まだ見習いに過ぎないアレクの力はマーヴィンの剣を押し出すには力不足だった。


 しかし、アレクの闘志は全然衰えていない。


「がっかりです、ジークウッド卿。こんなとんでもない陰謀に加担するとは。それでも騎士なんですか?」


「俺はティステ様を守る騎士になることにした。結局あの御方を守ってあげられなかったが、あの御方の無念を晴らす剣になる!」


 マーヴィンは腕に力を入れた。アレクは簡単に吹き飛ばされた。パメラは魔法で彼を受け取った。


「パメラ、どうするのかよ?」


「見当違いになるバカたちを叱らないと。三つ目のプランに行くわよ」


「いいぜ」


 パメラは左手で魔法陣を展開した。研究会の生徒たちが一瞬にして眠りについた。続いた魔法が生徒たちをどこかに転移させた。あっという間のことだった。それを見てさらに警戒するカーライルたちを、パメラは厳しい目で睨んだ。


「貴方たちに言いたいことが山のようにありますわ。でも貴方たちは簡単に聞いてくれないでしょう。だからとりあえず叩きのめします。話はその後にしましょう」

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